見出し画像

記事92:日本語ラップ100選③

「今日も今日とて、働きたくないっすねぇ」
「そうだねぇ」

上司とそんな会話をしながらの帰り道。そんな課だけど、上期の数字が良かったということでこんど表彰されるという。
やる気と結果がともなわないこともあるという例。逆にやる気だけっていうタイプの人も、いるよな。社内では評価良くて客先の評判悪いタイプな。

レビューはもっともっと短くていいのだと気づいた。5年後に読み返して、
「ああ、こんな100枚を選んでいたか」と懐かしく思うためのものだから。

21. Hosomi-TNP『シュルデイズ』
ラッパーのためのラッパー、Hisomi-TNP。知る人ぞ知る、という言葉がぴったりだけど、それではあまりにももったいない才能。雨の日に聴くと最高なアルバム。Q-ILLにTakatsuki、その人選しかないよなという客演が華を添える。

22. I-DeA『self-expression』
I-DeAのアルバムはどれも傑作だけど、今作はM-2『毒立毒歩 feat. 漢 & DEV LARGE』、M-7『暴風雨 feat. 降神』、M-11『DAYZ ~just like smokey~ feat. SEEDA』、M-12『One Night feat. SWANKY SWIPE』と粒揃いすぎる。いい時代だこれは。降神の曲をどうしても歌いたい人はみんな暴風雨を歌ったものだ。

23. IKE & rice water Groove Production『YUPPIE』
2019年の作品も入れてみた。90年代といえばそう聴こえる音楽で、狙ってそれができているのが優秀。女性ラッパーが混ざっているグループっていうのもレアだ。IKEは元々別で活動しているわけだけど、抜けるとちょっとバランス悪いかなと思うのでもう1枚ぐらいこのユニットでアルバム出してほしい。

24. Jinmenusagi『Self Ghost』
もうちょっと売れてくれ!と思い続けている、Jinmenusagiの1st。2012年の作品だ。デビューした時、なんだこのラップは!?と思ったし今も思っている。トラックも手掛ける器用さがあって、見た目もスタイリッシュで。もうちょっと売れてくれ!しかし彼を見出したLOW HIGH WHO?はやはり信頼できるレーベルだ。

25. JJJ『HIKARI』
前回FEBBのアルバムを選びつつ、ちゃっかりJJJも。M-1『BABE feat. 鋼田テフロン』でいきなりエンドロール的な雰囲気を漂わせてくる。楽しく音楽に取り組むKID FRESINOに対し、真面目に音楽に取り組むJJJ。FEBBは一番自由にヒップホップ にアプローチしていたな。3人が揃ってラップする貴重なM-12『2024 feat. Fla$hBackS』の打ち上げ感は最高だ。

26. JUSWANNA『BLACK BOX』
ジャケからしてふざけていて、中身もふざけつつハーコー。メシアTheフライのふざけながらもかっこいいワードセンスは唯一無二だ。いまは何やってるのやら…かっこいいラッパーなのに。ヒップホップあるあるだ。相方のMEGA-Gはいい人感が拭えなくてこれまた好人物。去年出したソロもよかった。メシアは何をしているのやら!

27. KAMINARI-KAZOKU.『330 more answer no question』
世間的には期待値のハードルの下をくぐってきたアルバムとして有名な1枚。個人的には、このメンツでこのボリュームのアルバムを届けてくれて何の文句があるんだ、と思う。M-6『THUNDER BREAK BEATS feat. AI, HAB I SCREAM, DABO』ではDABOの日本一速いラップが聴ける。(俺調べ)

28. KANDYTOWN『KANDYTOWN』
BAD HOP、YENTOWN、kiLLaなどすてきな大所帯クルーが出てくる中、個々がそれぞれかっこいいのがKANDYTOWNだ。他のグループに対して語弊しかない。東京らしくて、良いヒップホップの使い方をしている。クルーの中で誰を推すかは本当に意見が分かれる。僕はIOとKIKUMARUを。

29. KEN THE 390『プロローグ』
大学時代にお世話になっていたアルバム。DMRでの得体の知れないMC達から一歩抜き出た感があった。ダメレコの作品としては音質も改善され、歌詞カードもフルでついて、ちゃんと1000円で全国流通なところが衝撃だった。どういう仕組みなんだろう。M-3『LOVE』とM-15『プロローグ』は僕の中でのラップアンセムだ。

30. KICK THE CAN CREW『YOUNG KING』
キックのインディーズ1stアルバム。これも日本語ラップ好きはみんな通る道。ラップにハマりたての金のない高校生時代、渋谷のHMVで買った思い出。キックがメジャーで売れきった頃に、後追いでの購入だ。今でも定期的に聴き返す、教科書代わりの1枚。『GOOD TIME!』も『ユートピア』も『タカオニ2000』も入ってるけど、好きなのは『united rivers』の尖り方だ。メジャーに行った後もスタンスは変わらず、トラックにお金をかけられるようになったんだろうなという素晴らしい曲を次々発表してくれて、少年はのめり込んでいくのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?