弟ポジションを積極的に引き受けるクリームパンダ


クリームパンダは、最後に登場したパン工場関連のキャラクタ―です。言うなれば「末っ子」ですね。そのためか、メロンパンナやロールパンナのことを「お姉ちゃん」と呼んでいます。メロンパンナは満更でもなさそうですが、ロールパンナは露骨に嫌そうな表情を浮かべています。自身の感情をそのまま表情に出すのは善なのか悪なのか。ライトサイドとダークサイドの狭間で揺れ動くロールパンナの姿は、アナキン・スカイウォーカーを彷彿とさせます。

クリームパンダはその名の通り、クリームパンを模した姿をしています。私が最初にその姿を目にしたときは、クリームパンよりもグローブ(小室哲哉が関与していない方の)に似ていると思いました。彼の目の周りは真っ黒なので「ノックのボールを顔面捕球してアザになったんだろうな」と解釈したのです。私も野球をやったことがあるので、顔面捕球の痛さは身に染みてわかっています。持つべきものと捕るべきものはグローブです。

また、クリームパンダの性質として「アンパンマンと同じ舞台に立つと緊張してしまう」というものがあります。「有名パンの隣でガチガチに緊張することによって『ウブな僕』を演じているのね。あざといパンですこと」という意見もあるでしょう。ですが、クリームパンダにそのような下心は一切ありません。素直な彼には、そのような芸当を行うことはできないのです。彼は自身の感情とクリームを垂れ流して生きているだけです。

クリームパンダはアンパンマンとは違い、顔の一部を食べ物として提供することはありません。「クリームパンを独り占めする気なのねぇ。なんて食い意地が張った子ざましょ」という意見もあるかもしれません。私もクリームパンが好きなので、その気持ちはよくわかります。ですが、考えてみて下さい。私達にとっては「おいしそうなクリームパン」でも、クリームパンダにとっては「使い古した自分の顔」なのです。世の中広しと言えども、自分の顔を率先して食べたいと思う人はいないでしょう。

そんなクリームパンダにも、かわいいところはあります。誰にだって探せば必ずあるのです。彼はカスタードクリームを中心に様々な食べ物を食べるのですが「あんこが入った食べ物」 だけは頑なに食べないのです。言わずもがなですが、アンパンマンをリスペクトしてのことです。「本当は食べちゃいたいぐらい好きなんだけど、そんなことを言ったら彼に嫌われるかもしれない。嫌われるだけならまだ良い。彼は主人公なので、強権を発動してボクの出番がなくなるかもしれない。いや、ボクの存在そのものが消えてなくなるかもしれない。ぷるぷる、ボク悪いスライムじゃないよ。そもそもクリームだよ」というクリームパンダの葛藤が伝わってきます。いのちだいじに。



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