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散った花びら

暖かな日差し
少し肌寒い風
君の貸してくれたジャケットを羽織り
不安定な足場を歩く
君のために可愛くしようとした
お気に入りの靴も
今では目に入るのも嫌で

僕がもっと、我慢強くなれていたら
僕がもっと、寛容な心を持ち合わせていたら
君は僕の言葉にうなづいてくれていたのかな

君の恥ずかしがる顔も
溢れんばかりの笑顔も
意地悪をして楽しそうな君も
どれも僕のものだと信じていたかった

代わり映えの無いデートも
ただ眠るだけのおうちデートも
どれも心地よくて
もっとそばに居たくなってしまった

眠る君の頬を撫でながら
君を起こさないようにキスしていたこと
君にはバレていたらしいけど
僕はそれでも
目の前で眠る無防備な君に
触れていたかったんだ

この曖昧な関係のままでいいと
初めは思っていた
その方が楽だと思っていたんだ
それなのに今はどうだい
この関係のせいで一歩が踏み出せなかった
好きだと言えなかった

何度も君に言おうとした愛の言葉
冗談混じりでしか伝えられなかった言葉達
こんな不甲斐ない僕でごめんね

きっと楽しかった時みたいに
君の隣には行けないけれど
いつか思い出になったら
思い出して懐かしんでいたいな

初めて名前を呼ばれた日を思い出したよ
眠りながら繋いでいた電話
僕が寝かけている時に
静かに2回
僕を名前で呼んでくれたよね

今でもその時のことを覚えてる
初めて呼ばれて嬉しくて反応出来なくて
2回目呼ばれて寝ぼけたフリをしながら
気づいていないことを装って返事をした

それからたまに呼んでくれるようになって
とても嬉しくて
でも嬉しさを表現する勇気はなくて
天邪鬼な君だから
僕が喜ぶとわざと呼ばなくなるって分かってたよ

またあんな風に名前を呼んでくれること
無いって分かっているけど
たまに思い出しては
胸が苦しくなる

しがない物書きですがあなたの応援で生きております。いつも感謝してます。ありがとう。