4月12日の雑記。

濡れた街。
音もなく変わる信号の色。
度の合わない眼鏡で見下ろす街並みはどうしてもキラキラしている。

自分を元気づけるための外出はできず、
自分を慰めるためだけに歩き回る。

顔を上げれば人との距離を開けよう、
手洗いうがいをしよう、
咳エチケットを守ろう。

見える距離を創って、
見えない敵と闘うことに、
随分とみんな疲れてきている。

虚ろなドラッグストア、
血走る消費者の眼差し。
喫煙所を閉めるなと言われる喫茶店、
疲弊した相手を慰めることばをわたしは未だ知らない。

ぼんやりと見える道の向こう。
またあの先に行ける日は来るのだろうか。
文明の利器を使って、たまには時間をかけて、
逢いたい人たちに思うように逢える日は
いつ来るのだろうか。

はたして、
来るのだろうか。

「自粛 我慢 いつまで」
最先端の文明の利器にも解けないこの謎を、
だれもが解きたいと願って止まないこの秘密を。

いまこそこういう場には明るい話題を、と
そういうものを求められるのだろうと思うけれど。
思えば思うほどに書くことが手をすり抜けていく。

結局は三日坊主にも至らなかったこの雑記。

静かなよる。
歯ブラシ片手に裸足のまま踏み出した家の先での出来事。

シャワー上がりの火照った足の裏を
じんわりと地面が冷やしていく。

また、
逢いたい人に逢える世界が来るといい。
いまは、神にも願わずにはいられない。

明日は嵐になるそうだ。

空は灰色、
心は何色。

逢いたい人のなにかを思い出して。
手のぬくもりか、笑ったときの口の端か、息遣いか。

雨が降り出した。
夜が明けるまではやさしい雨がいい。

見えない敵に打ち勝って、
見える相手に逢うために。
さて、明日からも我慢しようか。

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