Laifu 7

お疲れ様でしたぁ!


現場のみんなに頭を下げながら挨拶して
足早に楽屋に戻る。


ちょうだいって手のひらをひろげて
昼休憩からずーっとおあずけだった携帯を受け取った。


Lineに着信アリ、
どうだろうか、帰ってこられたかな。。。


ジャケットを脱ぎながらも視線は画面から離さない


今日、会いたい
会えなくても同じ東京の空の下に戻ってきてて欲しいよ


あの日から幾度〇〇との逢瀬を繰り返せただろう
まだ片手で足りてしまえるほどか
なかなかスケジュールが厳しくて、
○○はしばらく東京にすらいなくて


○○のことを想うと、彼の耳たぶの辺り、くせのある髪 あの体温、ヴァニラのような甘い薫りが鼻先にまとわりつく


細っこい体躯、
胸を上下させる度に俺のデコルテに振りかかる熱い吐息
躍動する柔らかな筋肉


ああ… 生々しい記憶が一気によみがえってきて平静を装うのが難しい


口元をぐっと引き締めつつ、画面をチェックした


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Barに寄ったのは、気持ちを落ち着かせるため
二人きり個室で待ち合せたら、
○○みたく胸に飛び込んでしまいそうなくらい胸が高鳴ってしかたなかった。


まだこんな気持ちが俺の中にあったなんて
余裕がなくて、
○○しか見えなくなりそうで正直戸惑う


高校生か?と自分を揶揄しつつ重い扉を押した


うす暗い店内、目を細めて左右を伺うと○○が小さく手を振っていた
飛び上がるくらい嬉しかったけど、なるべくゆっくり歩く
お疲れさん♪といいながら席についた


ウェイターにハイボールを注文し、 ○○に向き合う

天井の淡い間接照明にいっそうシャープな頬のラインが陰影にうかびあがり
大きな瞳は長いまつげを伏せてテーブルの上の俺の指先をいとしそうに見つめていた


天候に恵まれスケジュール通り進んだこと、中休みに近郊を散策したこと
久しぶりにとてもきれいな海をみられて夕日がきれいで みんなで地元のおいしい海鮮酒場で打ち上げをしたことなど
しばらくたあいもなく笑いあった


xxくんと一緒に行ってみたいな…


○○がそう独り言ちた瞬間 空気の密度が濃くなって沈黙
左手で頬杖をついて髪をいじる仕草、アルコールに濡れた薄い唇は何かしら言いたいのか…

俺は無性に○○の頬から首にかけてのラインに顔をうずめてあの香りを嗅ぎたくなった


そろそろ行こうか
ちょっと微笑んで二人の視線が絡んだ


うん

立ちあがり際、
テーブルに突いた俺の指先に別の指先が重なったのは

偶然な、 わけではない


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