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お客様!それ,公式情報ではございません!

昔の話である。お正月の三が日が明けて間もない日に,レジにおいてお客様からこのようなことを言われたことがある。
「1月2日にネットで調べたら,「営業中」って出てきたからお店に行ったのに,営業していなかったわよ。どういうこと??」

その情報,正確性の担保はありません

インターネットの普及により我々は知りたい情報を簡単に入手することができるようになった。今日ではスマートフォンが普及し,情報検索がより身近な存在になった。外出するのに傘が必要か否かもスマホで調べればすぐにわかる。初めての場所に行く道順が分からなくても地図アプリを開けば道案内もしてもらえる。お店の名前で検索すればお店の住所や電話番号のほか,ご親切にも営業時間まで教えてくれる。この「営業時間まで教えてくれる」というのが中々便利で私も時々検索結果に表示される営業時間を参照することがある。

「多治見市立図書館」で検索したときの検索結果。画面右下に営業時間(開館時間)が表示されている

ところで,この検索結果に表示されるお店の住所や営業時間,必ずしも正確な情報であるとはいえないということをご存知だろうか。と,いうのも検索結果で表示される営業時間の多くは,お店や施設の運営者が記入しているわけではないからだ。

この記事を読んでいる人の中には「Wikipedia」を利用したことがあるという人も多いだろう。Wikipediaでは娯楽に関する記事から専門的な記事まで様々な記事を見ることができる。実は私やあなたはこれらの記事を自由に編集することができる。極端な話,「相対性理論」のページを私やあなたが書き換えたり,修正したりすることもできるのである。すなわちWikipediaは「善意のユーザー」によって成立するサービスなのである。
googleの検索結果に表示される営業時間もWikipediaと同じ構造である。私やあなたはお店の営業時間を自由に登録したり,修正したりすることができる。このため「善意のユーザー」が勘違いをしている,又は悪意を持ったユーザーが意図的に誤った情報を登録することで,間違った情報が表示されることもある。したがって,Googleの検索結果に表示される営業時間に正確性の担保はない

誤った営業時間が表示されている例 このお店の営業時間は公式HPによれば10時〜21時だがここでは金曜日の営業時間が10時〜16時30分と表示されている(現在は修正済)

これからまもなく,年末年始である。年末年始は営業時間を短縮したり,お休みしたりするお店や施設も多い。しかしながら,googleでは普段通りの営業時間が表示されるため注意が必要だ(※一応,注意書きとして「この日は営業時間が異なる可能性があります」という旨のメッセージが表示される)。
また,イオンのような大型商業施設では年末年始に関係なく元々テナントによって営業時間が異なることもある。こちらも注意が必要だ。

おわりに

googleの検索結果で表示される営業時間は正確性の保証がないことがわかったと思う。それでは一体どうすれば正確な営業時間を知ることができるのだろうか。
お勧めはそのお店や施設の公式HPを参照することである。大抵の場合,公式ホームページを見れば営業時間が記載されているし,年末年始などで営業時間が変更になる時には「お知らせ」などにその旨が記載されているがほとんどだ。公式HPでも小さいクリニック(規模の小さい事業者)などのHPだと古い営業時間(診察時間)のまま更新されていないこともあるためこの方法も確実ではない。しかしながら,「公式の情報」であるため,検索結果で表示される営業時間よりは正確である可能性が高いと言えるだろう。

googleの「営業中」の表示を見てお店に行った結果,お店が営業しておらず,怒り心頭になっている口コミ

間違っても検索結果で表示された営業時間を鵜呑みにした結果,お店が営業していなかったからといって怒鳴り込みをしてはいけない。上述した通り,検索結果に表示される営業時間はお店や施設の運営者が記入しているわけではない。インターネットを使う際はその情報を発しているのが誰であるのかを意識することが肝要である。

2016年頃から廃墟に関心を寄せる。2018年、実際に廃墟へと趣き、廃墟訪問にハマる。現在はその廃墟がかつてどのように使われていたのか、いつ頃廃墟になったのかを特定することに力を注ぐ。 地域・店舗限定のエナジードリンクを見つけることにもハマっている。自他共に認めるエナドリ中毒者。