16. いつかどこかで
賞レースも書籍化も興味がない。
それを「欲」がないというべきか、「意欲」がないというべきかも分からない。
どうやら、誰かに届くことが前提でその先を想像するよりも、
おいらは誰かに届けばいいな、と夢想する方が好きなようだ。
それくらいのボリュームが己が人生にも符号しているし。
この目立たない、華もない、心地よくもなければ、
楽しげでもない地味なそれを見つけて目を通したその人の中に何か残せたら、
と思う方が断然ときめくのだ。
ばかみたいだけど、がぜん気持ちがキラキラするのだか