愛の循環
母と父が他界して10年
成人式も大学卒業も就職も祝ってもらうことなく
ただただ、寂しさを感じるうちに
返ってこない愛を両親に伝え続けるのが苦しくなった
母を憎むことで、自分の大事な気持ちをがんじがらめな鎖で縛り付け抑え込んだ
他に自分を護る術を知らなかった
もう傷つきたくなかった
母を憎み闇ばかりを見始めた私は、自分にも他人にも冷たくなった
8年間の憎しみの末、1年前の12月、自分さえも消し去ることに決めた
日にちを決め、準備をし、心も整っていた
最後の夜は、明日を見せてあげられない自分に涙し別れを告げた
ところが、計画は失敗
生き残ってしまった
あの時殺した自分をこれ以上責める気力はもう残っていなかった
この人がどうすれば生きていけるか
気づけばそればかりを考えていた
私を殺せるのも救えるのも私自身しかいなかった
半年間、消し去った自分の素直な気持ちと向き合い続け
どうやっても大好きでしかいられない母と父への愛が心に刻まれていることを再確認できた
愛があることが分かれば私自身を大切にできるようになった
私自身を大切にしていれば、自分自身を傷つけている他の人に優しい言葉を投げられるようになった
励ました相手が、自分自身を癒し、さらに、傷ついた誰かに優しくするようになった
救いたい相手をどうしても攻撃してしまっていた彼女は、自分の気持ちを素直に伝えることで相手をも救えてしまった
仲直りしたあとの彼女の優しさに溢れた素敵な笑顔が忘れられない
愛は循環する
ずーっと昔から本当は知っていたのかもしれない
もう一度、それを感じられて本当に良かった
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