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『保護者からの質問に自信を持って答える!吃音Q&A』note連載 第9回:吃音の自然経過と合理的配慮

エントリー編
9:吃音の自然経過と合理的配慮


母親
吃音が治らなかったら,吃音がどんな風に変化していくのか分かると心の準備ができると思います。吃音は進展するという話も聞いたことがあるので。

以前,吃音は「第1層」~「第4層」まであり,進展すると本人の悩みも深くなると言われていました。しかし,「第〇層」という用語は海外では使われなくなり,正式な医学用語ではありません。

母親
では,吃音の進展段階の「第〇層」という言葉は不要なのですね。

吃音の自然経過を知るということでは,私は使っています。

「第1層」・・・幼児は苦しくない連発と伸発が主。
「第2層」・・・小学校低学年頃には自分の吃音に気づき体全体に力が入るため,難発や随伴症状が加わる。
「第3層」・・・語彙が増え,苦手な言葉を言いやすい言葉に変える言い換えが小学校高学年頃に始まる。
「第4層」・・・思春期になり,どもりたくないと,吃音を隠す努力を最大限に行うため,発話場面を回避する逃げ癖が出る。

母親
進展していき,学校に行かない,就職活動ができない・・・と引きこもりにならないか不安です。

そのような回避的な行動になった吃音者を数多く見てきましたが,時間をかけて立ち直っていく人も数多くみてきました。
その人たちに共通するのは,周囲に自分の吃音をカミングアウトしていることです。そして,吃音が出ても気持ちの落ち込みが小さくなっています。ただ,特定の名前や電話が苦手な状態を私は「第5層」と考えています。

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母親
そうすると,人前で話すことに回避的な人はカミングアウトをした方がいいのでしょうか?

カミングアウトをすることにより,メリットが必ずある場合は吃音があることを公表した方が良いです。例えば,高校で強制的に受けさせられることのある英検やGTECでは,面接またはスピーキングがあることを知ると,不安を覚え,受験したくない気持ちになります。ただ,吃音症に対する配慮があることを知っていると良いです。

母親
吃音症への配慮ですか?

英検のホームページに「受験上の配慮」というページがあり,音声言語障がい(吃音症)の項目があります。2次試験の面接に対して,「発話の配慮」または「筆談」の配慮が受けられることになりました。

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母親
それは吃音のある生徒が試験を受けるときの不安が軽減しますね。

GTECという英語の試験の場合は,スピーキングの免除を受けられることもありますので,事前に確認しておくと良いと思います。

菊池良和(九州大学病院耳鼻咽喉科 助教)


続き(note連載第10回)はこちら




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