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自分たちの活動をモデル化しよう!他の人のモデルを活用してみよう!

~「自信-謙虚-努力」モデルの紹介~

 SPIコミュニティの皆さんに伝えたいことは沢山ありますが、今日はモデル化の話をしたいと思います。CMMIやISO 9001などのモデルを活用してみることも大切ですが、一方で、自分たちの活動をモデル化してみることも重要です。応用が利くようになり、また別の人が類似の文脈で活用できるかもしれないからです。つまり、知識資産になるわけです。

 その意味で安倍氏のモデル活用に関する記事(20周年記念新聞 リレーエッセイ)に心から賛同しました。全ての技術者にきちんと腹オチしておいて欲しいと思いました(ちなみに、さっき読了した「夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業」も俳句作りの優れたモデルとその守破離を教えてくれました。後書きには素直にやってみる大切を強調していました)。

 過去には、僕たちのSPI経験(*1)(*2)に基づいて仮説構築型モデルとして発表した「ルールのルール(メタルール):みみちゃん(*3)」も、「改善意識学習モードモデル(*4)」も、「企業内エンジニアリング支援活動の視点RECOCO(*5)」も、是非参考にして欲しいなあと思います。SPI推進に悩んだ時になんらかの気づきが得られるはずだと思っています。

 ですが、ここでは、恥ずかしながら僕の個人的な活動モデルを紹介しようと思います。それは「自信−謙虚−努力」モデルです。

「自信−謙虚−努力」モデル

 「自信」とは、今自分が「できる」ことです。学んだことをやってみた上での成功体験が作ってくれるかもしれません。コンサルティングで相手が納得してくれた経験から生まれてくるのかもしれません。作ったツールが喜ばれたことかもしれません。自信は自分の魅力を作ってくれる生きる支えです。

 「謙虚」とは、今自分が「できない」ことです。自信の裏返しとも言えます。ずっとできていないこともあれば、自信として「できる」ことが増えれば増えるほど、「できない」ことが見えてくる場合もあります。謙虚だけの人間に魅力はありませんが、自信だけの人間も嫌らしいです。自信があればあるほど、謙虚になれる。全体俯瞰・目的指向でモノ・コトを見られるようになればなるほど、「できること」と「できないこと」がはっきりしてくるものです。

 そしてその謙虚から、「できないこと」を「できるようにする」ことが「努力」です。できないことが明確になっているからこそ、優先順位を付けて努力します。そしてその努力によって、自信をさらに大きくしていくようにしていくわけです。

 技術者の成長、人間の成長とは、この「自信−謙虚−努力」の輪を、それぞれどれだけ大きくしていけるか?にかかっているように僕は思っています。そしていつもこの3つを意識しています。自信を失うことも少なくないし、努力が足りないことを痛感することもしばしばあります。

 一方「できる」ことを思い出して元気になることもたまにはあります。この3つをバランシングしながら、技術者として成長していく。どんな仕事をしていても、自分が技術者であると思うならば、このモデルを胸に頑張って欲しいです。

 この春、後輩が新しい門出を迎えます。皆さんの中にも、新しい職場に、新しい役割に、新しい門出に立ち向かう人たちがいるかと思います。多分一人一人自分の「自信−謙虚−努力」の輪をすでに持っていると思います。古い「できること」を自信に、新しい「できないこと」を謙虚に、そしてそれらをベースに是非新しい努力の輪を広げて、全体を大きく広くして欲しいと思います。また、旅立つ皆さんだけでなく、この春に向けて技術者としてさらなる成長を目指す全ての人たちに、この「自信−謙虚−努力」モデルを捧げます。

 僕が作ったモデルですが、皆さんのお役に立てばと思います。また、他の人が参考にできるように、皆さんも是非いつかは自分自身の活動をモデル化して発表してください。期待しています。

 キミたちの未来に栄光を!(^0^)/

 艸薙 匠(くさなぎ たくみ)

(*1)小笠原秀人、「10年目のSPI~推進結果と今後の展開」、SS2010招待講演(WG企画)WG6、2010/6/9
(*2)藤巻昇、「東芝におけるSPI活動の特徴と実践結果、今後の推進方法」、SPI Japan 2012
(*3)艸薙匠、猪野仁、石川隆、「ソフトウェア開発プロセス改善活動」、東芝レビュー 2006 Vol.61 No.1
(*4)丸屋宏二、艸薙匠、「改善文化を創るSPI~改善意識中心アプローチ」、SPI Japan 2007
(*5)田中武志、白井保隆、田村朱麗、艸薙匠、「東芝グループにおけるSPI活動20年史と今後の展開について」、SPI Japan 2021