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【そのウマ娘の名は、グランアレグリア】「Yakusyuダービー 2021」にちなんで②

 僕はかくして今年ウマ娘にはまり、そのあと競馬にはまってしまったのですが、ウマ娘は過去の伝説の競走馬たちが転生した姿。東京競馬場や阪神競馬場、全国各地の競馬場では、今でもあまたのレースが行われ、数多の伝説が生まれています。ウマ娘に触れることで、自分はその、「現在進行の伝説」を見ることができました。今回はその、つい数日前に生まれた「現在進行の伝説」、この目で見た一頭の伝説の馬について書きます。こんな感動を味わえるなんて思わなかった。


その馬にだけは、見えるのだ。間違いなく、「固有発動スキル」の瞬間が。

実在の競走馬が「ウマ娘」として実装されるには、その競走馬の馬主の方々の許可がもちろん必要であり、まだ引退してばかりの馬をすぐ「ウマ娘」などと、言うことに抵抗感がある方もいると思うが、こんなことも起こっている。
2021年5月16日、G1レース、ヴィクトリアマイル。そこでラジオNIKKEI小林雅巳アナウンサーはこういった。
「ここ数年、牝馬が活躍をみせています…そして今出走いたします、この18頭も、強い、<ウマ娘>です!!

そしてまさにそのレースで、ゲーム、ウマ娘「固有スキル(必殺技)」の如き、まるでアニメか何かを見ているような、非現実のような、狂った速度の末脚(ラストスパートのことを競馬ではこういう)を、その馬は見せた。上の動画でいうと02:25あたりからだ。小林アナウンサーは馬がゴール板を突き抜けるように走りぬけたとき、高らかにその馬の名前を叫んだ。

「強い!!!! それはなぜか!!??」 
「それは、このウマがグランアレグリアだからです!!!!!」


グランアレグリア。
父ディープインパクト。母タピッツフライ。
そして鞍上(主戦騎手)はほぼ、クリストフ・ルメール。
「まるで未来のコース取りを予見できるような」フランス生まれのジョッキーをパートナーに、このグランアレグリアは今年のヴィクトリアマイルを優勝してみせた。中2週という、比較的短いローテーションで、すぐに次のG1レース「安田記念」に向かうことも決定されていた。
 そこでも、グランアレグリアは圧倒的だった。
 順位ではなく、その末脚で。


見てもらえばわかるが、完全に馬群に埋もれていた状態で、優勝する外目のダノンキングリーのような楽な競馬はできてないのに、終盤その馬群を割り、ヴィクトリアマイルと寸分違わぬ速度を見せるように加速して、ギリギリまで一位と接戦している。
驚愕した。
こんな加速をお約束のごとく見せれるのか。
ちなみに、この動画、有志が実際のG1レースをウマ娘のレース風に編集してくれたものだ。アイマスなどを題材に、2007年頃は目の覚めるようなセンスの動画がニコニコで出ていた時代があった。10年以上たってまた自分がニコニコ動画を見ている理由は、ウマ娘だ。


そして、もうひとつグランアレグリアが素晴らしいことは、
そのチャレンジングな2021年のレース参加であった。
2020年にスプリンターズステークスを制し、短距離王者に。
そしてマイルCSを勝ち、マイル王者になった。
そこからさらに2021年の今年、2000mのG1に二回出陣。
短距離・マイル・中距離の、ボクシングの三階級制覇のような偉業を成そうとしたのである。

しかし、現実は非常だった。
一回目の挑戦、大阪杯。僕が初めて馬券を買ったレースだ。
天気は最悪の雨模様だった。
グランアレグリアにとって、雨が降りぬかるんだ馬場、通称「重馬場」は悪条件だった。もとから短距離適性の馬なのに、重馬場で2000ではなく2200くらいに体感してしまう雨の大阪杯、更に、相手は三冠馬(!!)のコントレイルもいた。結果は4着。このレースでシンデレラストーリーを作り出した4歳馬レイパパレや重馬場を得意とするモズベッロに先着されるという結果になった。


二回目の挑戦は秋の天皇賞。
またも雨が前日に降った。
そしてまたも立ちふさがったのは三冠馬のコントレイル、更に今年の皐月賞1着、ダービー僅差2着のエフフォーリアという強者とも相まみえなければならなかった。
結果は3着だった。
グランアレグリアの前にいたのは前述した2頭のみ。この2頭がいなければ、グランアレグリアは間違いなく中距離も制覇していた。
だが、これが運命なのである。

連覇をかけたマイルチャンピオンシップの直前だったろうか。
急だった気がする。この2021年を代表する女傑の引退が決まったのは。
更に面白いことに、毎回「こいつらの予想するウマは一着になれない」と、
ネットに書かれる予想者(こういうのを最近「逆神」というらしい)が、全員グランアレグリアを一着に予想していた。


マイルチャンピオンシップの発送は時間通りにやってきた。
俺は諸事情で西新井の公園で、滑り台に寝そべり、
スマホでレースを見ていた。
最終直線、すっと、後ろに構える緑の帽子、7枠12番。
外に外に、荒れた馬場を避け、そのウマ娘は、加速を始めた。


漫画のような駆け抜け方をするウマ。
逆神なるものの予想すらも一蹴するウマ。

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グランアレグリアは一着でゴールした。

西新井の公園でガッツポーズをする37歳の男。
的中した馬連「3-12」の配当は4倍程度。今日はプラス100円程度の勝ち。
そんなことはどうでもよかった。

レースが終わったらすぐ、まるで引退を悲しむように、東京の空は雨がわずかばかり降り出したことを覚えている。
あなたはそのウマ娘を知っているだろうか。見ただろうか。
今この現実で、目の前で、伝説を作り出した、彼女の名前を。
知っているなら、彼女のことを語りたい。







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