印象派からその先へー世界に誇る吉野石膏コレクション展

こんにちは モネリストです。

今日は、10月30日から始まる展覧会「印象派からその先へ ー世界に誇る吉野石膏コレクション」の内覧会に行ってきました。場所は三菱一号館美術館です。

雨に濡れた秋の夕暮れ、この時間帯の三菱一号館美術館は雰囲気があって素敵です。窓を飾る優しげな少女は、ルノワール《シュザンヌ・アダン嬢の肖像》。
この絵は油彩ではなくパステル画で、発色の良さ・色を重ねても混色しないなどパステルならではの特徴が生きているとのこと。確かに、髪につけたリボンや服の青がとても艶やか。さらに瞳も綺麗な青で、じっと見つめると自分が映りそうな錯覚が起きるから不思議!当たり前だけど、なんて絵が上手いんだルノワール!ってことですよね(笑)


私がもう一枚、足を止めて見入ってしまったルノワール作品は《幼年期(ジャック・ガリマールの肖像)》。

天使でしょうか?切り揃えられた前髪、生え揃っていない前歯、ふっくらと白桃のような頬、可愛くてたまりません。フリル付きのブラウスを着ていますが男の子です。連れて帰ってしまいそうな自分が怖いです(笑)

きっとルノワールは友人・知人の子供たちが可愛くてたまらなかったんだろうなと勝手にホッコリしちゃいました。

本展覧会では、19世紀半ばから印象派、キュビスム、抽象絵画、エコール・ド・パリと、近代西洋絵画の大きな流れが紹介されていますが、やはり印象派好きなモネリストとしては、《睡蓮》の前に暫し立ち止まりました。

この《睡蓮》は花が小さくて可憐です。パリのオランジュリー美術館「睡蓮の部屋」の睡蓮はどれも大ぶりな花だった記憶がありますが、花が小さいぶん水面に映り込んだ空や雲や木立が目立ち、幻想的な感じがします。全体的に水色と紫がかった青のトーンの中、睡蓮のピンクがかった赤が効いているのです。
憎いねモネ、と呟いてしまいました。

そして今日イチ胸にガツンと来たのがシャガール《グランド・パレード》

これはシャガール92歳の作品です!こんな大作を完成させるには、どれだけの体力と気力が要るだろうか。自分の持つ全てを、人生の全てをこの作品に注入したのではないかと思います。

シャガールの祖国である、現ベラルーシ共和国ヴィテブスクのユダヤ教信仰者の間では、音楽と舞踏を通じて神に近づくと考えられていたとか。なるほど《グランド・パレード》でもヴァイオリン弾きや笛吹きの姿が見られます。
また、鮮やかな青や赤は、シャガールが70歳ぐらいから手がけるようになったというステンドグラスの色合いを彷彿とさせます。

92歳。そろそろ神のもとへ旅立つことを予感しつつ、自らの集大成として描いたのかもしれません。もちろん最愛の亡き妻ベラを想いながら。
折しも今日、内覧会に行く前に、我が尊敬する元国連難民高等弁務官緒方貞子さんが92歳で死去されたとの訃報に接したこともあり、シャガールの作品を見ながら人生について考えてしまいました。

自分なりに精一杯生きようと思います。

ではまた。

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