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「図書館制度・経営論」合格レポート

※合格レポートはあくまでも参考です。
 丸写しや類似レポートは不正とみなされるため、絶対にやめてください。
 
田中は2021年10月入学で全課程修了済です。

【設題】
字数指定:2,000字
設題の記入:要
「組織作りの諸原則の5項目を取りあげ、それぞれについて述べるとともに、図書館法第3条(図書館奉仕)に掲げられている九つの事項の学びから、これらを実現するためにはどのような図書館組織の構築が望ましいか、貴方自身の考え方を含め論じて下さい。」

【レポート作成上の留意事項】
①箇条書きでなく、レポート・論文作成法的な文章で書くこと。
②設題の内容をよく理解し、設題の順に留意し、自分の言葉で文章をまとめること。
③テキスト及び参考文献から引用する場合、出典(書誌事項)を明確にすること。
④テキスト以外の参考文献を効率的に活用すること。
⑤感想文やエッセイではなく、指定された教材等の学習成果を明確に反映させ、学術性に留意すること。
⑥本文文字数は、1,900以上であること。


合格レポート

1.序論
 本論では、組織作りの諸原則について概観するとともに、図書館法第3条に掲げられている九項目を実現するためにどのような図書館組織の構築が望ましいか論じる。

2.組織作りの諸原則
 組織とは、ある目的を達成するために分化した役割を持つ個人や、下位集団から構成される集団のことである。組織作りには5つの原則がある。
 ひとつは、スカラーの原則だ。組織をいくつかの階層に分け、階層ごとに責任と権限を明確にし、命令が上層から下層まで迅速に一貫して流れる状態であるべきとするものである。
 次に、専門家の原則だ。組織を構成する職員が業務について深い専門知識と熟練を身に付けることで、組織として経営の効率化と専門化された業務活動が可能となるというものである。
 そして、命令一元化の原則だ。命令系統を一元化することにより、職員は命令をひとりの上司から受けるようにすべきとしている。
 さらに、管理範囲の原則がある。ひとりの上司が監督する統制範囲には、適正な部下範囲があるとしたものである。
 最後に、権限委譲の原則である。上司は重要な問題や例外業務についての意思決定に労を費やすべきであり、定型化された業務や既知の問題については、権限を部下に委譲すべきであるとしている。
 組織を健全に運営するためには、上記原則を常に意識して業務に当たる必要がある。

3.図書館奉仕を実現する組織
 図書館法第3条第1項から第9項では、図書館奉仕について規定している。それぞれを要約すると、①資料を収集し提供すること、②資料の分類排列を適切に保ち、目録を整備すること、③図書館員は十分な主題知識を身に付け、積極的にレファレンスサービスを展開すること、④他の図書館や図書室と緊密な連携を取り相互貸借を行うこと、⑤巡回により過疎地域にもサービスを展開すること、⑥⑧集会的な利用や部屋の貸出ではなく、社会教育における学習の機会を利用して行った学習の成果を活用してイベントを主催したり、その開催を奨励したりすること、⑦時事情報を提供し、パスファインダーを作成すること、⑨他の公的機関と連携すること、である。これらを実現するためには、健全な組織運営が前提となる。先に述べた組織作りの諸原則を念頭に置いた上で、図書館の理念に沿った組織を構築しなければならない。
 図書館サービスを提供する上で重要なのは、常に利用者の立場からサービスを考える利用者中心思考である。図書館全体で利用者中心思考を体現するには、利用者のニーズを的確に把握し、そのニーズを満たせる職員を育成すること、熟練した職員が十分にその力を発揮できる環境を整えることが大切である。これらの観点から、どのように図書館組織を運営していくべきか考察する。
 まず、職員育成の観点から考える。組織内で職員の業務知識レベルを一定以上に保つには、マニュアルの整備が有効である。一般に、事務分掌規程によって組織内部の業務区分が規定されている。そして、各部局ごとに分掌事務を作業手順に従って具体的に定めたものをマニュアルとしている。マニュアルは業務を硬直化させるものとして捉えられることもあるが、実際は、組織内の先人が工夫を重ねて生み出した知識や知恵を確実に現役職員に継承するツールとして役立つものである。さらに、組織として随時必要を思われる研修を実施していくことで、マニュアルに留まらない質の高いサービスを行う職員の育成が期待できる。
 次に、職員が十分に力を発揮できる環境を整えるための組織構造について考える。組織構造には、機能別組織や主題別組織、利用者別組織などがある。ここでは、多くの図書館において採用されている機能別組織と主題別組織について注目する。図書館業務を大きく分けると、収集、整理、利用サービスの3つになる。これら業務ごとに部局を設ける組織のことを機能別組織という。この組織では、業務に対する職員の習熟度が高まり、組織全体として作業効率が上昇する。しかし、資料の主題は無視されるため、職員が十分な主題知識を身に付けられず、質の高いレファレンスサービスを行うことが困難となる可能性がある。他方、業務を主題別に分けると、職員は日々の業務を通して担当主題知識を研鑽することとなり、主題専門司書として成長しやすい環境となる。
 実際には、業務を主題別に処理するよりも、機能別に処理する方が能率的であるため、機能別に部局を置いている図書館が多いのが現実である。今後の図書館組織においては、機能別組織でありながらも、主題組織の利点を取り込んだ組織の構築が求められる。
4.結論
 本論では、組織作りの諸原則について確認し、図書館奉仕を実現するための望ましい図書館組織の在り方について概観した。図書館は、組織作りの諸原則を意識した健全な経営基盤のもと、図書館奉仕を念頭に置いた組織運営をしていかなければならない。

参考図書

・岩猿・大城・浅野『大学図書館の管理と運営』 日本図書館協会  [ISBN]4-8204-9201-2

・Peter Hernon, John R.Whitman 〔著〕永田治樹訳 『図書館の評価を高める』 丸善 2002 [ISBN]4-621-07085-1

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