ドラえもんの石頭
「石頭」といえば誰を連想するでしょうか。私の場合は『幽遊白書』の浦飯幽助を連想します。浦飯幽助は、頭突きで石盤を破壊するという酎(酔拳の使い手)を上回るほどの石頭です。浦飯幽助と酎の死闘(ナイフエッジデスマッチ)は鮮明に記憶に残っています。今でもナイフを見る度に、酎が崩れ落ちるシーンが脳裏に浮かびます。酎が活躍するシーンもあるのですが、ほとんど覚えていません。槙原寛己に対するイメージとして、完全試合よりも「バックスクリーン3連発」の方が印象深いのと同じです。猛虎打線おそるべし。
猛虎はさておき、ニャンコです。あまり知られていませんが、ドラえもんは、浦飯幽助に匹敵するほどの石頭なのです。例えば、頭突きで壁を突き破って、ガスタンクに穴を開けたこともあります。ガスタンクが爆発して、自身の頭が吹っ飛ぶことを想像しなかったのでしょうか。とんでもない度胸です。アンパンマンだったら、たとえ顔が失われたとしても、ジャムおじさんがすぐに新しい顔を作ってくれるので心配はありません。人間に例えるならば、お小遣いがなくなったら、すぐに親にせびる道楽息子と同じです。
しかしながら、アンパンマンの頭とは違って、ドラえもんの頭は簡単には作れません。アンパンマンの頭は食用ですが、ドラえもんの頭は実用です。つまり、用途の差が製造難易度の差に反映されているのです。ただ、いついかなる場合においても、ドラえもんの頭が実用に供するというわけではありません。例えば、ドラえもんの耳をかじったネズミ型ロボットにとっては、ドラえもんの頭は食用です。同じ対象でも、それぞれの立場によって捉え方は異なるという好例です。まぁドラえもんにとっては悪例だと思いますがね。合掌。
人間でもロボットでも、頭というのはとてもデリケートな部位なので、頑丈であるのに越したことはありません。本来であれば、石頭なのは良いことなのですが「お前は石頭だな」と言われて喜ぶ人はあまりいないでしょう。言葉というのは表現方法を少し変えるだけで、ガラリと印象が変わります。
例えば「お前はダイヤモンドヘッドだな」と言われたら、私はかなり嬉しいです。ダイヤモンドヘッドとは、 約30万年前の噴火でできた巨大な噴火口をもつ死火山です。なので、もしも相手がこの言葉によって憤慨した場合は「おぉ30万年ぶりに噴火したぞ」と囃し立てれば良いでしょう。火に油を注ぐこと請け合いです。