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トリックスターとしてのホラーマン


アンパンマンに登場するホラーマンは、骸骨のお化けです。作者のやなせたかし氏は「神出鬼没でどこからでも急に現れることができるのが面白い」と評しています。言うなればトリックスターです。身体を自由自在にバラバラにすることができるので、骨の隙間さえあれば、どの場所にも入り込むことができます。「フット・イン・ザ・ドア」ならぬ「ボーン・イン・ザ・ドア」です。まぁホラーマンのような訪問販売員はドアさえ開けてもらえないと思いますけどね。U.S.A.

ホラーマンのトレードマークは「骨がクロスするマークが入ったボロボロのTシャツ」です。ボロボロの服を着続けている理由はわかりません。おそらく、着替えるのが面倒くさいのでしょう。骨が折れるのです。Tシャツの下には何も穿いていないので、ホラーマンのおみ足が大胆に露出しています。これはなんのアピールなのでしょうか。「私はスケルトン(内部の構造が透けて見える)タイプのスケルトン(骸骨)ですよ」という身を呈した2重構造ギャグの可能性もあります。甘んじて受けましょう。

また、ホラーマンは、胸の小骨を使ってピッキングをすることができます。自身の身体の一部が潜入道具になるのでとても便利です。もしもピッキングをしている場面を誰かに見られたとしても「私はただ、自分の胸の骨を取り出して外気にさらしているだけなんですよ。たまには乾燥させないといけませんからね」と言い訳することもできます。まぁその言い訳が通用するかどうかはわかりませんが、何事もチャレンジすることが大切です。

ホラーマンは誰にでも優しく接するため、周囲の人達との関係性は良好です。ドキンちゃんに家事を押し付けられても、嫌な顔ひとつしないで対応します。奴隷の素質アリ。ホラーマンが働いている姿を見ていると「崇高なる無償労働」という言葉が頭に浮かびます。「骨折り損のくたびれ儲け」という言葉も浮かんだのですが、それは来るべき時に備えて沈めておきましょう。大好きなドキンちゃんのために身を粉にして働くホラーマンの姿は美しいですね。まさに粉骨砕身です。

ちなみに、ホラーマンは、自身がお化けであることを自覚しています。まぁ見た目からしてお化け以外の何物でもないので、否が応でも認めるしかないんですけどね。聞くところによると、相手から「妖怪!」と呼ばれるとカチンとくるらしいです。お化けは良くて、妖怪はダメなのでしょうか。そこの線引きはよくわかりませんが、彼なりの尺度があるのでしょう。誰にでも「これだけは譲れない」というポイントがあります。ただ、優先席などは積極的に譲った方が良いでしょう。何事にも例外はあるのです。


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