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「情報サービス論」合格レポート

※合格レポートはあくまでも参考です。
 丸写しや類似レポートは不正とみなされるため、絶対にやめてください。
 
田中は2021年10月入学で全課程修了済です。

【設題】
字数指定:2,000字
設題の記入:必要
図書館利用教育実施のために必要な環境整備にはどのようなものがあるか、それぞれについて簡潔に述べるとともに、図書館利用教育をさらに浸透させるためには、どのような工夫が必要か、最近の動向も踏まえ、貴方自信の考えを含め論じてください。

【レポート作成上の留意事項】
・箇条書きでなく、レポート・論文作成法的な文章で書くこと
・設題の内容をよく理解し、設題の順位留意し、自分の言葉で文章をまとめること
・テキスト及び参考文献から引用する場合、出典(書誌事項)を明確にすること
・テキスト以外の参考文献を効果的に活用すること
・感想文やエッセイではなく、指定された教材等の学習成果を明確に反映させ、学術性に留意すること
・本文文字数は1,900字以上であること


合格レポート

 高度化した情報化社会の中で生きる我々は、正しい情報を入手することに苦慮を強いられている。このような時代において、客観的な情報を入手できる場である図書館の役割は重要だ。その図書館を効果的に利用してもらうためには市民への利用教育が必要である。本論では、前半で利用教育に必要な環境を挙げ、後半で利用教育をさらに世の中に浸透させていくための具体案を考究する。
 利用教育の実施には、組織の確立、予算確保、教員との連携、マニュアル作成、館員研修、レファレンスツールの拡充、メディアの活用が欠かせない。
 まず、組織の確立だ。個人に依存したサービス提供は、その個人が組織を離れたときに継続が困難である。そのため、図書館活動を組織的に整備して、人が入れ替わったとしても変化しない体制を築くことが大切だ。そうすることで、良質なサービス提供を継続するとともに、サービスを発展させていくことができる。利用教育を図書館業務のひとつと位置づけ、組織的に実施することが重要である。
 次に予算確保だ。利用教育を日常的な業務として実施するには、適切に予算を組む必要がある。利用教育にかかる費用には、教材作成、DVDの購入などの物品費や、指導を行う人材の確保と人件費、人材育成のための研修費がある。継続的な利用教育には、適切な予算の確保と計画の策定が必要だ。
 教員との連携も重要だ。教員が図書館を重視しているかどうかは、学生の図書館利用に大きく影響する。例えば、レポートや発表について、図書館を利用して調査を行うよう指導された学生は、図書館を利用するようになる可能性が高い。学生が図書館を利用するようになれば、利用教育の需要が高まる。教員と連携し情報交換を行うことで、より充実した利用教育が可能となる。
 マニュアル作成も必要だ。標準化されたマニュアルを使用すれば、担当者が交替した場合や多人数が分担して関わる場合でも、教育の質を平準化することができる。担当者に関わらず、利用者は等しく同等の内容の教育を享受できる。
 館員研修も大切だ。その内容は大きく3つに分けられる。利用教育とは何かを学ぶこと、情報源とその利用法、教育技術である。研修方法には、自己研修、館内研修、館外研修がある。館員同士での研究会や日本図書館研究会などの団体が開催している研修会へ参加したり、教員と連携したりすることで、図書館員は質のいい利用教育を提供できるようになる。
 レファレンスツールの拡充も重要である。図書館は、利用者が必要とする文献やデータベースを揃える必要がある。基本的参考図書に欠落がないか、継続資料の購入は滞りないか、ニーズに合った資料が十分に収集されているか、定期的に確認を行わなければならない。利用教育は資料群と検索ツールの活用を促進するために行うため、資料は常に整備されている必要がある。一方で、利用教育によって図書館の蔵書構築がより利用者の要求に合ったものになるという側面もある。利用教育を進めるとともに、蔵書の再構築を継続的に行うことが大切である。
 最後に、メディアの活用である。DVDが主流だが、パソコンソフトのパワーポイントによるプレゼンテーション形式、利用教育をライブ撮影した動画の配信なども増加している。これらのメディアを利用すれば、利用者は均一化された利用教育を享受でき、図書館員はより高度で細やかな利用教育を提供することができる。
 それでは実際、どのようにして世の中に利用教育を浸透させていけばよいのだろうか。
 図書館利用教育は日本の教育によるブラックボックスと言われている。文献調査法に関しては、学校教育の中でほとんど教えられていない。学校教育を終えた人々は、この高度な情報化社会で情報の探し方もわからないまま学習しているのだ。そんな社会人向けに、公共図書館や大学図書館の中には、図書館ツアーや文献調査法指導を行う館がある。生涯学習時代と呼ばれる今、学生はもちろん、社会人へ利用教育を開放することには大きな意味がある。
 より市民の中に利用教育を浸透させるための案として、YouTubeでの動画公開が挙げられる。国立国会図書館公式チャンネルでは、図書館利用案内や国会会議録検索システムの使い方など多数の動画が投稿されている。他にも、調布市立図書館や船橋市図書館が動画を公開している。2020年、爆発的に世界に広がった新型コロナウイルス感染症は、2021年11月現在日本では収まってきたものの、まだまだ世界で猛威を振るっている。そんな中、集団での利用教育は難しい状況にある。しかし、若者からお年寄りまで利用する動画投稿サイトを利用すれば、不特定多数の市民へ利用教育を行うことができる。従来の手法と併せて時代の流れに即した利用教育を実施することで、より大きな利用教育効果が期待できると考える。


参考図書

・『図書館利用教育ガイドライン合冊版~図書館における情報リテラシー支援サービスのために』
A4サイズ大きめ書籍。ページ数は81と少なめ。館種別ごとの図書館利用教育のガイドラインを図表にして示している。あるべき論を確認するのに便利。

・『図書館利用教育ハンドブック~大学図書館版~』日本図書館協会図書館利用教育委員会編
ページ数209と多め。図書館利用教育を現場で実際に進めていくときに参照すべき図書。図書館利用教育の定義から組織づくり、計画の立て方進め方などかなり実践的な内容。ワークシートやチェックシートなども盛り込まれている。

・『情報リテラシー教育の実践~すべての図書館で利用教育を~』日本図書館協会図書館利用教育委員会編
はじめに本書の目的や内容が簡潔に述べられている。理論編と実践編に分かれていて、どちらも平易で分かりやすい大衆向けに書かれていてとても読みやすい。情報サービス論のレポートを書く前に読みたかった本だった。利用教育について内容と実践例を端的に確認したい場合はこの本を読むべし。

・『大学図書館の利用教育』丸本侑子、椎葉モト子
大学図書館の利用教育というタイトルだけど、その内容は図書館利用教育全般についてもいえるもの。近大情報サービス論の教材よりも一歩踏み込んだ内容になっている。補助教材としていい。

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