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【第2部】母ちゃん、いまさら学んでいます。

教育方法のこと

 横浜市の公立学校に33年間勤めていました。全ての学年を担任し、それなりに授業や学級経営もうまくやってきたと自負していました。

 日本の公立学校では、文部科学省の示す学習指導要領というものにのっとって学習が行われています。学習指導要領は10年に1回改訂されますが、この30年間、ずっと同じ文言が教育の最終目標として掲げられています。

 それは「生きる力」を身に付けることです。

 「生きる力」とはなにか。変化の激しいこの世の中を前向きに、しなやかに生きていくために必要な力、言語能力だったり問題解決力だったり適応する力だったりコミュニケーション能力だったり。この30年で多少の加除訂正(笑)はありますが、だいたいそのような力をさしています。特にインターネットの登場によって世界との壁が低くなり、いわゆるグローバルと呼ばれる社会が台頭してきてからは、みなさんがご存じのように、プログラミングやら英語やら小学校のうちから学ばないといけない、みたいに言われていますよね。それも「生きる力」を身につけるための1つの手段です。それにしても30年もずっと同じことが言われている・・・。それは何を意味しているのか。30年たっても日本の公立学校の学びでは「生きる力」が身につけられない、と読み取ることもできるのではないか、私が受けてきた授業、評価、と大きく変わらない(変わることのできない)日本の教育環境には、限界があるのではないだろうか、と思うようになりました。

 そこで、国際バカロレアという海外の教育課程について学んでみました。知識や技能の獲得を中心とする日本の学習とは違い、概念理解を目的とする教育課程です。今回の学習指導要領にも「深い学び」による「概念的理解」をねらう、とあります。深く考え、自分自身をメタ認知して、正解のない問いに対する自分の考えを決めていくことが重要になります。まさに「生きる力」そのものではないかと思いました。学べば学ぶほど、世界の教育の目指すものは、あまり変わらないと感じました。方法はさまざまある。きっとどれもメリットデメリットがあるに違いないけど、どうせ学校で働き続けるなら、日本以外の教育課程にも触れてみたいと強く思うようになりました。

 33年間務めた横浜市を退職して、国際バカロレアの認定校を目指す学校に転職しました。まだ2週間しかたっていませんが、刺激的すぎておもしろいです。

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