とある女性の生きる道-28-

私は気が多い人間なのだと思う。

相変わらず、優しく接してくれる人に気が向いたり、好きなのかもと思ってみたり、告白してみたり、しないで心に閉まっておいたりしていた。

でも、ふとした時にいつも思うのは、曖昧な関係のあの人だった。

ずっと忘れられなかった。

そしてとうとう、正式に、お付き合いをすることになった。

しかしそれから少しして、大学で気になる人ができ、いろいろ思い悩んだあげく、私は曖昧なあの人に、別れを告げた。

よかったね、と言われた。

何がよかったのか、その時の私にはわからなかった。
だって私はあなたに対して、悪いことをしているのに。

今にして思えば、ずっと見守ってくれていたのかもしれない。
自分への思いはたぶん本当のものではない、と思っていたのかもしれない。
年齢相応の、本気の恋愛ができてよかったね、と。

それから何年も何年もして、会う機会があったのだが、その時の話はまたいずれ。