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転倒要因とその身体的特徴


人生100年時代に伴って転倒は誰もが避けて通れない時代になっている。

 転倒は、要介護の主要な要因となっている. これは、転倒による外傷, 特に要介護者にとって骨折は身体的な障害が生ずるだけでなく、転倒の恐怖感が生じ、転倒以降の身体活動を著しく制限することで、生活機能が低下する。また、転倒によって股関節骨折を受傷すると、手術を含めて年間約140万もの医療費がかかることから 転倒予防は早急に解決すべき最も重要な課題となって いる。

発生場所:

施設入所者は病室内が半数以上。一般住民は道路や歩道が半数を占める。
 

発生時間:

施設入所者はAM6-7時、PM5-6時の順に多い。食事・トイレへ行くために活動性が上昇。一般住民はAM10-11時、PM2-5時の外出機会に多い。

骨折の発生場所:

前期高齢者は転倒の際に手をつくため橈骨遠位端が多い。後期高齢者は手が出ず、転子部・頚部や上腕骨近位端が多い。

また、転倒の危険因子を把握することでリスクは30-40%減少する。

年齢・性別:

80歳以上で転倒リスクは高くなる。自立した生活を送る前期高齢者で約20%、後期高齢者で25%。 性差では、75歳までは女性方向が高い。75歳以上は性差なし。

転倒歴:

1年以内の転倒歴は高リスク。危険率は約3.8倍。ほかのリスク因子よりも高い関与を示す。

起立性低血圧:

ふらつきや失神を引き起こすことが危険因子。糖尿病、長期臥床、服薬状況によって、より生じやすくなる。

服薬状況:

65歳以上の女性で精神安定剤、抗うつ剤、抗てんかん薬の服用。また、5種類以上服用の場合。

視力障害:

視野狭窄、暗順応・遠近感・コントラスト感受性の低下、4m離れた場所で顔を識別できないとリスクを高める。

認知機能:

MMSE23点以下。転倒恐怖は、活動制限をもたらし廃用を招く。

参考文献

川上 治, 他:高齢者における転倒・骨折の疫学と予防, 日老医誌, 43, 7-18, 2006

理学療法リスク管理マニュアル 第3版, 三輪書店 「加齢と転倒」

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