○山口代表ぶら下がり(改正政規法成立、党首討論後) 2024年6月19日(水)16時~ @参29控室

≪党首討論≫

Q、3年ぶりの党首討論の受け止めを。

山口)久しぶりに党首討論が行われ、今までにない顔ぶれで討論が行われた。時間が短いということもあったが、なかなか、かみ合った議論になり切れない部分もあったのではないかと思う。

立憲民主党の泉代表、あるいは維新の馬場代表、それぞれご主張されるときに、自らの立場ということも、よく省みた上で、主張を展開すべきだったのではないかと思う。例えば政策活動費については、泉代表自身が2022年に、われわれから見れば多額のものを得て、それを使っている。その内容をお示しして、その反省のもとに自民党に廃止を迫るというようなアプローチをしていなかった。いきなり結論で「やめろ」と言っているわけだから、あまり説得力がなかったのではないかと思う。また馬場代表についても、党首として合意をしておきながら、衆院でそれを基に賛成し、参院では一転、翻って反対に回るというちぐはぐな対応であった。しかも参院では首相の問責決議案まで出しているわけだ。それでありながら、馬場代表は首相に会期を延長して、こーしろ、あーしろ、ああいう課題を進めよと、そういう主張されるということは問責決議案を出したことと全く矛盾しているわけであって、党内で統制が取れていないのではないかと、そうも思われている次第である。

解散、あるいは総辞職を迫る主張もあったが、非常に国民生活にも関わる重要な判断であるから、それについていきなり結論を求めるというのも、説得力が十分ではなかったと思う。岸田首相、かなり厳しい批判を浴びながらも、冷静に答えようという努力をされていたように思う。

ぜひ、この党首討論のあり方について、教訓を得ながら、やるならばもっと充実した討論のあり方、そして本当の意味でこの国の大きな進むべき進路についての深い議論。国民の皆さんが聞いていて、「そうだ」と思えるような討論、これができるように今後期待したいと思う。


Q、党首討論について、首相は泉代表から衆院の早期解散を迫られ、経済などの課題に専念する以外は考えていないと発言した。どう受け止めたか。

山口)このところ首相は一貫して、そういう言葉を発せられていると思う。確かに先送りできない現実の課題、賃上げ、いま途中であるし、これから最低賃金の基本も定め、秋に実行する。外交課題もNATOの首脳会議、あるいは日本が主催する太平洋・島サミット、あるいは中東と日本との国際会議など、めじろ押しであるから、そうしたことを念頭に、先送りできない課題に責任を持つという話だと思うので、その通りに与党としてしっかり臨んでいくべきだと考えている。


Q、党首討論のあり方について、野党第一党でさえ26分程度。時間のあり方などでは。

山口)あるべき姿はそれぞれの立場でいろいろな意見があるのではないか。なぜ党首討論をやるようになったかと言えば、一般の委員会では特に与党の党首は、自らの考えを発信することができない。野党の党首も委員会で論陣に立つ機会が限られている。そういう意味で与野党のリーダーが大きな課題について丁々発止。有益な議論をする機会をつくるということなので、そのために必要なことは何かということを、意見を交わしながら、改善に努めていくべきだと思う。


Q、党首討論の内容について、泉代表との間で、岸田首相は憲法改正に対する対応を求める場面があった。岸田首相は任期中の憲法改正を掲げてきた。党首討論のやりとりを見て受け止めを。

山口)その立憲民主党が衆参でどういう対応を取っているのかはつぶさには分からないところがある。憲法の改正は真摯に議論を深めていくということが重要だと思うし、また議論の過程が国民に伝わって、国民の皆さんが理解しながら、その広がっていく。そういうことも同時並行で進んでいくことが重要だ。また、泉代表がおっしゃるような議論すべき論点があるというのであれば、それをしっかりと議論を尽くして、深めて、国民の理解につながるような努力もまた重要だ。

そういう意味では、そうした営みを続けた上で、国民の理解が成熟していく。そして特別な多数、改正に必要な特別な多数が自ずと形成されていくことが大切だと思うので、これからも与野党共に真摯な取り組みを期待したい。残念ながら、今国民の政治不信の強い現状であるから、まずは、憲法というあらゆる国民に共通する大きな課題であるから、政治不信を取り除いていく、与野党のそろった営みが重要だと思う。

また、各種世論調査によると、今政治に求めたい課題と聞くと、経済の問題、社会保障の問題、子育てであったり、外交であったり、そういうものは優先度が極めて高く出てきて、残念ながら憲法改正については、最低レベルの低い関心しかない。それで国会が憲法改正について、与野党で応酬していることでは、国民の皆さんはいかがなものかと思ってしまうかもしれない。そういうことを真摯に見つめながら、これから実りある深い議論を期待したいと思う。


≪改正政規法成立≫

Q、政治資金規正法が成立したことの受け止めを。

山口)これはまさに、きょうの党首討論でも指摘があったが、自民党が事件を起こして国民の政治不信を招いたという大きな課題であるから、やはり自民党自身がもっと積極的に具体的に、自らの反省を示しながら取り組むべきだったと思うが、なかなかその通りにはならなかったように思う。

与党として公明党自身がそのあるべき方向性を最初に「政治改革ビジョン」として掲げ、そしてまた歩みの遅い自民党を「具体案を早く出すべきだ」とリードしながら、結果的に党首会談で岸田首相、総裁のご決断が示されて、公明党の主張がほぼ取り入れられて、法律が成立をした。岸田首相との間では今国会で、再発防止策の制度を作る、具体的には政治資金規正法の改正を成し遂げると、こういう共通の目標を掲げていたから、これが達成できたということは、与党としての責任を果たしたと思う。

きょう参院の討論で、わが党の谷合正明議員が討論に臨んだ。そこで、この主な論点についてどう主張し、どう法案にまとまったかということを簡潔に指摘した。与野党ともに静まり返って、ほとんどやじもなく、皆さんが聞きいるとそういう場面であった。

この内容について、やはり公明党の掲げたことが、どう法律に実ってきたか、そして野党の皆さんのご主張も取り入れながら、幅広い合意を作ってきた。そういう真摯な訴えに対して、与野党の皆さんが真剣に耳を傾けてくださったのではないかと受け止めている。

法律が成立したので、これから、これを実行に移すということが大事であり、またそのためには、施行時期までに具体化しなければならない、そういう課題も残っているので、与党として賛成をした事項で、その議論を見つめるとともに、この出来上がった制度というものは、野党の皆さんも使う道具となるから、法律の賛否は分かれたが、しかし同じ道具をどうあるべき方向で使えるようにしていくかという点で、野党の皆さんのご協力もいただきたいと思う。

大局的には、これを政治への信頼回復のいわば第一歩として、これから政党、そして政治家が努力をしていく必要があるということを強く感じている。


Q、政規法改正について、抜本的な政治改革を望む国民の声は大きかったと思うが、国民の期待に応える改正だと思うか。

山口)説明責任を尽くすということは重要な課題だ。これが、尽くされたかというとまだ疑問なしとしない。これは、その事件に関わった人たちが今、裁判にかけられている。裁判の過程であるから、この結果にもこれからいろいろ影響が出てくるだろう。それですぐ終わるかどうかもわからない。だから説明責任についてはなお課題が残っていると思う。仮に、どんな結果になったとしても、大事なことは、同じ事件を決して繰り返さない、再発を防止する、これが重要だ。そのためには、政治家が、今回の事件になった経緯を見ると、会計責任者や秘書の責任にして、自分の責任を免れる。これが横行しているわけだ。だからこそ政治家の責任を問える制度を作るということが最も大事だったはずだ。今回の政治資金規正法については、そうした政治家自身の責任を明記して、それが公民権停止につながる、そういう厳しい制裁になるということで抑止力を高める。こうした制度を作ったわけだから、これは非常に重要な結果だったと思う。

 それと、その背景にある政治資金の流れを可能な限り透明化していく。透明化するという点でも、従来の制度にはない、さまざまな工夫をして、いろいろな透明化を高める手段が講じられたと思う。それを実行していくこと、国民の皆さんに見ていただくことが、これから最も重要だと思っている。

 ぜひ自民党には、残る説明責任については誠意を持って対応していただきたいと思っている。


Q、特に政策活動費の部分で抜け穴が残っているのではないかとの声もある。

山口)政策活動費については、使った項目と金額と年月日を公表するということになっている。そして、第三者機関を設置してチェックする。ここが重要だ。参院の参考人、与野党共に、推薦した4人の方が10年後の公表ということよりも、この第三者機関を設置して、チェック機能をつくる、ここが重要だということを指摘しているわけであるから、抜け穴というよりも、この第三者機関と、チェックの対象になる項目ごとの金額、年月を示したもの、ここは手掛かりになると思う。


Q、山口代表としては、今回の改正で国民の期待に十分応えたと思うか。

山口)政治とお金の問題というのは不断の改革が必要だ。今回は政治家自身の責任を明確にする。それと透明性をいろいろな角度、例えば資金の流れは現金ではなくて口座で管理する。そしてオンラインで収支報告書を提出し、インターネットを通じて有権者がそれを見られるようにする。また、第三者機関を作って、客観的、公正な立場、独立的した立場でチェックをする。こうしたことを重ねている。また、パーティーについても、別な寄付についての規制と公開の基準と同列にして、透明性を高めたわけだ。これは大きな一歩だと思うが、完璧かどうかというのは、これからこれをしっかり実行させること、そして二度と事件を起こさせないこと、これが重要だと思う。

なお、野党の中には、企業・団体献金の禁止、あるいは政治資金パーティーの禁止を声高に訴える政党もあったけれども、自らがパーティーをやり、そして企業・団体献金に依存している部分もあったわけだから、政治に一定程度のお金がかかるという以上、非現実的な主張ではないかとも感じている。個人献金は望ましいのだが、個人献金に望ましいという政治の取り組みをしてから既に30年。なかなか個人献金は増えてこない。今の経済の状況の中で、政治資金を個人献金でお願いするといっても、有権者の方々は「そうだ、そうだ」となかなかならないと思う。そうした中で、企業・団体献金禁止、パーティー禁止すれば、政治資金の供給が極めてなされにくいことになってしまう。そうすると政治活動が非常に停滞する。国民の声を聴くからには、議員自身が拠点を選挙区に設けて、そのための人を雇って、動くための車両を用意して、一定程度活動しなければならない。それは国から議員に出る資金だけでは十分ではない。そういうことを率直に見た上で、今の国民の皆さんに適切な、節度を持った政治資金をどうお願いすべきかという点は現実の問題としてきちんと作り上げる必要があると思う。泉代表も、現実的に対応するということを強調していたから、ぜひ自ら現実的な対応を実践するようにお願いしたいとともに、同じ道具で政治資金規正法を使って、同じレベルの活動ができるようにすべきだと願っている。


Q、信頼回復に向けた取り組みは。

山口)政治資金規正法の成立は大きな一歩になると思う。ただ、与野党の論争の激しい中で、その成立した内容がどれだけ有権者に伝わっているかというところは、これからの課題もあると思う。また十分明確になりきれていない実務的な課題についても前に進めて有権者の方に分かりやすい努力を重ねていく必要がある。そうしたことを真摯に取り組む。きょうは参院で自民党の佐藤正久議員が厳しい反省の言葉を述べながら、真摯な取り組みについて語っていた。野党から厳しいヤジが飛んだが、その佐藤議員の主張通り、自民党として誠実に取り組んでもらいたいと思うし、公明党も与党として結束して信頼回復に努めていきたいと思う。


Q、政治資金規正法改正で具体的な制度化に向けて、自公で煮詰めていきたいと話があったが。スケジュール感は。

山口)ここは、議論の機会を丁寧に探りながら、一歩一歩着実に進められるような、そういう状況をつくっていくということが大切だと思う。


以上


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