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#2 音楽を享受する

きょう‐じゅ〔キヤウ‐〕【享受】 の解説
[名](スル)受け入れて自分のものとすること。受け入れて、味わい楽しむこと。「自由を—する」「テレビの恩恵を—している」

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E4%BA%AB%E5%8F%97/

サウンドバーガーを買った。前から興味はあったがレコードはめんどくさそう、置き場所どうしよう。そもそもSpotifyあるし、改めて盤を買う必要あるの??と考えてたヤツ。値段の高さもあり踏み出せなかったけれど、ブラックフライデーで少しお安くなっていたため購入に至った。

元々はCDで音楽を聴くのにこだわっていた。レンタルしたとしても絶対に盤に焼くようにしていたし、ジャケットがずらっと並んだ要塞のようなラックに憧れも抱いていた。ただ、盤の入れ替えのめんどくささや、置き場所をとること。iPodを買ったことでちっこい端末ひとつでたくさんの音楽にアクセスできるようになってから次第に買うことも少なくなり、処分するまでになってしまった。

思えばその頃からだろうか、音楽を聴くことから消費することに置き換わってきたのは。あれもこれも聞きたいと思ってTSUTAYAに足繁く通っていたはずなのに、次第に後で聞こうとストック品を買うような気持ちでレンタルするようになってたこと。盤を買う時にもそうだ、とりあえず買っておこうみたいなノリみたいなのが出てきた。ステータスにはならないけれど心持ちはそんな感じだっただろう。

iPod生活にも慣れてきた高校生の時、発売日当日に購入した音源をウキウキで聴き始めたのに、前ほど感動しなくなったのを自覚した時「ああもうお腹いっぱいだ、ここが潮時だな。」と感じたのを覚えている。

懲りずに何度か購入する機会もあったけれど、結局盤の発売日と同日に各種配信サービスにアップされてしまうことに対してとても気落ちした。こんな気持ちになるならCDはもう本当にいらないな、とさえも思った。なんなら盤買うよりも早く聞けるもんね。

そんな自分が改めてCDよりも古いレコードを聞いてみると、音楽を聴くことにハマりはじめの気持ちを思い出してきた。配信サービスとの音源と比較すると当たり前だけど、音の豊かさが違うし、一音一音が煌びやかで、聞き慣れている曲のはずなのにまた違う一面が見れたようで充足感が違う。

曲をスキップできないのも今となっては新鮮だ。一枚のアルバムを通しで聴くことも少なくなってる今では、口の中に無理矢理突っ込まれる感覚、実に久しぶり。ちゃんと聴いていた時は、この曲の次はこれ、と頭の中でもう一枚CDがかかっていたなあ。映画でもスキップされる昨今に、強引に聞かせられるのは「享受」のひとつだと思う。とりあえず受け取ってから、これは嫌い、これは好きと判別する作業は、好きな物で埋め尽くされがちな現代において、自分の価値観を再確認できる機会ではないだろうか。

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