保育園送りの時、娘に道端の花を見せるようにした理由
娘が一歳半になり4月から保育園に行くことになった。
簡単に保育園に行くことになったと言ってはいるが、ここまで辿り着くのもなかなかな道のりだった。
保育園が決まる前段階。
まず保育園の倍率のエグさにびびった。
そして保育園に入るための『点数』が存在する事も知らなかった。
今回は本当にラッキーで上位希望の園に入る事が出来たが、芸人を続けていたら点数が足りず希望通りにはならなかったと思う。下手したら保育園がどこも決まっていなかったかもしれない。
芸人を辞めてよかった点としてこれはかなり大きかった。結局夢を追うとかやりたい事を続けるのは続ける気力や意志よりも、現実的な問題が降りかかる事を思い知らされた。まあ自分はその辺の事を気にしたわけじゃなく辞めたけど。
そんな事もあり保育園決定はとても嬉しい出来事だった。決まってからは保育園準備や妻の仕事復帰の準備などでバタバタだった。加えて3月後半、僕が熱を出して倒れた為、隔離をしたりで家のバタバタ具合はとんでもない状態だった。
なんとか体調も戻り、4月1日に無事入園式を迎える事が出来た。
妻と『ようやく迎えられたね』と話していたが本番はここからだった。
4月2日から「慣らし保育」が始まった。
最初は2時間だけ行ってみて雰囲気に慣れようみたいな感じだった。初日に送った時は園の教室ににあるおもちゃに飛びつき遊び始めた。『バイバイ』と伝えても見向きもしなかった。
〝ウチの子は案外すぐ慣れるかもな〟
おもちゃで遊ぶ姿を見てそんな風に思った。
しかし帰りに妻が迎えに行った時の様子を聞いて考えが変わった。迎えに行った妻の顔を見るなり娘は号泣して飛びついてきたらしい。やっぱり初めて親と離れるのは寂しかったみたいだ。
2日目。
娘を保育園に送った直後の僕のポストがこれだ。
2日目に送った時はぎゅっと袖を掴んで離れようとしなかった。無理やり引き離し保育士の方に抱っこしてもらって泣きじゃくってる娘を置いて出てきた。
つら、、、
なんだこれは。親も子も無理やり離れる経験なんて今までなかった。1番辛いのは子供だから親がつらいとか言ってられんよなと気持ちを切り替えた。
親も子も慣れるしかない。
3日目。
この日も全然泣いていた。こんなんで本当に慣れるのか?と不安になった。
4日目。今度は園に着くなり泣いた。置いていかれる場所だと認識したらしい。そして3日連続、園での昼ごはんを全く食べず帰ってきた。
保育士の方に「このまま何も食べないと預かれる時間伸ばせないです」と伝えられた。
ずっと食べなければどうなるんだ?妻の仕事復帰は?こっちも仕事は休まないといけないか?いろいろ不安が付き纏う。
とりあえず慣れていないからだ。慣れたら変わるだろう。
そして仕事から帰宅したその日の夜。子供が発熱。
保育園に行き始めるとすぐ熱を出すと聞いていたがこんなにすぐ出るものかとびっくりした。保育園にいくまでの一年半、一回も発熱なんてなかったが、たった4日目で風邪をひいた。
土日を挟み月曜日火曜日と保育園を休んだ。今まで慣らした4日間はなんだったんだ?
また一から慣らし保育をしなければいけない。
15時まで保育園にいる子がほとんどの中ウチは12時に迎えに行った。
妻は仕事復帰のタイミングを完全に見失った。
しかしそうも言っていられない。このままだと、いつまで経っても仕事復帰が出来なそうだったので強行で仕事に行ってもらった。僕が仕事を早上がりして対応した。
慣らし保育再開初日。食べませんでした。寝ませんでした。明日も12時でお願いします。
翌日。食べませんでした。寝ませんでした、、、一応次から通常保育で預かれますがお迎え何時にします?と保育士の方に言われた。
あ、預かる事は出来るんですか?そう聞くと。
預かる事は出来ますけど、食べない寝ないだとすぐ体調崩しちゃうと思うんですよ。どうします?
数日前、子供の発熱の様子を見ていた僕には「それでもいいので預かってください」が言えなかった。
12時お迎えを続行した。
12時お迎えが何日か続いたところで保育園側から提案があった。
お昼食べなくてもお昼寝をするかを見てみましょうか。あとおやつなら食べるかもしれませんし。
ようやく15時まで預けてみる事になった。
15時お迎えの日。
食べなかったです。寝ませんでした。
マジか、、、
朝から15時まで?!食わず寝ず?!
娘は家に帰る途中抱っこで歩いているとすぐ眠った。
めちゃくちゃ眠かったのに眠れなかったのか、、
そして帰ったらすごい勢いでご飯を食べた。そして寝た。腹も相当減っていたらしい。
こうなると変な時間に食べ、寝ることでリズムも崩れる。あまり寝かせすぎないように起こすと機嫌は最悪で大泣きだった。その間抱っこしないとなので家事も進まず。
食べない寝ないでこっちの影響も出るのか、、
翌日もその次の日も同じような感じだった。
ただその間、娘は登園時泣かなくなっていた。食べない眠れないながらも、少しづつ慣れていたのだ。保育園に着いたら教室まで自分から歩いていけるようにもなっていた。
登園に関してはかなり進歩していた。
この頃夫婦2人共かなり疲弊していた。娘も疲弊していたと思う。しかしそんな中でも少しづつ慣れて成長していく姿を目の当たりにしたら、多くは望めないなと思うようになった。
この子は十分頑張ってる。少しづつ成長している。それでだけでいい。
そう思ったら少しだけ気持ちの余裕が出てきた。
そう思い始めて迎えた朝。登園中にいつも通る畑にふと目を向けると綺麗な花がたくさん咲いていた。
あれ?ココこんなに花が咲いてたっけ?
お迎えに行った帰りも花がすごく咲いていた。
ここでわかった。
〝今まで景色も花も見る余裕がなかったんだ〟
余裕が無さすぎて何も見えていなかった。
心配事や気がかりでモヤモヤ考え事でもしながら送り迎えをしていたのだろう。
よくないなと思った。親がそんな風でどうすると。
翌日から少し早く家を出て、保育園に行くまでの道中、視界に入る花を全部見せながら歩いた。
「ほら、お花」
「こっちもお花」
娘はわけもわかっていない感じだったがそれでも花を見せて歩いた。
それから毎日、花を見せながら歩いた。
理由があった。
もし今後、花が咲いたり散った事にも気づけなかったらそれは余裕がなくなってるサインになると考えた。だから毎日花を見せ続けようと思った。
もう一つある。
いつか保育園に行くのが当たり前になり、この苦労を忘れ、送り迎えが当たり前になり出したら、おそらく景色を見ていないと思う。〝当たり前にしたくない〟と思った。娘の頑張りを忘れないためにも花を見せようと思った。
いつか娘がもっと話せるようになり
娘の口から
「パパ!お花!」
という言葉を聞けたら
最高に嬉しいだろうな。
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