ガーデン



鳥は春を告げて
私は恋をして
素敵な温度だけ
触れさせて この肌で

雲は夏を帯びて
私は目を閉じて
綺麗な時間だけ
追いかけて 尽きるまで
ガーデン 藤井風

鳥達が愛を囁く春。
大好きな人とちゃんと通じ合いたくて。
独りよがりじゃイヤだよ。
冷たくもなく、熱すぎもしない。
素敵な温度って気持ちいい。
あなたの首筋や、背中や、腰や、足首の。
ちょうど良い体温が。
私の腕に絡みつく。

夢中になったら負けてしまうけれど、負けるのも悪くないと思わせる程に魅力的。
さらっとピアノを弾くみたいに、抱きしめられる」



「やば」は何度聴いても難解。

巧妙な仕掛けが幾重にも重なっているから、死生観なのか、性愛を歌っているのか見分けがつかなかった。(実は今でも答えは分からない)

エロスを期待するのは、私達ファンがそう聴きたいだけだからかもしれない。
本人の口から本当の意味が語られる事はなさそうだ。
「ホントの意味がわかる?」って試されてるみたい。

でも、ガーデンはちょっと違う。
ガーデンは恋の詩。
初めて聴いた時から、そう感じている。
ステキな温度=体温だから。
それに「触れさせて」だなんて。
ときめく…。


ど真ん中の歌詞、
ストレートでとても分かりやすい。
ガーデンは人生そのもの。四季を人の一生だと例える人もいる。

人生の話もいい。素敵です。

でも誰かを好きになって温かい肌に触れる興奮から、
別れを迎えるラストまで一気に聴かせるストーリーの方が私は好きだ。

恋も愛もずっと、穏やかな春ではいられない。
激しい夏や、孤独を求める秋や、ひっそりとフェードアウトする冬があるからこそドラマティックだ。



夜が秋を呼んで
私は旅に出て
素敵な出会いだけ
待っていて その日まで

だから冬よおいで
私を抱きしめて
その手の温もりで
生きさせて 溶けるまで

ガーデン 藤井風

「美しい恋が終わると冷たくて真っ白な冬が来て、私は私を抱きしめる。
暖かい手で、私が溶けてなくなる前に。
あの人を思い出させて。生きていた証に。」

一人称が「私」のこの曲。
リスナーに全てを委ねて『あなたの曲だよ』って言われてるみたいな錯覚に襲われる。
(「死ぬのがいいわ」「特にない」なども女性目線だから静かに心が乱される。)

そして、女性目線の歌詞では、性愛やダークな心理描写を入れてくるのも特徴。
彼自身の内側にある、重たい感情が第三者が語る事でライトな形で表に出る。

花は咲いては枯れ
あなたに心奪われ
それでも守り続けたくて
私のガーデン 果てるまで

人は出会い別れ
失くしてはまた手に入れ
それでも守り続けたくて
私のガーデン 果てるまで

ガーデン 藤井風

「風が吹く度に、私のガーデンが揺さぶられる。
むせ返る程の花々が咲き乱れる中に1人ぼっちでいると、私の心を奪いに表れる。

その美しい指先で、低く甘い声で。
私の一番柔らかな、大事な部分を触りに来る。
気が遠くなるような快楽を与えられても。
イヤだと言えない圧迫感に心地よく追いつめられても。

私の庭に入ってこないで。
でも、入ってきて。
頭と身体が混乱する。

心地よい風で撫でないで。

私だけのガーデン、果てるまで」



あなたに心は奪われ、色々な経験もした。
何もかも奪っていかないで。
溺れすぎて息ができなくなる。

私は私だ。

恋なんて矛盾だらけ。

枯れ果てるまで、私は私だ。

私の庭は、私だけのもの。Garden。

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