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桃太郎~鬼に惚れた英雄~


原作、脚本 梵天彪雅

ナ むか〜し、むかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいたそうな…

お爺さんは、ウラ 御歳72歳で
刀を振ることが好きな危ない爺さんだ。

お婆さんは、オアキといい、そんなお爺さんを支えている。
お爺さんが時おり若い女性を見ると鬼婆になるとかならないとか、、、

外がやかましい


お爺さん『オアキ、、、なんか外がさわがしぐねえが?』

お婆さん『はて、私には何も聞こえないんども』

ガラガラ
スクナヒコ(役人)『鬼共が佐渡島か攻めて来おった、逃げねば!』

お爺さん『……』

スクナヒコ『何、ぼーーっとしてるだ?!
早く立って逃げっぞ!!』

お婆さん『ふかし芋できたべ、みんなで食うべ、、、』

スクナヒコ『芋!芋なんて食うてる場合じゃないズラ!』

お爺さん『まっだぐ、最近の若いもんはだらしねーー、、よし、おらが鬼退治したるで!』

お爺さんが手に小さな鎌を持つ

スクナヒコ『はーー?! 山へ芝刈りに……
が定番のジジイが何言ってるだ』

お婆さんがスクナヒコを叩く

お婆さん『なんて口をたたくんだいこの子は!!』

スクナヒコ『ぶったな!!嫁にも叩かれたことないのに!』

お婆さん『まっだぐ!最近の若いもんは年寄りさ大切にしねーから!!』

バコン!扉が壊され
鬼が入ってくる

お爺さん『かかってこーーい!鬼どもが!』

急に勢いよく背筋を伸ばすお爺さん

バキベキゴッギ!

お爺さん『ふぐぅわ!?』

腰をいわすお爺さん

スクナヒコ『ほれ?調子にのるがら……』

お爺さん『何のまだまだ!』

90度腰が曲がったお爺さんが入って来た鬼を倒す 殺陣

お婆さん『お爺さん!わだす!惚れ直しただ!! ぬらさあ!!❤️』

お爺さん『お婆さん、、あ、いや、、、お、アキ!』

お爺さんとお婆さんが抱き合う。

鬼『うぉーーー!』

ぺしっ!

鬼が飛ばされる

お爺さん『オアキとの逢瀬を邪魔すんでねぇーだ!』

お婆さん『今の鬼もだいぶ、弱ぐなったべな
なぁ、うらさん…』

お爺さん『おらが若い頃に倒した温羅はこんなもんじゃなかっただ!舐めんな!そこさ、正座せいや!』

お婆さん『あれはわだすがまだ
鬼のごろ…』

鬼『え??鬼?あれ?もしかして、オアキさん?』

お爺さん『黙って聞かんか!』

ホワンホワンホワン

ナ 55年前、鬼ヶ島

雉『我らこそは!!……おい、桃の字!』

犬『やる気を出さんか!!』

マントヒヒ『桃太郎の一団なり!』

桃太郎『そこまで、やる気をださんでも、、ふぁ〜〜 』


御悪鬼(オアキ)『やる気の無い人間だね~』

桃太郎『お!可愛いなぁ、、ちょっとヤる気になってきたぞ!』

雉、犬、マン『おー、桃太郎がやる気に』

桃太郎が刀を振る  閃光と共に鬼ヶ島が半分消滅する

御悪鬼、雉、犬、マン『……アワアワハガハガ…』

桃太郎『ウォーミングアップ終わり!
じゃあ!本気で行こうか!     ん?あれ?』

温羅『貴様がやったのか!』

桃太郎『おうよ!』

桃太郎と温羅の殺陣

鬼ヶ島、小島を残して崩壊

小舟に御悪鬼、雉、犬、マントヒヒが乗り海に避難

桃太郎と温羅が倒れ

桃太郎『お前、、名前は?』

温羅『ワシは温羅じゃ、お前の名は?』

桃太郎『みんなからは桃太郎と呼ばれておるが吉備津彦命じゃ……』

温羅『強いのぅ……』

桃太郎『本気で力を出しても勝てない相手がいるとはな…ハッハッハハ』

温羅『鬼はみんなこんな感じじゃ、ワシの妹の御悪鬼は弱いがの笑』

桃太郎『ええのぅ……
みんな、ワシの力が強すぎて誰も気持ち悪がって近づいて来ん……何度も隠そうとしたが制御出来ん……それで、鬼退治なんて大義名分で吉備国の兵器扱いよ……』

温羅『……力を制御出来んのか、、キビツノ、
手を出せ』

キビツノ『ん?ああ、、、』

キビツノに温羅が力を渡し倒れる

キビツノ『どうした!?』

温羅『……ワシの生命をくれてやった
これで力制御出来るでな……』

キビツノ『な!?ワシは人でなくとも温羅、貴様ら鬼となら!』

温羅『キビツノ! 社会はそんなに甘いもんじゃない! 人として生きよ!!ワシが好きな吉備国全ての民のことを頼む………グフゥ』

背後から現れたマントヒヒ、雉、犬に温羅が止めを刺される

マントヒヒ『よう、でかした!桃太郎!』

キビツノ『貴様ら!』

キビツノが刀を振りかざしマントヒヒ、雉、犬を斬ろうとするが御悪鬼がキビツノに後ろから片腕をひっぱり止めようとする。

御悪鬼『もう、やめよーよ、、』

雉、犬、マントヒヒ逃げる

キビツノ『わかったわかったから、お離し…』

御悪鬼『……にい……ちゃ、、、ん、、うら、、兄ちゃ、、ん!?うぁーーん…兄ちゃん!』

御悪鬼の頭をキビツノが撫でながら

キビツノ『……ワシは温羅の吉備国の民を守りたいという思いを受け取った………長年、人に忌み嫌われて来た力も制御してもろうた……
御悪鬼…オアキや…ワシが今日からお前の兄、温羅、、ウラじゃ…』

オアキがウラに抱きしめられ

オアキ『うわーん…』

ホワンホワン

現代
お爺さんとお婆さんの家

オアキ婆さん『というわけじゃ』

スクナヒコ『……え、、、まさか、、先帝     吉備津彦命様でございまするか!』

鬼『長年、行方不明になってた、、、頭の妹のオアキ姫ではありませんか!』

ウラ爺さん『頭って、、、?温羅か?』

鬼『はい!』

ウラ爺さん『死んだんじゃろ?ワシに力を与えて…』

鬼『??いえ、生きてますよ!鬼は不老不死ですから』

ウラ爺さん『不老不死?オアキは婆さんなんじゃけど?』

鬼『人と合わせて生きると鬼も年とったように見えるだけでさあ!  そもそも貴方様が頭のチカラを授かったのなら貴方にも不老不死の力がありますよ』

ウラ爺さん『なんじゃと!』

オアキ婆さん『爺様!早よ若返って兄さんに会いにいくべ!』

ウラ爺さん『だども、、死んで無いなら何故してあんな真似を、、温羅は、、?』

鬼『頭はそういうシュチュレーションフェチでさあ笑』

ウラ爺さん『ウォーーー!!』

オアキ婆さん『そもそもお前はなんで人里に?』

鬼『オーニイーツから鬼旨ガーリックソースピザの注文がありましたので配達に来まして
そこのスクナヒコさんに…』

スクナヒコが逃げようとするのを婆さまが叩く

ナ 結局、人騒がせな鬼の頭と役人のせいで始まった騒動は幕を閉じ、鬼と人々は
お爺さんが守って来た吉備国でいつまでも平和に暮らしたとさ、、

めでたし   めでたし

                             完



                               

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