SWⅡ光と闇との誘い

草叢から覗く耳。小動物と思って「お出で、お出で」なんて声を掛けたのに現れたのが猫型の獣人だったために戸惑う真白。まだ幼いのか、四つん這いにて這い出して来た。鞄から取り出したお菓子を与えたら直ぐに懐かれた。鼻を利かせない警戒心の薄さに呆れつつも、抱き上げる。丸まってる背中を撫でながら辺りを見渡しても、親が見当たらないし、訊いたところで言葉が通じないのか、首を傾げられた。降ろして歩き始めても、付いて来るし、残して行けないために連れて帰る。親が探してるのならば匂いを辿って追い駆けて来るはず…。動物と違って白っぽい毛が薄いために裸のままとは行かず、何か着させなければ連れて歩けない。取り敢えずはタオルにて包む。


キセルにて立ち昇る煙。森では似付かわしくない濃紺の着物を纏う紫の髪を結ってる妙齢の美女がソファーへと横たわってる。帯が確りと締められてるのに胸元と太腿が大きく開かれてる。爪先が伸ばされており、履き物が見当たらない。異様過ぎる違和感の塊に言葉を失う真黒だったのだけれども、お腹が鳴った事から我に返る。

「食い物を、寄こせっ!」

跳び掛かる真黒へ対してキセルを軽く振るだけの動作。襲い掛かる煙が吹き飛ばすままに真黒の背中を幹へと叩き付ける。何が起きたのかと理解出来ない真黒の前へと静かに立つ美女。

「くれてやれない事もないとしても、今は手持ちが無くてね」

旋毛へとキセルが振り下ろされただけに見えたのに身体を貫く衝撃を受けた真黒が白眼を剥いて意識を奪われる。


「予想以上に育ったわね…」

2つの膨らみと自らの平らさを見比べて溜め息を漏らした真白。背丈が抜かされるのも、最早、時間の問題。タンク・トップと短パンだけで防具を身に着けていない。走り辛く為っても、靴を履いて欲しいところ。肉体的に成長しても頭の中が幼いままなのか、甘えん坊なのか、隙を見て抱き着く。人目が矢鱈と多い町中では避けて欲しいところ。親が現れる事もないまま黄輝と名付けた獣人が手足をしなやかに伸ばした。腰まで届くブロンドの長い髪が風へと靡くと殊更に美しさが増す。素早さを活かせて前衛を任せられるために守り育てる必要性が減った。危惧してたからかいを受ける。肩幅の広さと体格良さが女性らしくないのに主張が強いバストを睨み付けて内心では毒吐く真白。

(如何して私だけが恵まれないのよ!?)

見上げたところで出っ張りが邪魔で顔を窺えない。輝きを放つ程に鞣された革ジャンを羽織ってる。張り付かせてる笑みを崩さなくても、感情を読み取った黄輝が茶髪へと唸り声を上げる。額に巻かれた布では隠せないくらいに逆立つ茶髪と髪飾りを撥ね除けて広がるブロンドが競い合う。一触即発の状況に人の流れが一気に離れた。

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