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#19 the diary | 黄金の日々

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その日々よ永遠に。

僕は何の為に生まれてきたのだろうか。僕は何の為に生きているのだろうか。僕は何の為に呼吸しているのだろうか。僕は誰の為に生きているのだろうか。

順調だった僕の人生は地に落ちた。地に落とされた。それでも、僕は生きている。それでも。苦しい。息が詰まる。そんな日々。クラスではペテン師を演じている。そんな日々。誰も頼れない。僕はこの秘密を墓場まで持っていく必要がある。そう思っていた。僕は最善の道を進んでいるのだと。僕は正しいのだと。これで良いのだと。

♦♦♦

チャイムの音が鳴り響く。どうやらテストが終わったみたいだ。

小林:はぁ~、やっと終わったぜ!カラオケ行こうぜ!
藤田:悪い、今日は筋トレの日なんだ。
小林:脳筋かよ(笑)たまには息抜きも大事だぜ?
藤田:あんまり金が無くて...。悪いな、いつも。ありがとう。
小林:おうよ。でもお前の歌はある意味お経と同等やからな。いつか来るその日を楽しみにしているよ。
藤田:おう。じゃあまた明日。

段々と人が帰路につく。小林はどうやらダッシュでバス停に向かっている。まったく、あいつは自由奔放である。しかしながら、同時に気配りもできる。ああいう奴に出会えたことを、感謝しなければ。僕の数少ない友達。そんな彼にも、僕は自身の秘密を明かしていない。

頭の中で様々な思いが湧く。僕はこのままで良いのか。僕は幸せになっても良いのか。僕は生きてて良いのか。家庭はめちゃくちゃ。正直、お先真っ暗である。気分転換など出来るはずがない。そんな日々。辛い。誰かに助けを求めれば、この問題は解決するのだろうか。思考は伝搬する。そんなことをしたら、人はどんどん僕から離れていくのではないのか。そんな思いを胸に抱えている。

気持ちとは、伝染するものである。それがポジティブなものであれ、ネガティブなものであり、思考は伝搬する。私たちはそのような生き物なのである。「類は友を呼ぶ」という言葉がある。その通りなのかもしれない。捉え方は無限大。たとえ同じ経験をしていたとしても、人によって感じ方は違う。それが個性なのだから。受け入れるしかないのである。

迷ってばかりの人生。それでも。きっと私は日々成長している。私は学生である。しかしながら。学生としての人生はまもなく終わる。終わるのだ。文字通り。不安はある。それでも。たとえ日々後退するとしても。それでも。私はあがく。まだ見ぬ輝かしい未来を信じて。たとえ私の進む道がバラに満ち溢れているとしても。たとえ誰からも見向きされない人生になろうとも。少なくとも。私は私の人生を観察しているのだから。