見出し画像

シネマ歌舞伎「阿弖流為」


阿弖流為は四年前のシネマ歌舞伎で初めて観た思い出深い作品だ。

私はそれまでに歌舞伎という伝統芸能を知ってみたいと三、四年シネマ歌舞伎を見続けていたが難しい話が多く、
「自分には歌舞伎は向いていないかも……。」っと心が折れそうになっていた時に出会った作品が、この『阿弖流為』だ。

当時、こんな歌舞伎もあるのか!
と、衝撃を受けた。
いままで難しいと感じていた歌舞伎を自分でも楽しめるのではと希望を持った作品だった。
その『阿弖流為』を今日、改めて観て思ったのは

「阿弖流為って、こんなに楽しかったのか!!!」

という雷に撃たれたような、再発見。
これは数年前より、確実に自分が歌舞伎の楽しみ方を覚え始めたということに尽きるだろう。
同じ芝居でも、観るたびに再発見があるのが歌舞伎の醍醐味だと思う。

アテルイという人物が元々好きで主役だから、主人公の幸四郎に一点集中する見方しかしていなかった四年前。
今回は登場シーンから勘九郎演ずる田村麻呂のカッコよさにシビれる。
ドキッとするくらいスピーディーな殺陣と、歌舞伎ならではのゆっくりな型の殺陣。
どちらも素晴らしい芝居でより一層楽しめた。

私の大好きな縄文文化から続いている民族の蝦夷と、新しい国大和。
昔から列島にいた縄文人の流れを汲む蝦夷を従わせようとする大和人の中にも、義を通す坂上田村麻呂の存在が今の日本人の救いになっていると感じた。
物語自体も日本史の中で重要な出来事であり
古典作品などの、あらすじや結末を知っていても
いや、知っているからこそネタバレしようがなんであろうが
とにかく何度も繰り返し観ることでより深く新しい発見をさせてくれる歌舞伎。
歌舞伎を通して日本の文化を楽しめる幸せを感じた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?