脳内雑記:当直で出会うキズ、ソレどうする?
ナート(縫合)とかの話です。
どうするのが正解なんだろう?って脳内雑記です。
〇顔面の「切り傷」、ソレ夜間に縫う?どうすべきが正解?最善?
これなんですよね、切り傷って、深い奴だと縫いますよね。
うーん・・・これ本当に難しいのですが、「ある程度若い方」の顔面の切創って縫合すべきなのか何ともどうするべきか、結構界隈でも定期的に話題になる気がします。
例えば・・・例えばですよ、おばあちゃんのような高齢の患者様が顔面切創でいらした際・・・、これはしっかり説明したうえで「跡が残るかもよ」って説明をしたうえで縫合はすると思うんです。あとが残っても「いいよ」って多分仰ってくれるから。
だけど・・・若くて、さらに女性となると・・・顔面切創って「縫うべき」なのかなあ・・・って思うことがあって・・・。研修医時代からいろいろローテ先のオーベンとかに聞いて回ったことがあるのです。回答は様々で・・・。
もちろん、動脈性の出血があって止まらないぞって時は縫うと思いますが・・・。その状況次第で・・・。
オーベンのDrに教えていただいた意見は以下それぞれあって・・・
「縫う必要があれば縫う、傷跡の是非は救命より優先されない」
「とりあえず仮縫いだけしておけば翌日皮膚科とかで縫い直してもらえるよ」
「ステリテープでなんとかしよう」
「縫ってから24hは縫い直せるからオレは縫うなあ←救急の先生」
といった感じで・・・結構ばらけるのです。と言うか顔面切創って夜間あんまり来ねえ・・・。やけどの方が多い気がしますね。てか縫ってから24h以内なら縫い直せるって本当なのかな・・・。
基本動脈性出血が無くて、土曜の夜とかであれば・・・縫うのかなあって思うのです。と言うより・・・院内に外科のDrがいらすならそっち呼んじゃう。外科のDrは日常的にナートしてますからね・・・。あんま内科って縫わないので・・・。マイナー科とかの先生がたまたまいらせば、縫ってもらうかも。マイナー科って外科的処置も行う先生多いですし。顔面だとスキンステープラーって無理じゃね?って思うんですよ。頭部とかならまだしも・・・。
翌日クリニックがやっているような状況(平日夜)であれば、顔面切創で浅ければステリ、深ければナートのちあさイチでクリニックにかかってもらう・・・、院内に外科当直いるならごめんなさいして呼ぶ、とか・・・。
もちろん、あらかじめ「跡が残る可能性がある」事は患者さんに伝えて・・・。
うーん、これが翌日クリニック等やってない金曜夜や土曜日中~土曜夜であると悩む・・・。顔面切創で近くに外科当直いるような病院ならそっちにお願いしちゃうかもしれない・・・。
顔の傷って残るかどうかって結構大事ですもんね、結構どころじゃないか・・・。
うーむ・・・。「治るだけありがたいって思えよ」ってのは傲慢すぎますもんね。難しいナア・・・。正直自分は「縫えるだけまだよくて」、あと残す残さないなんて二の次というかそこまで熟達してないのです。
だって縫う機会あんまりないしナア・・・。左利きなので、縫いにくいってのもありますね。医療器具でレフティ用に作られてるのってないんですよ。たぶん・・・。あったとしても開業用?病院側が揃えてくれるってのはまあないと思うんですよね。ディスポとかだと製造工程上無いだろうし・・・。
ギターとか、美容師さんが使うハサミとかでさえレフティ用はバカ高くなるけど一応あるにはあるのに・・・うーん…。
あんまりこう、どでかい顔面切創って日常的に「遭遇」する機会がめちゃくちゃ多いってわけでもないのがさらにどうするべきか悩むのです。顔面切創で救急車呼ぶのって割と相当なレベルだと思うんですよね。Walk inの場合はそれに限らないですが・・・。
Walk inってそのままの意味で救急車を使わず救外に来ることなんですが、これって基本的に応需せざるを得なくて・・・。そういったケースの方が厄介なことも多くて・・・ウーン・・・。まあ、しっかりと説明したうえで、カルテにも記載して・・・それでもやるって言うならやりますかね・・・。今はキッチリ「電子カルテ」にキッチリ「合意を得た」という事を記して。あとは一人じゃなく複数人(看護師さんの同席とか)で話すことを意識しています。
後から「そんなこと言ってない!!!!!!!!!!!」ってなって有耶無耶にされるのを防ぐためですね。縫合の同意書ってあるところあるんですかね・・・。まあこれさえも同意書同意書ってなったらもうすべての医療に同意書が要りそうなもんですけど・・・。
どうするのが正解なんだろう・・・・・・・・と思いつつ、都度その時の状況で最善と思った選択肢を取るよう努力しています・・・。
〇熱傷(やけど)の方が楽っちゃらく?
顔面ずばっとそりゃ縫うレベルでケガするより・・・特に冬場、料理しててお湯入った鍋つるって滑らせてお湯被っちゃったりラーメン作ってて・・・鍋ひっくり返しちゃって・・・と言った事故が結構多くて、どっちかと言うと顔面切創よりも熱傷って多い気がします。
と言うか・・・顔面以外の切創ってよほど切らない限り前見出し同様に救急車呼ばないというか・・・。
熱傷もまあそうですけど、例えばもうズボン全体に広がっちゃうくらいお湯こぼしたりしてって時とかですよね。あとデリケートゾーンにかかっちゃったりとか・・・。そういったケースが多いのもあって、熱傷の方が運ばれてくるというかWalk inでいらす方が多い印象です。
大体熱傷(=やけど)って「あつっ!!!!!!!」ってなった後ガンガンに皆さん冷やしてくれますよね。基本冷水で数十分以上は冷やしてきてくれるのでありがたいのです。
痛い痛いって言っている方が実は熱傷はイイんですよね・・・。それなら基本Ⅰ度かⅡ度なので・・・(Ⅱs or Ⅱdは一応この際置いておくとして・・・Ⅱdは怖いですけど・・・)。水疱(水ぶくれ)があるかどうかとかもチェックしつつ・・・
基本は冷やしたのち来てくれるのであれば生食で洗浄のちゲンタシン軟膏+アズノールの1:1配合の奴をガーゼにべたくり塗りまわして優しく傷口覆うのが正解かなあ・・・。もちろん夜間救急対応なので、これで「処置完了」と言うよりは「応急処置」で、翌日あるいは土日明けとかに近場のクリニックいってねって言いますが・・・。基本その「応急処置」で何とかなると思うんですけど、一応専門の先生に診てもらうのが一番いいですからね・・・一応クリニックいってねって指示は出してます。
ただ年末年始みたいに・・・どこの病院もやってないぞって時、そういったときに軽い熱傷患者は見たことないんで・・・そういうときにどうするんだろうって脳内シミュはすることはあれど、どれが正解なのかはわかりかねるとこでもあるのです。
でもありそうですよね、お雑煮作っててこぼしたりとか。うーん・・・。むずいですね。そういった対応ケースを症例レポートにして、日本全国夜間救急対応症例マニュアルサイトみたいな医師のみのサイトとかできませんかね。
M3とかでたまにやってるコラムが正解なのかな。でもあれも結構意見分かれたりしますよね・・・。胃洗浄についてやる、やらないが丁度半分に分かれてたり(年代にもよるのかも?)・・・。難しいですね、医師って「一人の武将」ってたとえをツイッターで見ましたが、その通りなのかもなあって思います。皆個人それぞれ治療に一家言持ちで、やっぱりこう・・・難しいですね・・・。
ちなみに痛みがない熱傷の場合はでかめの病院で当直して外科がいるならもう呼びます。いない位のちっちゃい所でのバイト救急とかであったら・・・応需しちゃったら転送、応需の時点でⅢ度だなって思ったらもっとデカいとこに送っちゃうと思います。その方がお互い手間じゃないだろうと思うので・・・。遠くなっても大きい病院に運んでもらった方が、ワンクッションうちで見て結局対応できなくて転送して・・・って対応するよかマシでしょうって思ってしまう。
〇子供のけが
これが一番・・・・・・・・・・・・・困るんですよね。いろいろと問題はあるんですけど、
「若さゆえの治癒力」に対して「若いが故の体力の未発達さ」
「親の干渉」
などがあります。特に親ですね。分かるんですよ・・・凄く小さい自分の子が怪我したり熱傷で来てしまったとき、正直自分の顔に傷が残ってでもいいから子供には残ってほしくないって思うのが基本親のサガだと思うんですよね。
小児科のDrがいるならそっちの先生に診てもらっちゃう・・・と思います。
でも小さい規模の病院の救外当直(本当にある)とかでであっちゃうケース・・・。成長段階でナートしてつっぱっちゃうようになったりとかしても困るし、熱傷もなあ・・・。熱傷はまあ対応するけど、やっぱり子供の縫合はかなりこっちもナイーブになりますね、個人的にですが・・・。
うーん・・・。子供の病気もそうですが、子供って総じて治療が難しいので苦手です。日々勉強を欠かさないようにしなければ・・・と思いつつ・・・、専門の先生がいらっしゃるならそっちに・・・ってお願いしちゃうのも・・・本音で・・・。
〇骨折より個人的に怖い脱臼
いやあ、ぶっちゃけ骨折も嫌です。嫌ですけど・・・。
まあまず骨折のはなしを・・・。個人的になんですが、脱臼よりも骨折の頻度の方が高い気がするのです。体感ですけどね、脱臼より折れてくる方が・・・まあいいというか、いや良くはないんですがソレ言ったらまずそもそも骨折も脱臼も起こらない方が良いのは確かなんです。そもそも論で・・・。
骨折ってまあ分かりにくいんですよね、側方Xpとかで見ても「これかなあ?」って思うときがあって。何ならレントゲン程度では専門の整形外科の先生でさえ「はっきりとは分からん」ってなることが多いです。精査だとMRIとか使ったり・・・。でも骨折のいい所って「固定」でとりあえず何とか基本はなるってところですね。シーネ固定でガチガチに固定して、整形にかかりなおしてもらってそこでギプス固定してもらう、みたいな形をとれるので知識とシーネさえあれば何とかなるケースが多い気がします。子供の骨折の場合はキッチリナイーブになって冷や汗流しながら対応、あるいは専門の先生が院内にいらすなら一緒に対応がベストなんですが・・・。
脱臼は・・・困るんですよね。最善の選択肢としては可及的速やかに整復がベストチョイスなのです。
正直ここまで書いてきたんですけど、「見逃される」と言う言い方は良くないかもしれませんが、「前医との診断が違う!」ってのは良くある事じゃあないですか。腹痛で便秘だと思って下剤処方されてたけどその実腹痛の答えは尿管結石だった・・・みたいな。Criticalになりうるようなものではないからこそ、何とか治ってよかったねでなっていますけど・・・。
脱臼も「骨折」って診断されて間違えられるってのは往々にしてあるんじゃないかなあ?って思うところはあります。専門ではないのでわかりかねるのですが・・・。
あ、あと脱臼についてですが、大腿骨の脱臼の場合はもう専門家にお願いしますね・・・。肩関節とかの場合も院内にいるなら整形外科の先生にお願いしちゃいます。
肩関節ひとつとっても、ただ整復方法いろいろあって・・・。自分はまずStimson法をトライするつもりで考えています。ヒポクラテス法って今ファーストでやるべきなんでしょうか?難易度高いし、結構侵襲度も高いのでやりたくはないのですが・・・。それするくらいなら今セカンドで拳上位牽引法をやりますよね。ヒポクラテス法って自分が学生の頃の講義でも「もうやらないよ」って言われた記憶・・・。
ファーストならStimsonですかね・・・。
〇顎関節脱臼 どうする?
あごの領域って歯科口腔外科領域なんでしょうか?それとも整形外科領域なんでしょうか?
分からん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。どっちも対応できそうではありますよね。
まあ・・・自分が診るときは「シリンジ法」をやるつもりでいます。
顎が外れた患者さんに2.5-5mlのシリンジを咥えてもらって口で転がすだけ。それで「カッコン」ってハマるらしいです。ERでの感度97%?くらいあったような。凄い・・・。
これ発明した人天才だと思うんですよ。これなんで知ってるかって言うと・・・研修医時代いろいろとあんま経験しない症例も脳内シミュで色々考えてた時、ふっと「顎関節脱臼」来たらどうするべきなんだろう?って思って調べてみたときに見つけたんです。
すごいですよね・・・・・・・・・・。適応外の患者は意識が無かったり、意思疎通が困難な患者の場合になります。でもまあ・・・意思疎通が困難な患者(認知症とか)の患者さんの口の中に手を突っ込んで整復するのも十分此方からしたらすげー怖いですけど・・・。そういったケースもレアなのかなあって思うのです。
シリンジ法が万が一ダメであれば徒手整復も試みつつ、ダメなら人呼ぶって感じですかね・・・。
〇選択肢
いずれにせよ一人でできる選択肢は多く持っといた方が良いなと思いつつ、誰かに助けを求めるってのも選択肢に入れておく必要性は大事だよねって思うのです。
でも助けを求めた先生にも「リターン」があってほしい。そういう制度ができればなあ・・・。ちょっとでも頼みやすくなるのに・・・。
責任の押し付け合いとかじゃなくて、純粋に助け合いしたいですよね。
助け合いと言うか・・・・・・・、Money絡みあっての助け合いで良いので。リターンがあってほしい。と言うかあってほしい・・・。
オンコールだって、待機料が発生してほしいですよね。オンコール日・・・。
それなら、上級医の先生もやって下さる日増えるかもしれんし・・・
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