蚊帳の外

やはり人生は面白い方向に進んでいるようである。
SNSアイコンが肩出しヘソだしの女性先輩からラーメンに誘われたりした。
これはもう、一生モノの思い出である。

高知時代の日記を見ると、吐き出す水の水流が強過ぎて、蛇口が曲がっていることを書いていた。
あの水流でいつか空へ飛び出すのではないかと。
日常に面白さを見出していた時期である。

話題は東京へ。
住んでいる区の駅周りは、飲み屋で溢れている。
平日も週末も毎日人で溢れている。
そんなに積もる話があるのかと思うが、これだけ人に溢れていればあって然るべきである。

職場の飲み会にも最後まで参加することがなくなった。参加にすら消極的である。
同年代には結婚や子育てを経験した人が増えてきた。そうすると、話題の中心には乗れなくなってくる。
一生を誰かと過ごすような決意をまだしていない。少し下の世代がその決断を迫ったり迫られたりしてあくせくしている。
私は蚊帳の外である。蚊に噛まれながら過ごしている。緊張の夏。

なんの期待も背負っていない、なんの義務も背負っていない。
どう考えても幸せである。

でも、僕が好きな人たちも、理由はなんであれ、いつか僕がご飯に誘えない相手になってしまうのかもしれない。
その日はもう近いのかもしれない。

そろそろ夏が来る。もう若者でもなくなったが、一緒に花火を見たい相手はいるなぁ。

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