とある女性の生きる道-23-

私には夢があった。

小学生の頃は、看護婦(昔の呼び方)になりたかった。

父の影響だったのだろう。
私も誰かを助ける人になりたかった。

その後、音楽をたくさん聴くうちに、歌手になりたいと思うようになる。

学校の友達や地元の親友とよくカラオケにも行っていて、うまいと言われることも多かったし、なにより歌うことが好きだった。

親に頼んで、あるレーベルが主催するボイストレーニング体験に参加させてもらったこともある。

初めての体験に、胸が高鳴った。

高校時代、あるオーディションを見つけた。

有名なアーティストの下でデビューができるというもの。
受けてみたい、と強く思った。

親に相談した。

今の生活を捨てる覚悟があるなら、受けてもいい。よく考えなさい。

私には、今を捨てる覚悟は無かった。

オーディションへの参加は幻となった。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?