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msy03
Garden3
…帰ろう。そうだ。知らない人だし、ちょっと見かけただけの人。
私は自分に言い聞かせるようにして、ただひたすらに歩く。いつの間にか青山通りまで来ていた。
肩と肩がぶつかるくらいの人混みを見ていると、私はつくづく1人ぼっちなんだと気づく。
誰にも気づかれず、ひっそりと息をしている。
ステキな人に出会えても、ただ遠くから眺める事すら許されないんだ。
思ったより傷ついていた。
ただの通りすがりに、何を期待してたの。
青山通りから、アンティーク通りに向かう頃には少し落ち着きを取り戻す。
もう何かに期待するのはやめよう。
これじゃまるで、ストーカーだ。
好きとかじゃない、ちょっと会いたかっただけ。
コンビニでレモンのハードセルツァーと、ドライサラミ、卵のサラダを買うと1人暮らしのマンションへと帰る。
「ただいま」足元で出迎えてくれる大切な子猫ちゃん。
この子だけでいい。男なんてこりごり…今までと一緒だ。
なのに、あの白くて大きな手を思いだす。
長い指がめくるページに自分を重ねてしまう。
あの子にも、そんな風に優しく触れるんだろうか。
もう、二度とあのカフェには行かない。
そう決めた。
その後、思いがけず彼と再会することになるとは
この時はまだ夢にも思わなかった。
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