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記事94:日本語ラップ100選⑤

電車の中から見えた1本向こうのホームに、
「RECYCLE OR DIE」
と大きく書かれたトートバッグ(おそらくエコバッグ)を持っている女の人がいた。見たところ、中学生ぐらいの娘さん?と一緒にいた。

極論すぎて好きだ。彼女はすごい信念のもとでエコバッグを使っている。

41. MGF『Float in the Dark』
タイトルもジャケも、トラックもラップもふわふわしている。もちろんいい意味で。雰囲気近いんだけどラップスタイルが違っている3人がよく揃った。音楽とファッションの融合って日本のヒップホップではあまりうまくいったケースがないけど、この人たちはとてもスマートでかっこいい。Summitっぽさある。

42. MICROPHONE PAGER『DON'T TURN OFF YOUR LIGHT』
世間の日本語ラップ好きはこれを擦り切れるほど聴いたと思うが、僕はそこそこにしか聴いていない。90年代のフロウってコレだな!とは思う。ただ当時の日本語ラップシーンにこれが登場したら腰抜かすだろうな、というのは想像に難くない。それまでイロモノだったところから、シリアスでかっこいいイメージを植え付けるのには充分だ。日本のヒップホップ自体、今でもイロモノ枠なきらいはあるけど。

43. MIDICRONICA『#501』
MIDICRONICAはどのアルバムも良いのだけど、はじまりの1枚を。PERO SPORTSがメンバーにいる頃で、レゲエ味がグループに合っていて好きだった。PEROが抜けたあとは、ただただ超絶スキル集団になっていった。マイペースではあるけれど定期的に新作を届けてくれるのが頼もしい。

44. MINT『after school makin' love』
韻踏合組合を脱退して出したソロアルバム。魅力あるMCから順に脱退してしまう韻踏、当時は残念でならなかった。ポップでありながら毒たっぷりのミンちゃん節全開。ダジャレとラップのぎりぎりを行くけど、ラップ好きが聞けば韻が固すぎるという印象しか持たない。ラップの内容も見た目もちょっと笑えない、稀有な存在のラッパーだ。

45. Moment Joon『Passport & Garcon』
こういう世界があったのかと気づかせてくれた1枚。ラップは黒人が歌わないとサマにならないとか考えてる人にこそ聴いてほしい。人種の壁は日本にもあって、しかもそれは欧米よりもっと見て見ぬふりされているのかもしれない。韓国からの移民ラッパー、Moment Joonの語る言葉はヒリヒリするほどリアルだ。住所すらさらけ出して「文句ある奴は会いに来い」と歌い上げる姿に頼もしいと思うと同時に、日本人としては情けなくも思う。

46. MSC『Matador』
MSCは僕が高校〜大学時代に一大勢力だったわけだけど、当時は怖くてちゃんと聴けていなかった。で、大人になってどうか。怖い。学生のときよりリアルに聴けてしまう部分もあり、とてもスリリングだ。でもそれぞれが詩人なので情景描写が絶妙で、ただのワルの音楽に成り下がっていないところが評価ポイント。そういう点ではM-8『ALERGY feat. 志人』のような邂逅も、ただ活動拠点が近いという以上に納得がいく。

47. NIGHT CAMP CLICK『Blood Sugar Sex Camp』
これも出てきたときは謎のMC集団で、誰がどの声か(1名を除いて)聞き分けするのが大変だった。というか今もちゃんとできない。この1stアルバムを出した時点で各々けっこうなキャリアを積んでいて、おかげで多人数グループのデビューアルバムとしては素晴らしいクオリティになっている。M-1『NIGHT SIMPHONY』は日本語ラップを代表するマイクリレー曲。1stから早15年、ZIGHTが中心となって再始動しそうな動きがあるのでいつまでも待つ。

48. NITRO MICROPHONE UNDERGROUND『NITRO MICROPHONE UNDERGROUND』
文句なしの名盤。100選どころか多くの人がトップ3には選ぶだろう。リリース当時クラスの連中とかいろんな人に貸した。ヒップホップを聴かない層にも刺さっているのが目に見えて分かったのは、後にも先にもニトロだけだ。得体の知れなさが薄まってくると魅力が減ってしまうことは避けられず、1st超えはできないだろうなというのが2nd出る前からみんな分かっていたように思う。

49. nobodyknows+『Do You Know?』
世代的に、これを選ばないのは嘘だ。普段ヒップホップを聴かない連中との共通項はnobodyknows+だったじゃないか。DJ MITSUのトラックが屋台骨なのが、今聴いてもわかる。5MCということで1曲での一人あたりのラップ量は少なくて、作り手としては工夫と苦労の連続だっただろうな。それでもよくそれぞれのキャラが立っている。メジャーで勝負していただけある。

50. NORIKIYO『馬鹿と鋏と』
NORIKIYO作品を何か選ぼうと思っていて、初期〜中期よりもここ数年のスタイルが好きなこともあり、『EXIT』でなくコレだ。『Bouquet』と迷ったがそれだと狙い過ぎている。『馬鹿と鋏と』というタイトルだけでIPPONだし、アルバムの一言目が「Hold on shit!」から始まるのも素晴らしい。日々思ったことを段違いにかっこいいラップで伝え続けていて、それでいて驕らないスタイル。そりゃ共感しか集めないだろう。このアルバムで一番好きな歌詞は「過積載で走る山手線」

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