○山口代表 記者会見 2024年6月27日(木)12時10分 @衆院第7控室 ※東南アジア諸国連合(ASEAN)訪問について


 

【冒頭発言】

 中央幹事会冒頭、さわりを申し上げたけれども、正式に公明党のASEAN諸国訪問団について発表する。

 期間は7月8日発、17日着ということで行ってくる。訪問の国・都市は、マレーシアのクアラルンプール、ブルネイのバンダル・スリ・ブガワン、ラオスのビエンチャン、カンボジアのシェムリアップとプノンペンを予定している。

 訪問の目的は、日本とASEANの協力50周年の節目を期していくということであり、公明党として、ASEAN諸国との関係を強化する。また、日本との関係をより深化させるという意味で、時宜を得たものと思っている。昨年の12月に東京でASEANの特別首脳会合を行い、その時のイベントの一コマで、各国の参加した首脳の皆さんとも話をしたり、お会いする場があった。そうしたことも含めて、今回訪問する各国の政府要人、議会関係者、また重要な拠点の視察などを予定している。

 公明党との関係を個別に触れると、マレーシアについては、昨年、フィリピン、インドネシア、ベトナムを訪問した際、海洋保安プログラムでの研修生の受け入れと、法の支配に基づく海洋秩序の維持・強化という点で、3カ国と深化を図ったけれども、マレーシアも同様に、毎年のように研修生を送ってくる、フィリピンと並ぶ、いわば優等生の国である。マラッカ海峡に面し、南シナ海にもボルネオ島のサラワク州も抱える中で、非常に重要な役割を果たしている国である。

 また、ブルネイは、特に日本に天然ガスの供給を長年続けてきていただいている貴重な資源国という面もある。さらに、ラオスは、今年のASEANの議長国であり、国際会議を主催する国であるが、マンパワー、その他機材の点で、日本もこうした国際会議の主催国として振る舞えるように、いろいろな形で支援をしているという状況であるので、議長国としてのラオスに訪問する意義があると思う。

また、カンボジアについては、かつて内戦が行われ、和平合意が結ばれてPKOが展開し、その後の支援の一つとして、地雷除去活動を一貫して公明党は関わってきた。例えば、内戦当時、戦う4派の代表と私自身、北側氏や4名の国会議員で、それぞれ個別に会談をして、和平の合意の早期成立を促し、またその後のPKO活動に日本の自衛隊の参加の是非についての意見を交換し、それを基に推進した経過がある。実際に国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)が初めて展開して、PKOの本格的な日本の自衛隊参加の活動を行ったわけであるが、おおむね成功する傍ら、文民警察官の犠牲や国連ボランティアの犠牲も出る、非常に苦い経験もあった。その過程で一番、日本の支援の必要性を感じたのは、大量の地雷が全土に散らばって、埋められている、毎日のように犠牲者が続出しているという状況である。これを何とかしたいということで、地雷探知機と地雷除去機、これは公明党が政府に研究開発費の予算を付けて、これを推進したものである。その成果を踏まえて、カンボジアの地雷除去機関であるカンボジア地雷対策センター(CMAC)などを日本が支援する形で、除去活動を長年続けてきた。密度の高いところは、おおむね除去が終わってきているけれども、その跡に学校を建てたり、あるいは住宅を建てたり、病院を建てたりということで、民間の人たちの利用が促進できるようになった。

こうしたカンボジアのCMACを支援した経験が、今度はいわゆる「南南協力」、つまりCMACがその他の地雷埋設国の支援に当たる、それを日本が応援するという取り組みを拡大してきた。ラオスはその一つだ。ラオスも早くから公明党に接触してきて、「UXO Lao」という不発弾・地雷の除去機関を作って日本の支援を求めてきた。ここにカンボジアのCMACの経験を結び付けながら、ラオスの不発弾や地雷除去活動を支援してきたわけである。かつてトンルン首相、今は国家主席でいらっしゃるが、トンルン首相が日本を訪問した際、会談を行ったけれども、その際にも、日本の地雷除去機の能力の優れていることを自分自身が外務大臣の時に視察して確認したと。おおいにラオスにとって助かることで、今後も支援をお願いしたいというやりとりをしたことを覚えている。ラオス、カンボジアについては、公明党のつながりとして地雷除去が重要なポイントだ。

こうしたことが、ウクライナの地雷除去支援、これはG7の中でも日本にしかできない支援であり、またウクライナ側からも強い期待が示されているわけであり、日本政府としても地雷除去を巡る国際会議を主催する予定をしている。その基になるのが、カンボジアにおける経験であり、CMACの蓄積した経験だ。既にウクライナからは、人材を育成するということで、カンボジアのCMACにも案内したし、日本にも、その活動を民間企業として担ってきた山梨県にある日建、旧社名が「山梨日立建機」という企業だが、ここにもウクライナから人が来て、そうした来たるべき本格的な支援に備えた研修を行った。こうしたことがウクライナの復興に必ず結び付くように、しっかりとカンボジア、ラオスと意見交換をしてまいりたいと思っている。

なお、政党外交の一環であるから、政府要人のみならず議会関係者とも交流できる機会を望んでいる。こうした訪問によって、いわゆる新生・公明党となってから、ASEANの全ての国を訪問することができることになる。ぜひこれからも公明党はASEANとの関係をより一層強化、深化して、日本とASEANの協力、そしてまた地域の平和と安定に寄与できるように努力していく決意である。

訪問団の構成は、私が団長となり、竹谷とし子参院議員、中川康洋衆院議員、以上3名で訪問する。

以上の概要であるので、同行をご希望の方は奮ってご参加いただきたいと思う。

 

【質疑応答】

Q、政権与党として、政党外交を行う意義をどう捉えているか。

山口)政府と政府の関係が外交の中心になるけれども、政府同士だと、政府の互いのポジション、カウンターパートなどとの接触が中心になり、その点での外交に幅を持たせる、深さをもたらすという点で、政党の役割は重要だと思う。特に与党の政党外交は重要だと思う。特に議会関係者は、政党なればこそという点があるし、人間関係をつくることが立法府同士の交流にもつながっていくと思う。外国は、必ずしも二院制の国ばかりではない。そうした点でも、一院制の国も含めて、政党外交の役割は大きいと思う。

 それと政党は、活動の自由さを生かして、民間のさまざまな部門とも交流ができるということである。この点でも、日本の企業の人道支援活動と、相手国との活動を結び付ける。ここは政府が直接やりにくいところを機材の開発から、実際のDAOを生かした支援、そしてまた、経験の蓄積、それを南南協力に結び付ける。こうしたことも実際に公明党がやってきたことを振り返ると、政府だけではできないことだったと実感をしている。

 コロンビアについても、かつて政府軍とゲリラの内戦が長く続いていたけれども、ようやく主要なゲリラ勢力と政府が和平合意を結ぶ、そのタイミングでコロンビアを訪問し、日本の地雷除去支援を政府に働き掛け、またコロンビア国軍の地雷除去活動も視察した上で、それを能力アップを図るためにカンボジアのCMACと結び付ける。こういうことを公明党としてやらせていただいた。

これからも、そうした政党ならではの外交の特色を生かして、日本と諸外国の結び付きの強化に努めていきたいと思っている。

 

Q、コロナ明けからの公明党の外交を見ると、まず韓国に行き、ASEANに行き、中国にも行って、またASEANと、東アジアや東南アジアの中でバランスと取ることに腐心している。この地域で公明党がいろいろな国と対話を繰り返すことの意義は。

山口)中国は、国交正常化以来の長い、継続的な関係を重視して、これからも一貫していくという姿勢であり、特に政治の仕組みが、政府とそれを統率する中国共産党という支配構造、統治構造にあるから、とりわけ政府よりも、統治に実質的な責任と役割を果たしている中国共産党ときちんと関係を結ぶことが、中国の場合は重要である。そうした点でも、公明党の政党外交というのは極めて大切な役割を担っているので、これからもそうした視点で継続していきたいと思う。

 一方で、日本が第二次大戦後、最も開発や統治の仕組みについて支援してきたのがASEAN諸国である。外交関係樹立、ASEANとしての関係樹立は50周年の機を迎えたけれども、二国間の関係はもっと前から重なっているわけだ。そうした点で、ASEANという地域のまとまりを生かした上で、人口や国の面積がたとえ小さい国であっても、こうしたASEANという統合体を生かしながら、法の支配が徹底されていく、平和と安定が保たれていく、ここを日本が支援していくということは極めて大切な取り組みだと思う。

ここでも、政府だけではできない、公明党の政党としての取り組みが、例えば海上保安プログラム。これは警察行動としての海の活動機関。ここが軍の関係もさることながら、こうした警察組織の国際協力がネットワーク化されていくことが、より一層、安定を強めるというところに視点を持ち、また国土交通相を輩出している公明党としても、その深みをつくるという大切な役割があると思っている。

 地雷除去については、探知機や除去機を開発、一貫して進めてきたのは公明党だけだ。他の政党は、そこまで手が及んでいない。こうした独自の取り組みということも、政府のやるべきことを補う重要な軌道があると思っているので、こういう点でも、人道的な視点を重視して行っていきたい、継続していきたいと思っている。

 

以上

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