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「エシカルフード基準」セッション対話録 第10回

『エシカルフード基準』一部改定検討セッション(2023年2月24日9-13時)

「エシカルフード基準(大企業版)の一部改定を検討する」
参加メンバー:五十音順
井出留美さん
河口眞理子さん
佐々木ひろこさん
中西悦子さん
平井巧さん
ぺオ・エクベリさん
森枝幹さん
山本謙治さん
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」事務局メンバー


(瀧田)

本日はお忙しい中お集まりいただいて本当にありがとうございます。早いものでもうすぐ3月、『Tカードみんなのエシカルフードラボ』発足から2年立つことになります。準備期間、構想段階から含めると、2年半以上ということになっています。ちょうどスケジュールを見てみたら去年の25日に、『エシカルフード基準』の基準作りの最終セッションをしていたような状況で、本当に時が経つのは早いなと思っています。 

昨年秋に生活者にエシカルフードを浸透させていくための初めてのPOCを行いました。

この後、湯浅さんから報告させていただきますけれど、代官山蔦屋書店で行いました『エシカルフード基準』を満たしたチョコレートとコーヒーを生活者の皆さんに提示をして販売をするという取り組みです。明治さんにもご参加いただいたのですが、明治さんのホームページのサステナビリティの取り組みの中の一つとして掲載されたり、フードテックの明治さんのセミナーの中でラボの取り組みについてお話をいただいたりもしました。

POCの効果検証の中でも店頭でタブレット調査と購買履歴を分析していますが、エシカルに対する関与度合いに関わらず、生活者の皆さんはブランドのエシカルストーリーを明示すると、ブランドへの共感や購買意欲が上がるということがわかってきています

2年経ってようやくプラットフォームも形ができ始めてきているというような状況で、3年目に入ってこれから、ラボがより持続可能な形で続けていくためにはどうすればいいのかを考える時期に来ているのかなというふうに思っています。 

本日は多様な観点をお持ちの皆さんにお集まりいただいているので、お知恵もいただければと思っていますし、『エシカルフード基準』についても、ラボの持続可能性についても対話ができればと思っていますのでよろしくお願いいたします。芝池さんにバトンタッチします。 

(芝池)

皆さんおはようございます。

今日は、今瀧田さんがお話くださった通り、目的としては二つありまして、一つはテスト採点の結果、公開情報を基にして行ったものを踏まえながら『エシカルフード基準』大手企業版の項目と「しきい値」のブラッシュアップとラボの持続可能な運営プランについて検討をしていければと思っております。

最初に例のチェックインということで皆さんから一言ずつ近況をお伺いしてからスタートできればなというふうに思います。私がお願いしやすい人で、佐々木さんにお願いしてしまってもよろしいですか。 

(佐々木)

ありがとうございます。皆さん、久しぶりというかご無沙汰の方が多いと思うんですけれども、いかがお過ごしでしょうか?私の方は、4月からの新年度に向けて様々な仕込みをしている状況で、秋から過呼吸気味の状態がずっと続いております。来期は何とか大きなことをいくつかしたいと思っていますので、皆さんにお知らせできる時期が近いかなと思っています。よろしくお願いします。

(河口)

おはようございます。もう2年、2年も経ったのかと愕然としながら聞いておりました。2年間でこれだけきちっと詰められたっていうのも素晴らしいと思います。ただ世の中の動きがなんだかんだ言っても急速に変わっていて、お客さんの反応が2年前と今とで違ってきています。表面的にはこういう仕組みを入れるっていうのが表立って出すのは非常に難しいんだけれども、地殻変動的に、土の中では段々育ってきている、まだ芽が出てきてないけど、というところでずいぶん変わってきていると思います。どういう形になるかわかりませんが、せっかくなのでちゃんと種を大きくしなきゃなというふうに思っております。

(井出)

こんにちは。今月講演に行ったときに岐阜の長良川沿いの老舗旅館に泊まったら、そこの近くの飲食店がすごく美味しくて、また行きたいなと思っています。

広島の捨てないパン屋を取材して書いた私の課題図書を読んで作文を書いた子がいて、応募総数300万通ぐらいの中から内閣総理大臣賞に選ばれ、今月、授賞式に行ってきました。最近、日本は残念なニュースが多く、がっかりすることが多いんですけれども、登壇した小学校6年生、中学生、高校生がすごく素晴らしい文章を書いて朗読していて、まだまだ日本も望みがあるんだと嬉しくなりました。今日はよろしくお願いします。

(平井)

おはようございます。今自宅なので眼鏡なんですが、怖くてつけられなかったんですけど、43歳にして初めてコンタクトデビューをしました。仕事の方でいうと、今教えている学校が休みの期間なのでゆっくりしているんですけども、次年度に向けてのいろいろな授業の準備をしています。教育現場で食と環境の授業をいろいろ、いろんな大学高校と小学校でやっているんですが、子供たちの知識はすごく増えてきているなと思います。いろいろな学年でSDGsはじめいろいろな授業をしています。ただインプットだけで終わってしまっていることもあり、もっともっとアウトプットをさせてあげたいし、それに対して大人がどうフィードバックするか、大人にとっても学びがあるので、そういった場作りを次年度はやっていけたらなと思っております。 

(森枝)

最近、年末に子供が生まれました。女の子が産まれたんで、生活がかなり一変したなという感じですが、楽しい日々を過ごしています。子供もできて、短期間で物を見るのではなく、長期間でいろいろ考えると、ぞっとすることもたくさんあるし、それに対して何かできているのかと考えるとしんどい気持ちになる今日この頃です。子供が産まれてから初めて仕事関係で唐津の方にひとりで今出ていて、いろいろな窯元を巡っています。久しぶりにそういうのを見て楽しいなと思っている今日この頃な感じです。ペオさんは、今日はどちらにいらっしゃるんですか?

(ペオ)

今は日本です。アフリカに行く予定でしたが、ビザの関係で少し時間がかかったので、再来週ザンビアに行きます。まずは去年スウェーデンの視察ツアーが3年ぶりに再開ができました。大企業も連れて行き、合計で30人以上連れて行きました。良かった。そこでわかったのはどこに行ってもジャパンはすごい国ですねとか、人生で少なくとも一度はぜひ行きたいなど、日本への尊敬がすごい。だから本当にエシカルのシステムが成功すれば、世界でも広げられることに気づきました。日本発で世界に広げられる可能性が高いと思います。だから自分の国内のシステムだけで考えないでください。

あとバナナペーパーはかなり成功して、JICA支援で終わったばっかりで発表もできたし、バナナペーパーは実際に20カ国で販売しています。世界の五大陸に広げています。あともう一つ面白いのは、100%バナナプラスティックに成功しました。100%植物性のプラスチックができたばっかりで、近いうちに大きな発表になると思いますので、非常に面白いです。

(瀧田)

山本さんが遅れているので、私がチェックインを代読します。
「時間を勘違いしていて電車の中におります。ごめんなさい。コロナがちょっと落ち着いてきて、各地で講演に出るようになっています。そのときにエシカル消費とこの『エシカルフード基準』についてお話をして、その度に素晴らしいプロジェクトというふうに言われています。先日日経のアニマルウェルフェアシンポジウムの登壇者同士のパネルディスカッションの中でもこの取り組みのことは、かなりうけていました。ぜひ、社会実装に向けて頑張りたいと思います。」とメッセージをいただいております。 

(芝池)

ありがとうございます。今日も4時間で長丁場になりますが、よろしくお願いいたします。今日はくり返しになりますが、『エシカルフード基準』大手企業版のブラッシュアップという話と、もう一つ今後ラボを持続可能に運営していくためにはどうすればいいだろうかというご相談のトピックスとして二つあるんですけれども、どういう順番で話していくといいかも含めて相談したいなと思っています。いつも勝手に事務局が決めているのに、今日はどうしたんだろうと思うかもしれませんが、その背景も含めて、最初に瀧田さんから共有をお願いできればと思います。 

(瀧田)

はい、わかりました。まずこの『Tカードみんなのエシカルフードラボ』の置かれている状況からご説明したいと思います。これを運営しているのがCCC MKホールディングスという会社になりますけれども、当社のおかれているビジネス環境というのが年々変化してきています。

その中で、昨年秋にこの『Tカードみんなのエシカルフードラボ』やTカードと、Tポイントを運営しているCCMKホールディングスの経営が大きく変わりました。報道でも目にされた方がいるかもしれませんが、SMBCグループとの資本業務提携がありまして。2024年の春にはTポイントは三井住友のポイントであるVポイントと統合をして新ブランドとしてローンチします。そういう状況の中で、エシカルフード市場創出という今後何年かかるかわからないラボの取り組みに、発足から2年で今までかなり投資をしてきましたが、その継続をしていくことが難しいという経営判断が出まして、社内のアセスメントでは一旦撤退となりました。

ただこのラボを持続可能な形にして活動費を生み出しながら活動していくというような形にすることができたら存続してもいいよと言われており、その確度の高いプランを6月末までに提出することになっています。

私としては、いよいよこれからというときに絶対に諦めるつもりはないですし、6月末までに猶予をもらえたというのも、経営からの意思も受け取ったと思っているので、何らかのラボの持続可能なスキームを必死で考えて生み出し、いつまでも費用をかけてやっていけるわけではないことも発足の前から議論をしていたので、新しい形を考えて実行して存続させていきたいなと思っています。 

この経営判断が出たのが実は先週の木曜日なので、この『エシカルフード基準』のセッションの日程のご相談をしたときには、まさかそういう状況になると思っていなかったのですが、せっかく皆さんと今日4時間もセッションをすることができる時間があるので、事務局だけでは限界があることもあり、多様なバックグラウンドをお持ちの皆さんの観点をいただきながら、ラボの持続可能性についても考えることができればということで、一つテーマを追加しています。

もう一つ『エシカルフード基準』大手企業版の改訂というところで、昨年秋に代官山蔦屋書店でPoCを回していろいろな結果も見えてきています。手応えも感じています。代官山蔦屋書店だけでなく、一般のスーパーやドラッグストア、コンビニといった流通でこのPoCを回していきたいというふうに思っていて、いろんな企業だったり流通の皆さんと対話を進めています。

その中で、やっぱり現在の基準が日本の実態にそぐわない面がいくつかあるなと思っています。生活者がエシカルな観点やエシカルフードそのものに接することができない、学ぶことができない状態が続くのは、エシカルフード市場創出という観点においても大きな課題だと思っていて、一部の基準を見直ししたいと思っています。

元々基準の見直しを1年に1回はしようということでお話していたかと思うんですけれども、企業の皆さんとの対話を重ねてみると、日本の実態を把握することは本当に難しく、対話すればするほどいろいろなことがわかってきます。それを考えると、改訂の頻度はこれから高まっていくのかなと、その中でブラッシュアップしていくのかなと思っています。

いろんな企業の皆さんと対話もしていますが、それだけでは不十分なので、事務局でオープンになっている情報からいくつかの企業の『エシカルフード基準』を自主採点してみています。それをもとに、今日は改訂のポイントについて対話ができればと思っています。ですので、大きく二つのテーマのどちらからお話をするとよりいいかなというところは、進め方をご相談したいと思っています。 

(芝池)

ちょっとびっくりするところもあったかもしれません。私と有福さんもびっくりしたんですが、状況は変わったけれどもやっぱり瀧田さんの想いとしても、ここでラボを終わりにするつもりはないので、今進んでいる取り組みを踏まえて、基準のブラッシュアップはしていきたいなと。とはいえ状況が大きく変わった中でそこに対して違和感がある方もいらっしゃるんじゃないかと思うので、トピックスとしては『エシカルフード基準』のブラッシュアップと今後どう持続可能に運営していくかの二つを話したいと思っています。突然の共有で今の瀧田さんの話に関して、皆さん何か感想や、気になったことがあるかと思うので、もし何かあればいただければなと思います。 

(山本)

今のお話を聞いていて、事前にいろいろと環境が厳しくなっているということを瀧田さんから伺っていたんですけれども、そういうのは当然あろうかと思います。ただ、『エシカルフード基準』の話に入る前にここはみんなで共有しておくべきところじゃないかと思います。

エシカルということで、食品に関してイギリスのエシカルコンシューマーと長時間の対話をして、その知見を植え付けてもらって、国内でもこれだけの各部門の専門家が集まって、知恵を出し合って作った基準は他にないと思うんですよ。その尊さは、経営がどうとかいう話はさておき、絶対になくならないと思うので、僕はこの『エシカルフード基準』をなんらかの形で残していかなければいけないし、正直中身に関してはしっかりしたものであるので、残っていくと思う。これ以外に日本では「日本エシカル推進協議会」が作っている基準もありますけれども、より企業が実装するのに実践的な仕組みになっていると思うので、この仕組みを何とかして残していきたい。

実は、先ほど代読していただいたところでお話した通り、各地で今いろいろな講演をしながら、こういう仕組みをやろうとしていますと話をしたとき、例えば地方自治体や県の行政の反応がすごい。どういうことかというと、行政としては「うちの県はエシカルに力を入れています」と言いたい。でも、それどうやっていいかわからずすごく困っている。そういうところに、例えばこの間はとある県だったんですが、農家に対して『エシカルフード基準』というのがあって、Tポイントで今後、消費者がエシカルポイントが高くなったらあなたは本当にエシカルな消費者ですという情報が見える化できる仕組みを作ろうとしていると言ったときに、参加者がうわーっとなった。だったらやる意味あるよねと言って、その3週間後に、その県から秋葉原の事務所までやってきて、どうにかそれに関われないかと相談がありました。 

そういうことを考えると「うちの商品はエシカルです、うちの県の商品はエシカルです」とお墨付きをつけてほしい人たちはたくさんいると思うんです。でもそのお墨付きに対応する認証機関であるとか、エコラベルのようなものがまだ日本には存在していない。

だから、そこの部分をうまくこの『エシカルフードアクションスコア』の仕組みで、何らかの形で与えてあげることができたら、僕はビジネスとして成立していくんじゃないかなと思う。少なくとも47都道府県あるわけですからね。行政だけではなくて企業も「ここはエシカルです」とお墨付きをつけてくれるんだったらと思うところは絶対あると。だから僕は何らかの形で収益を取っていく方法はあるというふうに思っています。これから会社に駆けつけてビデオ参加します。ありがとうございます。

(瀧田)

心強いお言葉です。 

(河口)

山本さんがいわれたように、このプログラム自体が悪いわけではなくって、それを推進している母体が持続可能に続けていけるかが問題になっており、企業であればそういうことがよくあり、社長が変わったら方向が変わってなくなってしまうプロジェクトも、山のように世間ではあります。そういうレベルの問題ということで、ただこのコンテンツ自体が素晴らしいというのは皆さんがおっしゃったとおり。だからいかにどういう形で残していくことが可能なのか、また残していくだけではなく、どう活用してもらうのがいいのか、こういうことを考える。このプロジェクト自体を残せるようにと考えられれば。今言われたみたいに自治体でも欲しい人も多いし、私もあちこちで話をすると「それは素晴らしいですね」と皆さん言うので、これ自体は世の中的には望まれているんだけれども、誰がそれを預かってマネタイズしつつ世の中に問うか、誰がというところがいなくなってしまっていると。なので、誰かを探せというのが瀧田さんに6月まで猶予が与えられたっていう意味なのかもしれないですし、自分でやってもいいけどマネタイズできるようにねということなんだろうと思う。

そういうことを考えると、行政と組むっていうのは一つわかりやすい切り口かもしれないですね。行政もある程度客観的なものに基づいてやっていると言ったほうがやりやすいんだと思います。これだけ多方面の専門家が集まって作っていることだけでも世間的には非常に信頼感を得られると思うので、問題は誰にこの話を持っていき、どういう形でマネタイズできるか、マネタイズしないと存続できないということだと思いますし。

(芝池)

一旦皆さんがどう受け止めたのか。意味のあることだからやっぱり続けようと山本さんと河口さんがおっしゃってくださっていて、率直に今の話に対してどんなふうに感じられたのか、お1人ずつお伺いできるといいのかなと思っています。

(ペオ)

これは予算の問題か、管理運営の問題どちらでしょう? 

(瀧田)

予算と人、人というのは私。両方の問題です。

(ペオ)

両方ですね。はい。なるほど。まず山本さんに大賛成で、もう本当にすごいことができているのは間違いありません。いろいろな国々で働いていますが、このグローバルサステナビリティの場合、環境ラベルはなかなか日本ではないので、最初から環境ラベルになるか疑問の声もありましたが、基準は同じ。だから本当にチャンスは間違いありません。みんながやらないといけないグリーンウォッシュの法律が日本でも導入すればいい。ヨーロッパではそれに向けて進んでいますが、その時にはただエシカルとは言うことができないので。 

あるいは自分たちでやっていって、行政と組むことあるかもしれないけど、日本の仕組みはどれが信頼とかどれ信頼じゃないか、私は専門ではないのですが、海外で見るとこういったシステムが出来上がったときに、やっぱり企業はあまり賛成しないんですね。企業がやっぱり足を引っ張るところもありますね。環境団体は自分たちでやっていた。グリーンピースもそうでしたし、WWFの漁業は自分たちでフィッシュに関するガイドブック作ったりとか、よい魚、よくない魚のガイドブックを作ったりとかをしていた。いろいろな動きがあったので、日本だったら例えばNGOと組む可能性があればWWFやグリーンピース、エシカル協会もありますね。彼らと一緒に組んで第三者として、彼らが管理を手伝ったり。管理自体は一番大変だし予算も大変。予算ができたら自由に働くことができるけど、管理するの大変です。

私達も200以上達成しないとフェアトレード認証の会社にならないし、それだけ見ると本社はヨーロッパですけれども、彼らはいつも大変ですよね。だけどやっぱりそういった助けは必要です。それを見つければ。というのが海外の目から見た状況ですけど。それで結構成功しました。だから環境団体とかが運営始まったら、みんな汗かき始めてからもうやらないといけないとわかっているし、特にヨーロッパでは。諦めるのはもったいないし本当に諦めないでいきましょう。

(佐々木)

管理も含めて、おそらくでもやっぱりお金の問題が一番大きいんだろうなと。お金があれば管理もできる話なので。今ペオさんがおっしゃったNGOと組むというお話ですが、確かにヨーロッパはすごくそれで成功されているし、いいんですけれど、日本に当てはめたときにNGOと組むと企業がそっぽを向いてしまう可能性が高いというのが直感的にあります。

 行政と組むっていうのが私は一番堅いのではないかと思うんですけれども、でも今回の評価基準はもちろん農水省はすごく直結する部分が多いとはいえ、環境省はもちろん、財務省とかもTNFDを考えるとすごく影響がある省庁だと思う。多分野に関わってくるリスト、評価基準なので、どこと組むのが一番強いのかなと、すごく考えるところではありますね。財務省とかはどうなんでしょう、河口さん。

 (河口)

多分、TNFDをやっているのは財務省ではなく金融庁なので、金融庁はそういう仕掛けを作ることにあるんだけれども、具体的な評価をやらないですよね。これがいいです、あれが悪いですというのはやらないので、TNFDはこういう枠組みで開示してくれて、その開示の中身は誰がいいんですかというのは投資家の皆さんがご判断くださいという立場。だから金融庁にこの重要性を理解させるには3ステップぐらい必要なので、やっぱりファーストステップでわかる農水省などと組んで、ある程度の形にしてから横展開みたいなほうが、投資家の力も使ってみたいなことになると思います。ですがダイレクトに投資家というよりは、とりあえず消費者ですから、農水省、食品ということだったら厚労省ですかね。あと消費者庁。消費者庁のほうがエシカル消費などではバックアップしてくれるかもしれないけれども、具体的に事業を走らせるとなると、それにお金を出すのは役所としてどうなんだとなるなら、県などに活用してもらう方が現実的なのかなと思ったりもします。

 (瀧田)

未利用魚活用プラットフォームの方では行政とすごくお話をしていますが、この『エシカルフード基準』、『エシカルフードアクションスコア』では行政と全然お話はしていません。

 (山本)

徳島県は消費者庁が部分移転するということもあって、エシカル商品に力を入れるっていうことを知事が号令かけてやっています。エシカル企業宣言徳島みたいなものを、企業でエシカルな取り組みを宣言しているところは登録しますという制度をやったりしています。そこでイベントがあったときに、僕は徳島大学のエシカル消費の関係の講演をすることになって消費者庁の人たちも来ていました。この『エシカルフード基準』のことを話したわけではなく、エシカルコンシューマーのようなジャッジみたいなことをやりたいんですよという話をしたら、「なかなかランキングは難しいですよね。エシカルにもいろいろありますからね。なかなかそれを順位付けするのはどうか」といった感じでした。ただエシカルコンシューマーのようにNPOが独自基準でランキングするのは、確かになかなかバックアップしづらいだろうなと思いますが、この仕組みは、自主的に企業がうちの商品は『エシカルフード基準』を満たしていますからと手を挙げる方式なので、これはもしかしたらありかなと思ったりします。

 今のところ、エシカル消費の具体的な基準を作って、運用していこうという動きは、日本エシカル推進協議会と我々、いくつかの市民団体くらいですから、今だったら話をしに行って、まず協賛的な形で入ってもらうとか後援をもらう。河口さんがおっしゃったように、お墨付きみたいな形にはなる。あとはやっぱり協賛会員ですよね。ある大手企業は強制労働のベンチマークで、低いベンチマークをイギリスの団体にされているから、そこに対して一緒にやっていかないかと言ったら、きっと協賛してくれる。そういう企業はたくさんあると思います。だからそういうロビー活動に軸足を移す時期が来たのかもしれない。

 (ペオ)

ところで、スウェーデンに連れて行った大企業もそちらの企業でした。もう意識がかなりそこにも向かっていると思いますよ。

 (佐々木)

その企業のSDGs部長も私、知り合いです。ものすごく前向き。

 (芝池)

ここで中西さんが遅れて入ってこられたので、瀧田さんからがいいですかね。今のこの状況がどういう状況なのかを説明してもらえますか。

 (瀧田)

今の状況なんですけども、このラボの持続可能性についていろいろと厳しい状況に置かれている中で、今まで2年をかけてやってきたんですけども、今後これを継続させていくためには活動費も含めた持続可能なスキームを見つけなければ、活動を継続することができないというような経営判断が下りていて、一旦6月末までにかなり確度の高いプランを持ってきて欲しいという経営からのオーダーがある状況です。それに対してどう持続可能なモデルへの変換ができるかを議論し始めていました。

 今日のテーマとしてはラボの持続可能性と、もう一つは、とはいえこのラボを継続していくことをまったく諦めてないので、今後、社会実装していくにあたって、今の『エシカルフード基準』だと、日本の実態にそぐわない面がいくつか見えてきていて、そこについて改訂をするということの二つテーマがあります。

 そのどっちのテーマから話し始めるとスムーズだろうかということを、おひとりおひとりにお聞きし、ラボの置かれている状況について、ご質問だったり感想だったりご意見をいただいたりしていた状況です。

 (中西)

了解しました。

 (芝池)

なんとなく今の感じだと、『エシカルフード基準』を見直すというよりは今後どうしていこうかを話せた方がいいのかなと思います。例えば官公庁などからバックアップをもらう、自治体と連携をする、協賛金を企業から募ってくるというのが出たと思うんですけど、そこら辺を、瀧田さんの方でも可能性があるんじゃないかとたたき台は整理しているので、それを改めて共有してより具体的にどんなオプションがあるか話をしてもいいと思います。中西さんは今入ってきてくださったので、ちょっと急かもしれませんが、井出さん、平井さん、森枝さん、一旦感想などをお願いできればと思います。

 (井出)

私は「続けない」という選択肢はないと思っています。今までかなりの投資をしてきて、ゼロから立ち上げたからそれだけのコストがかかったのであって、これから持続するにあたって同じコストがかかるわけではないのに、なぜ難しいのかなというのが疑問です。難しいのであれば、優先順位をつけてコストカットする。100あったのを、ゼロにするのではなく、80とか50とかにして持続可能にしていくっていうことはできるんじゃないのかな?と思います。

 私が持っている資格で消費生活アドバイザーというのがあります。今、内閣府の管轄だと思うんですけど、認可を与えて更新制にして毎回お金を払うんです。資格保持者(サーティフィケーションを持っている人)、企業からお金を取って「更新できます」とするのもマネタイズの仕組みとしていいのかなと。

 省庁に関しては、食品ロスだと6府省庁が管轄省庁になっています。農水省、環境省、消費者庁、経産省、文科省、内閣府。そういった省庁と組んでやっていくのもありなのかなと。

 フードバンクのセカンドハーベストの職員だったときに、食品企業だけでなく、法律事務所や銀行の方も率先して社員を引き連れてきていました。そういった企業から資金をいただくやり方もあると思いました。

 (平井)

僕も最初に山本さんがおっしゃったように、自治体はいいかなと思いました。年末にいろいろ各自治体にヒアリングさせてもらう機会があったんですが、やっぱり食と環境系の予算はあるけど、何に使ったらいいかわからないと言っているところもありました。

 そろそろ本当に打ち手がないみたいなところが見受けられたので、話をしに行くチャンスはあるし、実際それが形になるのは期待できると感じました。

 あと、僕がやっている仕事の領域で言うと、教育の方。こっちはなかなかお金がつきづらいかもしれないですが、裾野を広げるという意味ではすごくいいのかなと。活動を世の中に知ってもらう意味では、並行してやっていくのがいいのかなと思いました。すごく教材になりやすいテーマですし、あと教育現場が求めているテーマでもあります。

 単純に食のことを勉強するだけじゃなく、その背景にあることだったり人の営みだったり、サステナブルなことだったりとか、どう生きていこうかみたいな本当に哲学的なことを小学校から今授業にしているところもたくさんあるので、食はすごくわかりやすいテーマ。今は大企業、大人、社会人向けの言葉で書かれているものを、子供でもわかるように落とし込んでいくっていうことも一つ面白いのかなと思いました。

 それを並行してやっていくと、例えば企業の社内教育用に使ったり、そういったこともできるのかなと思いました。間接的に営業していく、教育をしながらそういったことはできるのではないかなと思いました。

 あともう1個、昨年大井町にある女子高でエシカルフードの特別授業をやって、彼女たちが3月に卒業するんですけど、1年間の振り返りをするときに、みんな「エシカルフード」という言葉を言っていました。感じ方は人それぞれだし、暮らしに落とし込めるかどうかも多分これからなんですけど、自分たちが消費者になっていくので、ちょっと感動したんですよね、僕。3年間やってきた中の感想を言ってもらったんですけど、それの中に「エシカルフード」を選んでいる子がいる。教育現場でじかに子供たちと話し、伝えることはすごく大事だなと。こういうのを、エシカルフードラボに賛同している企業の方にも見てもらうのは、僕はすごく大事だと思いました。

 (山本)

平井さんのお話、素晴らしかったなと思うんですけど、教育は本当にこういう仕組みを欲しているなと僕もまさに思っています。新渡戸文化短大の食物栄養学科というところでエシカルフード概論という授業を持っていますが、すごく受けがいい。

2年間通じて印象に残った授業を聞くと必修じゃないのに「エシカルフードが一番」だと言ってくれる子もいる。そういう子たちはやっぱり卒業したら、きっとエシカルフードに関われると思うし、商品開発にいくと「エシカルの前に売り上げ上げろ」と言われるような事実があると思うんですけど、それはそれとして。学生の子たちに参加型で、例えば『エシカルフード基準』を満たした商品があったときに、「本当にエシカルなの?」というのを調べてみたんですといった評価をしてくれるような仕組み。食べログではないけど、そういう子たちがチェックして、それが共有される仕組みがあったらいいかもしれません。

アニマルウェルフェアに関しては、今日本ではきちんとした基準はないけど、素晴らしい基準を作っている北海道の帯広畜産大学があります。そこの先生がアニマルウェルフェアの認証団体を作っています。その認証団体の認証員、検査員は、その先生の研究室の学生たちなんですよ。その授業の合間にやっているから。でもそれって素敵な話ですよね。だから平井さんがおっしゃったように、学生とかに広めていくのはすごくいい方法だなっていうふうに思いました。

 (芝池)

後半のお話しで、企業の取り組みが公表されているかどうかが今ネックになっていて、本当は公表して欲しいんだけど、やっぱり企業にとってはここまでとなったときに、子供たちがそういうのを調べたりしたいけど公表してないとできないでしょと言われると、大人に言われるより企業の人も心に響くかもしれないと思いました。

 (森枝)

結局どこかから費用を募るか、どれだけ費用がかかるかという話があくまで中心になってしまうのかなと思います。何を最初にしなきゃいけないのかを今日決めないと、6月というのは結構時間ない。

 お金を集めるのであれば、さきほど話した行政なのか、それとも食に関わる企業なのか、関わらない企業なのか、法律系なのか。チームで分けて実務的に声をかける企業リストを作るとか、そういうのを話をした方がいいのかなと聞いていました。

 (中西)

資本主義の原理だなと思いながら感じておりました。こういう仕事のところにうまくお金がいくような流れが作られないとと思います。皆さんが言っていたような、お金をどこから持ってくるという会話を早めにすると、そこの部分はクリアになるのかなと、単純に1回きりを持ってくればいいのか、それとも継続的に入るような仕組みの方を考えるのかでも、全然話す議論も変わってくると思ったので、どっちが先じゃなくてもいいんですけれど、両方意識しなきゃならないなというところだと思います。

 あと教育は絡めていけるといいんだろうなっていうのはお聞きしても思うし、自分たちがやっている活動の中でもすごく思っているところなので、ちょうどうちの会社でもサポートしていきたい時期でもあるので、うまく応援できたらいいなと思っています。

 (芝池)

今日は4時間いただいていて、『エシカルフード基準』は表現を見直すけど、皆さん問題ないでしょうかという内容なので、1時間少しぐらいとっておけるといいかなと思っています。なので、今から11時半過ぎぐらいまでは、引き続きどういうふうにどこから必要なお金がどれくらいで、どう取ってきて、今後どういうふうに発展していけるだろうかの話ができると。

 井出さんと森枝さん、中西さんがおっしゃっていた、実際エシカルフードラボがやりたいことをやるために、今後どれくらいお金がかかりそうなのかを含めて、瀧田さんの方で一旦整理してくださっているので、それを共有した上で、加えてこういうパターンがあるという、たたき台として事務局の案も共有し、プランごとにメリットデメリットがあるだろうなっていうふうに思うので、そこをどうハードルを乗り越えていけるだろうという具体のところも皆さんと議論できるといいなと思っております。

 (瀧田)

まだ先週の木曜日から今日までということで、考え尽くしていない状況ではあるんですけれど元々エシカルフードラボが今後やりたいなと思っていたことはまとめていたので、そこの話からさせていただければと思います。

 皆さんに初めてエシカルフードラボのご相談をしたときからずっとお伝えをしているラボのミッションですね。「未来に繋がる食の循環をみんなでつくる」と、日本にまだないエシカルフード市場を作りたいんだということでいろいろご相談していたと思います。

 このエシカルフード市場というのが何なのかということですが、消費者がエシカルフードを買いたいと思えば気軽に買えること、日常の中にエシカルフードが根付いているということだなというふうに思っています。具体的にどういうことなのかなと考えてみると、この普及量をどうやってこれに当てはめるかの議論はさておき、食品全世の中に売られている全食品の中の16%ぐらいがエシカルフードになっている状態があれば、市場創出されているとい言えるのではないかと思っています。

 私たちは世の中全ての生活者の購買行動を見ることはできないので、私たちが見ることができる、もしくはつながることができたり、促進することができる対象は世の中の生活者の中の7000万人のT会員だとすると、そのT会員が購入する全食品売り上げの16%がエシカルフードになっている状態。すごく壮大な話ですけれども、それがエシカルフード市場の創出と言えるのではと思っています。

 とはいえ企業を巻き込まなくてはいけなくて、対象となるSKUをたくさんフラグ付けしていかなければ、消費者もエシカルフードを買うこともできないという中でいくと、PoCを回していきながら『エシカルフードアクションスコア』に近づけていくという社会実装のプロセスなのかなと思っています。

 これも今まで何回かご説明をしているシートになりますが、ちょうど去年の秋に『エシカルフード基準』の大手企業版の第2版と『エシカルフード基準』の中小企業版第1版が公表され、PoCを回し始めています。代官山蔦屋書店で初めてのPoCを回して一つの企画では9社、39SKUしかご参加がかないませんでした。なので、まだ39SKUしか『エシカルフード基準』を満たした商品を私たちが識別できていないということです。ただこれをどんどん増やしていかなければ、企業に協力してもらって採点してもらわなければいけないと思っていて、その受け皿として必要なのが、やっぱり流通さんと一緒に売り場を作るこのスモールスタート企画PoCということになります。

 企業からみても「採点してもいいけどその結果、どこで消費者に伝わるの?」「どうやって消費者が動くの?」ということになって、売り場がきちんと受け皿としてあるという状態じゃないと、参加もしない。そもそも採点する意味も見出せないということになるので、流通のPoCをたくさん回していきながら、徐々に参加企業と対象のSKUを増やしていくということかなと思っています。

 当然エシカルに親和性が高い商品カテゴリーと、低いカテゴリーがありますし、JANコードがなければ私達も購買履歴を特定することができないというところでいくと、日本では一次産品にJANコードがついてないので、対象外の商品カテゴリーもあります。その中で、戦略的な特定の商品カテゴリーからPoCを回していって、対象企業と対象SKUを増やしていくというような進め方になるのかなと思っています。

 今3ヶ年で我々がリソースを含めてPoCを回せる現実的なラインを鑑みて考えると、累計740SKUぐらいのSKUを巻き込むことを目指したいと思っています。この740SKUがどんな意味を持つのかですが、コンビニだと大体3000ぐらいの配荷があるので、その中の24.6%。スーパーだと、規模によりますが平均1万の配荷があるので、その中で7%のシェアということです。昔、皆さんと基準の「しきい値」のセッションをさせていただいたときに、スーパーやコンビニでどれくらいエシカルフードのシェアがあるといいんだろうかという議論があったかと思います。そのときにできれば5%あるといいけど、それは日本においては難しいよねと。初期でいうと1〜3%ぐらいというお話もありました、

 やっぱり買える商品がないと『エシカルフードアクションスコア』もなにもないというところがあって、とにかく企業を巻き込まなければいけないと。機能実装の後にはこの『エシカルフードアクションスコア』の認知や浸透があって、その先にエシカルフード市場創出というステップになるのかなと思っています。

 では、3ヶ年でどういうことをやっていくのかなんですけれども、エシカルフードラボの現在地として赤丸であるところが、FY22です。代官山蔦屋でもPoCを回して、来期以降3ヶ年かけて一般スーパーや一般コンビニエンスストア、もちろん代官山蔦屋みたいな自社の運営している施設も含めて10から15ぐらいのPoCを回していかなければ、この740SKUに到達はしないのかなと思っています。この流通のPoCを回していくのはやっぱり原価もかかる話ですし、リソースもすごくかかる話なので、これと同時並行で『エシカルフード基準』を満たしたエシカルフードをPRしていくサイトも、立ち上げたいと思っています。

我々7000万人に対してそのサイトに誘引してエシカルフードが日本にあって、それはこういうSKUなんですよということをプロモーションしていきながら、どこでもいいから見つけたら買ってくださいと。当初は『エシカルフードアクションスコア』も機能実装されていませんし、受け皿となるような、特集を組まれている流通もないので、見つけたら買うことぐらいしか消費者ができるアクションがないと思うんですけれど、とはいえ『エシカルフード基準』を満たしているエシカルフードがある、それはこの商品だと、もう知らせ始めてもいいというふうに思っていて、これを同時並行でやりながら、多くの企業を巻き込んで多くのSKUを対象として判別していきたいと思っています。

 今、実はエシカルフードの象徴的な商品として『未利用魚活用プラットフォーム』というのも別で動いていて、愛媛県八幡浜市と千葉県船橋市の二つのプロジェクトが動いていますけれども、こういった活動や、エシカル消費研究会で購買履歴だったり調査を通じて、エシカル消費がどうしたら加速するんだろうかというマーケティングフレーム作りをしています。ここで得たノウハウや知見も含めて、この活動の中にフィードバックしていきながら、どうやったら消費者が動くのかも明らかにしないと、企業がなかなか乗ってこない。企業を巻き込んでいきたいということ大きく思っているので、これを3ヶ年やろうとすると約1.6億円くらいかかるという形になります。

 今まではプラットフォームを作る、『エシカルフード基準』を作るところにお金がかかったんですけれども、これからはPoCを回すこともですし、一番大きなところが、この『エシカルフードアクションスコア』を7000万人のT会員に機能実装するというところです。データベースの構築であるとか、T会員が自分の『エシカルフードアクションスコア』を見ることができるシステムをつくる、そういうシステム開発のところにお金がかかっていくフェーズになっています。

 これは経営的にみても難しいということになっています。ですので、先ほどのご質問のこれからどれくらいかかって、どういうことを達成していくのかというところでいくと、3ヶ年で740SKUを巻き込みたい。消費者の人たちも動かしたい。それにあたっては1.6億円ぐらいかかるということになっています。

 エシカルフードラボの活動による収益で運営していくモデルに変換していくためには、どんな手段があるのかというところなんですけども、大きく三つ。今まで既に皆さんから出ているお話もあります。

 一つが、企業からの協賛を得るモデル。二つ目が勧進のモデルとクラウドファンディングというよりはリターンを求めない喜捨を募るモデル。三つ目が省庁連携モデル、助成金ということなのかなと思っています。

 一つ目の企業からの協賛を得るモデルですが、方向性として大きく二つあるのかなと思っていて、一つがエシカルフードラボのメインスポンサーとして、ラボが目指している姿に賛同いただいて、これから生み出していく社会システムがその企業にとってもメリットであると感じてくださる企業があるとすると、ラボに対して協賛いただく形になると思っています。

 もう一つが施策に対して協賛を得るモデルです。例えば昨年実施した代官山蔦屋書店でのフェアのようなことを、具体的には企業から費用をいただきながら実施をしていくモデル。

 それぞれメリットデメリットがあって、ラボ全体に対してのスポンサーを見つけるメリットというと、施策単位で費用を得る必要がないのはメリット。一方デメリットとしては、ラボの活動にお金を出して企業シナジーやメリットを見出せる企業がそもそもどれくらいあるのかということと、あったとしてもそこにたどり着くということがかなり難しい。あと協賛金を出していただくとラボの活動自体する企業として当然意見をたくさん出したくなってしまって活動が限定的になる可能性がある。企業の側からすると一社での負担金額が大きいので、社内で予算を通りにくいかなと思います。

 施策単位の場合は、企業側からは協賛メリットがわかりやすいと思いますし、私たちラボから見ると消費者にエシカルフードの消費の促進をしたいということがあるので、元々やろうと思っているPoCに協賛金がつくというのはメリットかなと思います。デメリットとしては、そもそもこれにお金を出す協賛企業は、『エシカルフード基準』を満たしている製品を持っている企業で、なおかつお金の拠出ができる企業や自治体ということなので、それがどれくらいあるのかなというと母数がそこまで大きくないのがデメリットの一つです。

 あとは、協賛企画を作っていくとなると施策の運用も含めてかなりリソースがかかり、そんなにたくさん施策を作ったり回したりすることができないなとか、店頭を使うので当然原価がかかるということがあります。

 二つ目が勧進モデルです。これは実業家であり文筆家の平川克美さんが実際に行っているモデルなんですけれども、社会の共有財産(エシカルフードラボがやろうとしていることも社会の共有システムを作ろうとしている)に対し、そういった社会的な共有資本というものを作っていくことにおいて、見返りを求めず、喜捨を募る。昔から寺社仏閣でやってきたような手法にチャレンジできないかなと思っています。難しいことを言っているのはわかっていますが。

 そもそもラボがやろうとしている活動に対し、これは社会に必要な共有値だよね、共有システム、共有資本だよねと感じてくださる法人や個人に語りかけて、対価はないけれど喜捨してもらうことにチャレンジする。かなり新しすぎる手法ですが、これができる場合のメリットとしては企業や個人に対価が必要ないので、活動が喜捨してくれた人の意向に左右されることがない。活動そのものが共有財産であるということで成立しているモデルだということです。

 デメリットとしては賛同してくれる法人や個人にたどりつきにくかったりします。あとは社会の共有財産になっていくモデルなので、すべての人がこれを手放さなくてはいけない。社会のものにしていかなきゃいけないということだと思いますが、それを当社がどこまで理解をして、最初は理解してゴーサイン出したとしても、ラボがどんどん社会的に存在感を示していったときに、それを継続していくことができるか、当社の経営サイドの理解が得られるかは一つデメリットとしてあるかと思います。

 この派生系としてクラウドファンディング。これはやろうと思えばすぐにできる処方だと思いますが、これは成功するイメージがないというか、寄付金に対する対価も作りにくいです。今成功しているクラウドファンディングはテック系の商品の先行発売みたいなもので、1億円、2億円と集めているクラウドファンディングがあると思いますが、この手のクラウドファンディングがどれくらい集まるかというのはちょっと未知数です。

 最後が、お話ありました関係省庁と連携をするという話です。ラボ発足以降関係省庁とは対話していますし、エシカルフードラボもこれから持続可能にならなければいけないということ、そもそもこういうことを目指しているんだけど、食品メーカーさんを巻き込むものすごく苦労しているという話をさせていただいて、バックアップしてほしいとお伝えしています。

 今、三つの方向性考えていて、もちろんどれか1個ということではなく、例えば初年度は協賛モデルでやってみて2年目から省庁の助成金の取得を目指していきながら、勧進のモデルについては社会実装する『エシカルフードアクションスコア』のシステムを開発するというところにおいてのみ募るとか。組み合わせだったり時間軸だったりで、いろいろと組み立て方はあると思うんですけれども、今考えられるものを出してみたという形になっております。

 (芝池)

ありがとうございます。『エシカルフード基準』はすでにできていて、それをお蔵入りさせるのではなく、どう社会の財産としてエシカルフード市場を作るところのソーシャルインパクトを生み出していくか。皆さんもTカードのデータや会員基盤に魅力を感じて参加してくださっていると思うんですけど。その部分はCCC MKにあり、個人情報で取り扱いが難しいところもあって、そこを活かしつつ、どういう可能性があるだろうかと。

 (瀧田)

そうですね。やっぱりこれ社会実装してエシカルフード市場を作って消費者を動かさなくちゃいけないとしたときに、消費者の動かし方で当社じゃなくても膨大な会員基盤、データを持っている会社があればできると思いますが、そこがやらないといけないと思っていて、だからこれをやり始めたんですけれども。そこがどうしてもCCC MKに帰属をしている資産だったりするので、活用することに意義があると思ってやっていますが、活用しようとなると消費者に社会実装で機能を提供するためには、システム開発が必要であると。膨大なデータベースを整理してエシカルフードのフラグ付けをしていかなければいけないとか、そういう実質的にかかる労力と社外に出ていく費用というのがあるという感じですね。

 (山本)

僕ら参加している側からすると、今あるTポイントのデータベースがあって、そこに1レコード追加して、これはエシカルです。エシカルでないみたいといったことをフラグがつくようにするというのは、そんなにシステム的に開発が必要なわけではないと思っていた節が実はあるんですけれども。どんなシステム開発の負荷がありうるんでしょうか。

 (瀧田)

膨大な商品マスターにエシカルフードのフラグを付けるだけだったらものすごく簡単ですが、7000万人のT会員の一人一人の購買履歴を個別に集計する。その中でエシカルフードの購買履歴だけを取り除いて集計してスコアに変換し、本人にお戻しするという一連です。T会員基盤、一番大元の基盤を動かさなくてはいけないシステム改修になっていて、そこがやっぱりすごく大きいです。

 すべての購買履歴からエシカルフードだけを抜き出して集計するというよりは、商品マスタと購買履歴を連携させなくちゃいけないんですけども、そこの連携のさせ方をもう少しライトにできる方法という前提で、社内では話はしているんですけれども、とはいえというところです。あとは自分のエシカルフード消費を可視化しないとが意味ないので、どこかサイトに行くと、自分で IDログインすると自分の購買履歴が可視化されるわけなんですけど、そこのシステムの機能実装が費用がかかる。◯◯さんという人がログインしたら◯◯さんの購買履歴を引っ張ってきて、その中のエシカルフードだけの購買履歴がスコア化されたものを瞬時に表示をして、それを更新かけていくところがすごくお金がかかります。

 (佐々木)

なるほど。とすると、今の予定だと3年間で1億6000万、それを3等分した費用がかかるわけではなくて、後ろ倒してかかるイメージなんですよね?

 (瀧田)

そうですね、2年目の終わりから3年目にかけてシステム開発で一番のお金がかかります。先ほどの三つのパターンで勧進プランはすごく時間がかかるし、時代の移り変わりによっても社会の理解が進むとすると、システム開発のところの3年目のところに当てたらいいんじゃないかとぼんやり考えています。

この2023年度は、まずは企業を巻き込むフェーズなので、それほどすごくお金がかかるわけではないというところでいくと、流通PoCを回したり、受け皿となるサイトをつくるといった人件費にお金がかかるので、2023年度はもしかしたら協賛をすごく頑張って乗り切り、その先にはまたもう少し持続可能なモデルを。先ほど皆さんからもあったような仕組みとして持続可能なモデルを世の中で成功しているものを分析してそれをラボに採用するというように、フェーズごとに取れる方法も変わってくる可能性もあると感じています。

(山本)

画面共有はできますか。今聞きながら例えばですけれども、今伺ったような最終的なシステムができないにしても、世の中がまず今一番欲しているのって何かっていうと、結局この商品は、『エシカルフード基準』を満たしています、満たしてないというジャッジメントの部分だと思うんですよ。

例えば今年度、都府県も予算は年度で動くので、もう23年度予算決まっているかもしれないけど、今年度は本当に各営業フェーズと考えて、都府県で47あるうちの30都府県が300万円ぐらい協賛してくれて出してくれて、代官山蔦屋でイベントできますよみたいな話をして、その都府県が持っている商品が『エシカルフード基準』を満たすか満たさないか。僕らここに集っているみんながオンラインであればきっとこの商品は満たすんじゃないみたいなことはできるから、10品目ぐらいを選定して、今月は◯◯県エシカルフードフェアをやりますよ、売り場でそういうことをやりますよみたいなパッケージとして提案する。みたいなことやっていたら、30都道府県ぐらいはのってくるのではないかと思って、それだったら大きな金額になる。

企業協賛では、御社に『エシカルフード基準』を満たす商品もあるんじゃないですか。コンサルもさせていただきます、この有識者メンバーで。みたいな感じでサステナビリティ予算としてだしやすい金額間で30社くらい。

関係省庁からも支援いただいて。そんなに悲観的な数字ではないと思います。しかも後半でかかってくるという話ですからね。僕はなんとなくそういう筋道をやればいいと思うし、この有識者メンバーがせっかくいるんだから。僕も最後まで引っかかっていたのは、企業が手を挙げて、商品を売っている担当自身がスコアを入れていくということ。それは自主的な話となるけれども、当面、この今ここに参画しているメンバーが提出されたものを穴が開くほど見て、嘘言ってないことをちゃんと確認しましたとして、それをPRする。世の中にPRする後押しにしてあげることができれば、僕は乗ってくる企業や都道府県や自治体はあると思っています。そのために僕は力を貸しますよということでした。

(瀧田)

山本さんの今のお話だと、『エシカルフード基準』を自主採点して満たしたというだけではなく、さらにそれをここにいる有識者の皆さんがちゃんとそうだって太鼓判を押したっていう状態、逆に、それがないと乗ってこないということでしょうか? 

(山本)

欲しいと思います。助走期にはそれがあっていいんじゃないかと僕は思いますね。最初から性善説を走らせるというのももちろんありだけど、有識者メンバーがちゃんと目を光らせているんだったらこの仕組みでうまくいくと思わせるための助走期間として、ある程度僕たちが「これは確かに大丈夫ですよ」と後押しをしてあげるのはありなのでは? 

(芝池)

今の山本さんの話は、協賛の対価として三つあったなと思っています。一つはエシカルと言える判断基準があるということ。あとは自主採点だけど、有識者のお墨付きがつくという話。最後3点目が、代官山蔦屋という場所で自分たちをPRできる。PR効果として三つあったなと思ったんですけど最後の三つ目が結構比重として大きいかなと思って聞いていました。

(山本)

ちなみにとある県の人が話の中で「うちの県にも人が集まるTSUTAYAがあるんですよ、ここでもやりたい」と言っていました。ごめんなさい、資本はまたちょっと別なんだよねと押しとどめたんだけど、そういう思いがあるのは確かだと思いますね。

(芝池)

どうなんでしょう、3点目がすごい売りになるとすると、有識者のお墨付きでなくてもいいのかなと思ったり。やっぱその組み合わせが大事なのでしょうか。

(山本)

いや、ごめんなさい、僕は3点目よりも断然お墨付きが重要だと思っています。3点目は、みんながわかりやすい表現系としての話であって、それがWeb上でもいいと思う。

(佐々木)

多分、都道府県の行政さんにとってはTSUTAYAというと魅力的に映ると思いますが、消費者からするとお墨付きは意味がある。だからアプローチ先が違うような気がします。

(瀧田)

都道府県ごとに展開されてなければ意味がないでしょうか?

(山本)

いやいや、まとまりとして参加しやすい区分を考えたときに企業があるけれども、企業単体だとなかなか動かしにくい。予算つきやすいところを考えたら、僕の範囲で言うと都道府県かなという。

(瀧田)

例えば代官山蔦屋書店でお墨付きのエシカルフードを消費者に明示していくとして、それは1県ごとじゃないといけないのか、みんなで希望するところがあったらそのまとまりで全然いいと思う。

(山本)

全県でやるということか。47都道府県がTSUTAYAをジャックでやったら全部営業できるもんね。 

(瀧田)

『エシカルフード基準』を満たしたものだけをエシカルフードとして生活者に推薦するので、そうすると1県だけだと難しいなって思っていて。消費者からしてみても1つの県のものより、日本各地に頑張って作っている事業者さん生産者さんがいるとすると、県に関わらず知りたくないですか? 買う側からすると。でもみんなで一堂になったら、県側の自治体側のメリットが薄くなるのかなと思ったり、悶々としていました。消費者からすると、いっぺんにやってもらいたい。日本にエシカルフードがあるんだとしたら、買いたいから、とにかくどこに何があるのみたいなところで。

(芝池)

D&Dみたいですね。

(瀧田)

あれはナガオカケンメイさんがやられていて「ロングライフデザイン」をテーマとして選ばれていますよね。

(芝池)

もし全部でやる、今後やる話としては、対象SKUを増やしてくという話。そこにかかるコストの話は、自治体だったり企業から協賛を募って、「エシカルフード基準」を満たす商品をPRすることでクリアできる話。それとは別に、『エシカルフードアクションスコア』を開発するという話。

(瀧田)

SKUを増やすのは代官山蔦屋書店での地域とのPoCだけでは全然増えません。なぜなら、最終的にはどこでも売っているものの中にエシカルフードがあるという状態、消費者がわかる状態にしなくちゃいけないとすると、地域の産品だけでは厳しいんですね。

コンビニやスーパーで売られているような商品にもエシカルフードがあることを知らせて、入り口を作る、一般流通でPoCを回していく必要があります。一般流通でPoC回すと言ったときに、流通からは協賛は難しいと思っています。すでにコンビニとスーパーともドラッグストアとも話していますが、前向きではない中、ご説明をしてPoCを回すところまでたどり着こうとしているわけで、そこから協賛金を得ることが、私たちはできないと思います。やるとしたら流通がメーカーから協賛金を得るという構図になると思います。

(芝池)

さっきの山本さんの自治体モデルで、もらった協賛金は彼らのPRすることにコストがかかる。原価を差し引いて利益が出て、その利益が一般流通のSKUを認定して増やしていくところをまかなうだけになったらいいけど、そこがやっぱり結構難しそう。自治体からの協賛金は彼らのPRの原価でほぼ消えちゃうんだとすると、何か盛り上げにはなるかもしれないけど、そもそも一般流通のSKUどう増やすかの打ち手は必要ってことですよね。

(瀧田)

そうですね。多分自治体との取り組みでもきちんと利益は出ると思うんですね。今でも私ではない営業部隊が自治体さんからお金いただいて、蔦屋書店とかT-SITEでいろんな取り組みをして収益を上げているので、ただそれが十分かどうかは分かりません。

(河口)

話を聞いていて、最終的にはコンビニやスーパーで売っている全国ブランドのもので、というのはそうなんですけど、いろいろやっている中で難しい状況がるわけじゃないですか。全国ブランドで乗ってきてくれている大手は少なかったりして、逆に言えばご当地ローカルの製品で火をつけていくというのもあるかもしれないです。物産展だと、ここでしかとれない魚の商品とか、雑穀で作ったものでこだわりのものを売っています。

ここでしかとれないとか、昔ながらの作り方のほうがある意味、『エシカルフード基準』で合うものがたくさんあると思うので、そこをまずフォーカスして、長崎県に行ったらこれがあって、鳥取はこんなのがあるということで広めていった方が、企業を説得するまでの距離が短いような気がするんです。

だから自治体。やっぱり企業だとなんだかんだ言って商売にならないと乗れない。気持ちが乗りたくても、売上がついてこないと乗れない。ただ自治体の人たちは物産とか自分たちの県産品を売り込むのが仕事であったり、県の経済全体が良くなるのが仕事だったりするから、結構そこはコスト意識が、1個1個ちゃんと売らなきゃいけないっていうより宣伝みたいな部分もあるから、こういったエシカルな、非常に公共財的な部分にも行政としての政策の中に乗りやすいと思います。

特に物産展では、県の推奨品を扱う。それから東京の中だったら県のアンテナショップがあちこちにあるので、そういうところで自慢して売っているようなもの、単に県の特産品だけでなくこんなにエシカルなんですよと。多分それをある県がやったら、うちの県もこれあると言って乗ってくるんじゃないでしょうか。

(瀧田)

3ヶ年の中で、2023年度はそうやって地域としっかり取り組んで生活者にエシカルフードを明示できる状態を作るということから『エシカルフード基準』を見ると、エシカルな観点で生活者も学べる。こういうことなのねという土壌を作りながら、最終的にはどこでも買えるものの中でやってかなくてはいけないなと思っているので、例えば2024年度2025年度っていうところにもう少し大きめの企業を巻き込んでいくというステップの持ち方をした方が早いということですね。

(河口)

大企業にいっても結局難しい。同じエネルギーをかけるなら自治体に行った方が、結果が出てくるような気がするのと、お金がかかるのはちゃんとしたシステムを作ってエシカルフードを買ったことを1人1人の生活者に戻すための『エシカルフードアクションスコア』の仕組みが大変なわけじゃないですか。

その仕組みもあると思いますが、まず最初に消費者に店の棚に行ったらこれがエシカルだと知らしめる入り口の話があって、それを『エシカルフードアクションスコア』まで繋げようとしてるけど、意外とみんな『エシカルフードアクションスコア』は今のところどうでもよくて、何がエシカルフードかが重要。

まだその段階で、精神的な満足度で「エシカルなものを買っちゃった」で収まると思うんです。今のところ。みんな「ほらほらこんなの買ったよ」みたいなね。『エシカルフードアクションスコア』の仕組みを作るのにお金がかかるんだったら、入り口の方でそういうのを宣伝していくと。そういうのを買って3年経ったらちゃんと『エシカルフードアクションスコア』という形で変換されるぐらいの感じで。出口まできっちり作ろうとするとお金がかかるんだけれども、消費者はそこをそんなに求めてるかというとそれ以前に、何がどこで売っているの? 買えるのか? という方が今の段階では重要だと思うので、それである程度意識が高まってマーケットが広がったら、『エシカルフードアクションスコア』の開発ができるというように考えても大丈夫なような気がするんですよね。

(芝池)

Tカードのデータがあるからちゃんと『エシカルフードアクションスコア』まで行き着くっていうロジックとしては担保されていればすぐにできなくても、もうちょっと時間が稼げるんじゃないかということですね。

(河口)

『エシカルフードアクションスコア』をつけて、エシカルって言いたいかっていうとそうでもなくて、みんなマザーハウスのカバンを持っているとか、パタゴニア着ているだけで気持ちがいいというところがあって、そこにわざわざスコアをつけてくれたら嬉しいけど、ないから買わないというものでもないと思うので、ついていたらおまけで嬉しいけど、なくてもそういうものを買って自分でいい気持ちになるのではないでしょうか。明治のチョコレートだってこういうエシカルなチョコレートがこんな値段で買えて嬉しいみたいな自己満足レベルの部分も大きいから、それを最終的な『エシカルフードアクションスコア』まで仕組みとして紐付けるシステムも、今の段階で全部セットにして予算の中に入ってしまっているから難しいのなら、そこはちょっと切り分けて、仕組みにするところよりも、入り口のところで消費者にアピールできることが大事だと考えるのもいいのでは。買いたい人はおまけがあるから買うわけではなく、ものが良くてそういうコンセプトが良いから買ってくれるので。 

(芝池)

ちなみにパタゴニアの服ってラベル付けて他の人に見てもらえるじゃないですか。でも、食べるものって今流れている血や筋肉はエシカルなものによってできたって何か外から見てパタゴニアのロゴがついているよりはわかりにくいのかなと思いますが、だから『エシカルフードアクションスコア』という発想もあるかなとは思いつつ。 

(河口)

食べ物に関しては、オーガニックでとか言って説明しながら食べたり、そういうものを食べる自分で満足してれば人に宣伝しなくても食べるものですからね。着ているものはみんなに宣伝となるけど、食べるものだから意外と自分が納得したものが食べられればいいと思うし、お友達と買いに行くんだったら、そういうものを買う人なんだみたいに思われるだけでもいいかもしれないし。 

(芝池)

ありがとうございます。皆さんどうでしょう。今二つあるなと思っていて、協賛に関して企業から得るのが難しいなら、まずは自治体からスタートして、企業が乗りたくなる実績を作ればいいのではという話。ここに関しては、とはいえ、この企業だったらどうとか、他の皆さんの感触であるならそこを責めない手はないだろうという企業の可能性が本当にないのかというのが一つと、二つ目は消費者をスコアリングしてフィードバックする『エシカルフードアクションスコア』のシステム開発にお金がかかる。でもそれはそんなにまだ急がなくてもいいんじゃないか。の二つあったなと思います。もしかすると、いやでも『エシカルフードアクションスコア』作らないとっていう考えもあるかなと思いますし、どうでしょうかね。

(井出)

そうですね、行政からっていうのも賛成です、もう一つのやり方として広く一般から集めるのもありそうです。1億6000万円という金額を集めるのに、1人あたり1600円だと10万人だなとか、1人あたり1万6000円だと1万人だなって考えたんですね。

さっき教育の話が出て、平井さんや山本さん、ペオさんは、いつも教育は重要とおっしゃっていますね。日本は環境教育と言っていますが、残念なのは、学校教育で教育が終わってしまうこと。本当は消費者教育も必要なのに、大人が全然勉強しないし、日本の消費者は「お客様は神様です」となってしまう。とにかく他人ごとなんですよね、全部お膳立てしてもらおうとすることを考える。 

エシカルの消費者がマナーを学ぶ、消費者自身が企業を判定する、それで1万6000円で認証マークがもらえる、というような仕組み?

食に関する企業からお金をもらってしまうと公平性が保たれないと思ったので、教育制度を一つ立ち上げるのもいいのかなと思いました。前にペオさんもやっていたと思いますが、エシカル協会のエシカル・コンシェルジュ講座の講師をやっていますが、学んでいる人が非常に熱心なんですよ。

いろいろなところで講演をやっていると、質問の出方で前向きかそうでないかがすぐわかり、熱心かどうかがわかります。オンラインでも伝わります。今はリスキリングとも言われていますし、それだけ熱心な人いるのなら、そこからお金をいただくのも一つかなと思います。

(芝池)

消費者からお金をもらうための手段として教育的な認定制度的なものを立ち上げる、なるほどなと思ったんですけど、消費者向けの講座はレンジがいろいろあると思って、安く気軽に学べる小さく広くがいいのか、ある程度お金取るか。食育マイスターみたいな資格に書いて個人ブランディングに使えるみたいなところを目指すのがいいのか。皆さんの感覚的には何かありますか。

(佐々木)

確かにお金を稼ぐことがもう大命題な中で、そんなふうな議論になるのはすごくよくわかるし、私たちも実際直面している問題なのですごくよくわかるんですけど、基本に立ち戻ると、このエシカルフードラボの目的は6の知識のある人を10に引き上げるのではなくて、ゼロの人を1にするっていうところがスタート地点だと思うので、そこを何か忘れてしまうといけないんじゃないかなと思っています。

地域、行政からお金をいただくというプランもですね、結局今目指しているのは代官山蔦屋書店に集まるすごい感度の高い人たちがさらに感度の良いものを求めるというようなモデルじゃないですか。そこだけに特化して、それは重要だけど、お金を集めるためにそこだけをしてしまうと、大企業に話を進めるときにトランジションがうまくいかないような気がして、そこを何とか補完するようなものを作りつつ、お金を集めるシステムを組み立てていかないといけないんじゃないかなと思いました。エシカル協会に集まってきている人たちはナチュラルハウスで買い物をしている人、知っている人が多いと思います。

その人たちからお金を取れるとは思うんですけど、そこだけをやっていてもよくないから、他もするとか、何かいろいろしないと大きくなっていかないのではないかなというふうに思います。

(芝池)

私の理解では、最終的に瀧田さんおっしゃったように、一般流通で買えるものを増やさないといけないというところはぶれてないと思うので、何かそこが担保されていれば、本当にその6を10じゃなくて0→1が実現できるんじゃないかっていう、仮説というかロジックの立て方じゃないかなと思うんですけど。

最初は意識が高い人、高い企業、組織人からお金もらう方が成立しやすいからそこで初めて本当に最後一般流通に行くというだけで、はしごがかかるかというところは冷静に見なきゃいけないという、佐々木さんの問題提起だなと聞いていて思いました。

(中西)

自分も大事だなと思って、収奪、搾取しないような資本主義をしていこうというテーマの中で、エリート層と一般がどんどん離れていってしまう方向に持っていく施策になってしまう。どういうふうにうまくできるかって話だと思います。ここにいる人たちがそこの部分も意識しながら設計できるといいんだろうなというのは、今お聞きしていても思いました。

体験の格差とか言われたりして、そういうことも出てきていると思うので、もちろん、日常の中で取り入れられていくことがこれの良さだったりもすると思うので。ただ、本当に時間軸だけの問題かもしれないと意識しながらできればいいなと思いました。

(佐々木)

そうですね。現実的なところと理想をうまく共存できるようなやり方ができるといいですね。確かにエシカル協会の講座は1回5500円なんですよね。2時間で結構な額を払ってくれる人がいるんだと思うと、私達の参考にさせていただいて。ただそこを取り込みつつもそこだけではない私達のフォーカスをちゃんと打ち出せればいいのかなと。

(瀧田)

ありがとうございます。長期的なスパンと短期的なスパン短期でいうと6月末までに確度が高い持続可能な運営モデルを持っていくことが必要ですので6月末までに活動費の目処がついている必要があります。

2023年度は何とか継続するために2023年度これくらいの費用に対してこれぐらいの活動費を捻出できたから、とにかくこの1年継続したいと経営判断を仰ぎたいと思っています。

(芝池)

さっきのその自治体プランだとしたら、本当にこの自治体がこの協賛プランに乗るという確約が取れていますというのを、6月までの状況で言えるか。

流通食品企業ではなく、先ほども法律事務所や銀行、システム系のITベンダーなど食品じゃないところがこういう取り組み社会的意義を感じてくれて、協賛という場合は、CSRレポートに書けることがリターンになるんですかね。

(瀧田)

その可能性もあるかですね。新しく見えてきた話です。あとは今の文脈なんですけど、私もすごく悩んでいたんですけど、食品メーカーさんから協賛金は頂かない方がいいということについて皆さんのお考えも伺いたいと思います。協賛金を頂くとしても、エシカルフードラボの例えば『エシカルフード基準』に独立性を持たせた、意見が反映されない方法だと思いますが、それでも食品メーカーさんからお金をいただいてしまうっていうことについて懸念はあると思うんですけれど。そこは皆さんどうでしょうか。

(山本)

『エシカルコンシューマー リサーチ アソシエーション』だってコンサルティングをして、その収益で運営しています。エシカルコンシューマーのランキングで低評価の企業は、二つの態度を示していて、「なんでうちはこんな低いんだ、訴訟するぞ」という攻撃的なところもあるけど、実は多くは「うちが上位に入るためにどうしたらいいのか、コンサルして」という話が来る。それをやっているとロブ・ハリスンが言っています。だからそこはいいんじゃないですか。 

(瀧田)

なるほど。もちろん『エシカルフード基準』にはノータッチでいていただくと思うんですけど。

(山本)

逆に、サステナビリティ推進室を日本の企業がようやく作り始めているわけじゃないですか。でもそこの担当はみんな途方に暮れていることが多い。どうやって社内でこれを推進させていこうか、モチベーションがないと。だからそこにこの講師陣がいますという感じで社内で周知を図り、理解を促進するために『エシカルフードアクションスコア』というのが何なのか、どういうものなのか、こういうメリットがありますよ、社会はこういうふうに動いていますというのをレクチャーする。それをパッケージとして企業に提案したらいいのではと思います。

(芝池)

今は自主採点を前提にしていますが、有識者の皆さんのお力をお借りして、お墨付きとか、『エシカルフード基準』を満たすためのサポートがある一定の範囲でつくことを入れれば、もっと協賛を集めやすくなるということでしょうか。 

(山本)

そうですね、コンサルテーション付きでやった方が断然いいと思っています。 

(芝池)

元々そういう案を考えていましたが、現状としてお墨付きを与えるほどの制度設計、体制が整ってないんじゃないかという懸念点があったかと思います。あとは『エシカルフード基準』を満たしたいと思わせるほどのブランド力があるだろうかみたいな話だった記憶があります。

(瀧田)

自主採点においては、そうですね。もし有識者の皆さんが一つ一つ見て本当に企業の自主採点結果がその通りだねとなったら、それはすごいお墨付きだと思いますが、全く考えていなかったので。自主採点となるとエシカルフードラボの知名度もないし実績もないので、例えば世の中にあるいろんな認証制度のようなお墨付きにはならないのではと思っていました。

(芝池)

でもそこが多分バランスですよね。とはいえその全くの自主採点じゃなくすと、今後考えたときにまた難しいと思うと、ある程度自主採点っていう前提は残しつつもどういう塩梅でお墨付きをつけるといいかっていう、そこの調整でしょうか。

(瀧田)

そうですね。お墨付きつけるとなると結構労力が皆さんにかかると思います。だから現実的なのかどうなのか。 

(山本)

お墨付きのスタンプをバーンとしましたというところまでは考えてないですよ。表現系の話で、あくまで自主採点です。ここに丸つけられました。でも裏では僕ら一応チェックして相違ないですねと認められたものを、Webで評価するなり、掲載するなりして。お墨付きと言わないけどお墨付きになるっていうような表現ができればいいのではという話ですね。

(芝池)

さらにアドバイザリーが付いていてサポートし、サポート体制が整っていますというくらい。

(瀧田)

食品メーカーさんから協賛を得るということについて、他の皆さんどうお考えか、もしあったら教えてください。

(井出)

私は業界団体でもいいのかなと思っています。業界団体はメーカーなど企業のお金で成り立っているので、企業からもらうことには変わらないんですけど、例えば菓子や調味料などの業界団体からいただくのも一つのオプション(選択肢)としてはあるのかな、と。食品業界には食品ロスを生み出すいろいろなルールがありますが、それを変えようということで2012年から農水省と業界団体で緩和に動いてきています。菓子の業界団体の代表はグリコ、調味料の代表は味の素がなっています。名称としては業界団体なので、それも一つありかと思いました。 

(瀧田)

井出さんはそうすると、個別の企業からは協賛金をもらってしまうと、エシカルフードラボの中立性みたいなところに何らか影響を与えてしまうからよくないかもと思うってことでしょうか。業界団体はある種の集合体なので。

(井出)

そうですね、たとえば清涼飲料水のメーカーしかいない、となると偏る気がして、お金をいただくのであれば、幅広く協賛いただければいいとは思います。

(河口)

協賛の性格っていうのが難しいのかなと、何に協賛するのかというところがあって、もう少し具体的にビジネス寄りにコンサルもついていますとなると、コンサルの委託をするのが形になっているという理解ありますが、活動が素晴らしいからと好きに使ってちょうだいねというお金だと、社内を説得するのは結構大変かもしれません。だから協賛だったら、本当にコンサルサービス的なものに寄せないと食品メーカー自体はついてこられないかなと。

協賛してくれた会社をどうアピールするかも問題で、私がやっているNPOだと協賛してくださった企業は我々が出す出版物には全部協賛企業様一覧と載せるだとか、プログラムのサービスをしてあげることがきっちりないと、費用対効果が計算できないので協賛はしづらいと。

だからイベントの協賛という形にするのか、組織の活動自体に協賛するのか。組織の活動自体に協賛するとなると、民間企業では難しく、逆に公的なところ、霞が関の中央省庁なんかの方がそちらには近いのかなと。なので、その協賛の中身も考えていった方がいいと思うし、企業の場合はその抽象的なものより蔦屋書店でこんなイベントをやるのでそこで御社の商品も出して、こういう協賛金もいただけないですかっていう方が多分通りやすい。

それも小口にしておけば、担当者レベルぐらいでも融通が利くと思います。だから協賛していただけるというところがあったらいいけど、なかなか厳しいだろうなと。協賛金をもらうのであれば、その組織の活動全体に協賛してもらう、その組織を応援する協賛になると思うんですよね。サポートティングメンバーのような感じで協賛メンバーとして参加してもらう枠だったらいいと思いますが、そういう枠を考えたときに、NPOだったら参加するのもありだけど、いやいやTカードは民間会社だよねとなる。民間会社にそういう協賛しなきゃいけないのかと。そうするとプロジェクトを立ち上げて、プロジェクトに協賛をしてくれというほうが説得力があると思いました。

(佐々木)

営業費用の枠なのか、広告宣伝費の枠なのか、CSRの枠なのか、どれかになるとは思いますが、民間企業にお願いするなら小口のプロジェクトをちゃんと形になるもので、しかもその宣伝になる媒体ツールがきちんとついてくるところがないと、ファンド社が出しづらいだろうなと、話を持って行きづらいだろうなとは思います。

先ほど井出さんがおっしゃったような業界団体に持っていくのは一つありかなと思いますが、個別は難しいでしょうね。食品会社に対してという点においては山本さんおっしゃることもわかりますが、実はうちが全く水産会社にお願いしてないのはそういうストーリーで、いろいろな会社からお申し出をいただくことがありますが、水産会社はお断りしているんですね、こんなつらい財務状況でも。

というのは、やっぱり中立性が大事だというのと、そういうところにシェフたちが過敏に反応するので、僕たちが一生懸命ボランティアでやっているところに企業の私的な意識が入って欲しくないと考える方も多い。うちはそういうポリシーでやっています。

(瀧田)

食品会社であっても、例えば代官山蔦屋書店での場、何か具体的な施策に対しての対価であれば気にしないけれども、エシカルフードラボにスポンサーが入るのはおかしいっていう感じですよね。私も同じような感覚で、悶々としていたのですごく理解はします。 

(芝池)

ちょうど今11時半になり、そろそろ基準の見直しのところも皆さんのお知恵をいただきたいところだと思っております。でも瀧田さん、一緒に今日話しただけでも事務局で考えていたのに加えて自治体からアプローチするという新しい可能性や、協賛でも食品メーカー以外の可能性、業界団体など選択肢のオプションとしては広がったので、あとはその人たちに対して何に対して協賛してもらって費用をもらうのか。あとは6月までという有限性があるので、その中でどれが一番確度高いだろうかをもう1回事務局でプランニングする。ここに、一緒にアプローチかけられるなどを相談させていただけるといいですかね。

あとは、システム開発費はもうちょっと時間を稼げるのではなど、事務局になかった新しい視点かなと思いますし、消費者を巻き込むという観点では、教育コンテンツとうまく掛け合わせるというのも6月までだとなかなか追いつかないかもしれませんが、3ヶ年計画の中では一つ新たな視点として得られたのかなと聞いていて感じました。 

どのプランにしても、6→10ではなく0→1を増やしたいというところは、手段が先んじて目的を見失わないようにというのも改めて再確認できました。何か皆さんいい残したことはないですか? 

(井出)

システム開発費ですが、システム会社が社会貢献事業のような形で、その会社の技術を提供してくれるという案はないのでしょうか。

フィリピンでフードバンクを立ち上げようとしていたとき、日本に輸出している農産物が規格外で大量に廃棄されている。それを首都のメトロマニラまで運ぼうとしたとき、フィリピンは国内の物流費が高すぎてだめでした。高速バスに乗せて運ぼうと思ったけど、渋滞がひどすぎて時間が読めないので駄目だ。となったとき、ある宅配の会社が、メトロマニラから地方都市に荷物を運んだあとの、帰りの空(から)のトラックに、バルクで乗せてくれることになり、無償で44回ぐらい運んでいただきました。その会社は、プレスリリースで、「うちの会社はこのような社会貢献事業をして食品ロスを減らし、貧困地域の子どもたちを救いました」と謳っていました。16の児童養護福祉施設に5.8トンの農産物を配りました。

技術力をご提供いただける会社に、少しだけディスカウントしていただくのはどうかしらと思います。

(瀧田)

そうですね。本当に全ての可能性にチャレンジしたいと思っていますので、すごくあるなと思ってお聞きしていました。うちの会社でいうと7000万人の会員基盤を触るシステム開発というと、限られているので、その会社の方たちへのご相談になりますが、可能性を探るのはゆくゆくあるのかなと思いました。

 (芝池)

またいつもながらぶっ続けできているので、52分まで休憩をして、残り1時間ちょっとで基準の見直しのところまた皆さんにお知恵をいただければと思います。

 

(休憩)

(芝池)

そろそろ再開をしていければなと思います。後半の基準のブラッシュアップですが、スモールスタート企画に連動するような形でテスト採点、公開されている情報をもとに事務局の方で企業をピックアップしてテスト採点をした結果、ちょっと実態に合わせて修正の検討が必要なんじゃないかというところが、今日全部で5点あります。

「企業評価」は環境の大気汚染、水質汚染土壌、土壌汚染防止の部分についての表現の見直し。続いてオゾン層破壊物質の排出削減のところに関しては、表現を見直した方がいいのかなというふうに事務局で思いつつ、実態について把握しきれてないところがあって皆さんの知見でご相談したいなと思っています。

 3点目が動物実験の廃止に関するところの表現の見直し。

 4点目は議論のある科学技術の利用に関して、ここは表現に合わせて「しきい値」のところもご相談できればと思っています。

 最後はですね「フード評価」の原材料調達における温室効果ガスの排出量が少ない原材料への転換の部分に関して、ここも表現の見直しのご相談をできればなと思っております。

 この具体的な中身に入っていく前に、まずスモールスタート企画としてどんなことをやったかを簡単に湯浅さんから共有をいただければと思います。

 (湯浅)

ありがとうございます。

 瀧田さんからも目的等々お話があったとは思うんですけれども。そもそもスモールスタート企画を代官山の蔦屋書店で実施した目的としては、エシカルフードの市場創出のヒントを得るというところでエシカルっていう皆さんが共通概念として持ってない文脈の中で、情報やストーリーとともに生活者の皆さんに発信したときにどう態度変容が起こるのか。それから実際に購買がどういう形でされるのを検証するために実施いたしました。

 施設としては、食の提案をしている3号館のところで『エシカルフード基準』を満たしたチョコレートとコーヒー、それとエシカルに関連した書籍と合わせてエシカルの世界観を伝えていきながら販売を1ヶ月間で実施しています。

 対象商品となる一覧がこちらで、大手企業については明治さんと中小企業というような形で、採点をしていただいた商品群がこちらの全商品39になっております。

 実際、代官山蔦屋書店をご覧いただいた方はおわかりかと思うんですけれども、山手通り沿い入ってすぐの売り場を使って、エシカルの世界観を右の写真で見ていただいている通りですね。生物多様性の大切さであったり、児童労働の問題についてであったり、買い物のものさしにエシカルを加えてみませんかっていう提案を、売り場としてさせていただいております。

 大切な観点やメッセージをタペストリーで展開をして、「何だろう?」と足を止められていらっしゃるような方々も結構いらっしゃったんですけれども、大きな売り場を使って、実際に『エシカルフード基準』を印刷したクロスだったり、タペストリーとかちょっとした工夫をしたりで展開しました。またエシカルが皆さんからもありましたけれどプレゼントとの相性がいいということで、誰かにちょっといいもの、ストーリーがあるものをあげたいなっていうときの相性がいいということで、「プレゼントエシカル」みたいな訴求で売り場をつくっています。

 あとは9社さんに最近いただいた全商品分の『エシカルフード基準』の結果を、企業別にファイリングをし、自由にご覧いただけるようにしておりました。透明性という観点も踏まえて、どういう点でエシカルかがわかるようにしたり、企業さんのエシカルな取り組みであったり、商品でこういうところがエシカルなんだよというのも、39商品全てにつけまして一つ一つ丁寧にメッセージングをしていったという展開です。

 10月16日から実施し、翌日プレス発表会。山本さんにもエシカルについていろいろお話をしていただき、小川珈琲さん、明治さん、ダリケーさんにご登壇をいただいてそれぞれの企業がどういう観点でエシカルな取り組みをやっているのかお話しいただき、結果パブリシティとして、テレビやWebメディアに掲載をしていただきました。

 あとはインフルエンサーの方々にも来ていただきまして、実際にサステナビリティや食を中心に活動されている方々をご招待させていただいたんですけれども、皆さんエシカルといっても難しいイメージを持たれていますが、山本さんの話で「時々エシカルというのが社会を変えるんだ」というお話も非常に共感されたようで、そういった形で皆さんの発信をしていただきました。「それだったら自分にもできるんだな」と思っていただいたり、各社のエシカルなストーリーを発信していただきました。

 ここから実際に商品をどういう人たちが買ったのかの検証結果と、エシカルのブースに来ていただいた方に私達の方で調査員さんを派遣させていただいて、お立ち寄りいただいた方にアンケート調査をご協力いただいた結果をご紹介できればなと思います。

 まずは実際買われた方の分析からお話をさせていただければと思います。それがこのページになっています。普段代官山を使われている方に対して、今回スモールスタート企画の商品の購入者がどうだったかというのがこの表になっておりまして、対比されているような形になっています。

 まず性別でいくと代官山の利用者に対して女性が7割以上ということで、買われた人たちが多かった。実際に代官山の売り場のスタッフもですね、今回のフェアの全体の感想として、女性が多かったですというところ、まとめ買いで買われる方が多くておそらくギフトの用途で買っていただいたのではないかなという所感も入っていたんですけれども、実際購入者としてもそのような形になっていました。

 年代でいくと、30代40代50代の方々っていうところが中心に買われていました。代官山の利用者と比較しても少し高いスコアになっていると思います。エリアについてはまだ今の通常のエリアとそんなに変わらず、東京、神奈川、埼玉の方々に買っていただいた形になっています。

 ここはですね購買データを元に、衣食住に関わる消費者の志向性を150項目程度に分類したデータがあるのですが、それを元に7000万人全員におそらくこの人はこういう志向性を持っている人だという推計フラグを立てているんですけれども、それを代官山利用者と比較したシートがこちらになっております。

 右上に行けば行くほど代官山の利用者との差別になっているところ、差が出ているところですけれども、例えば産地こだわりタイプであったり、国産の食材が好き、健康志向、食にこだわりがありそうな方々がスモールスタート企画の商品を買われたというところがここでも見えている状態でした。

 ここからは来場者の方のアンケート調査の概要になっております。来てくださった方とニアリーになっておりまして、女性が8割以上、年代については40代50代30代というような形になっています。

 来場者のアンケートのエシカル認知状況は、実態調査でいくと私達がエシカルフードラボとして「エシカルという言葉を知っていますか」という認知率をとっているんですけれども、それが去年とったものだと32%ぐらいですけれども、今回代官山に来ていただいた方でいうと7割ということで、エシカルの認知率が非常に高い人が来場されている形になっています。

 また、「エシカルな視点を普段買い物に取り入れていますか?」も右側が通常の実態調査ですけども、今回については51%というところで、「よく選んでいる」「時々エシカルを選んでいる」という方々が高かったと考えています。

 ここからは「実際にエシカルを意識して実践している」「エシカルを意識しているけど実践は生活には取り入れてない」「全くエシカルを意識してない」という三つの軸で集計をしているのがこちらになっております。

 一言で言うと、「エシカルを意識していて実践がある」人でいきますと、例えば対象商品の感度であったり、購入意向が非常に高いというのももちろんありますが、それ以外にエシカルを認知してない方でもこういう商品やストーリーとともに各コーナーを見ることによって買ってみたいという意向が高く出た形になっています。

 まとめのところは時間がないので駆け足で。来場者の方が、例えばピラミッドで三つの層に分けると、一番上の人が「エシカルを知っていて生活に取り入れている人」で、ここが多分そんなに割合が多くない状況なんですけれども、「エシカルを知っているけれどもあまり生活に取り入れてない」方が非常に世の中には多いと考えていて、一番下がエシカル認知なしという形で、それぞれその層に対してどういう結果が見られたかのまとめがここになっています。

 普段からエシカルを意識して実践している層というのは、購入意向の理由をいろいろ聞いているんですけれども、エシカルという言葉で訴求することで共感が得られる可能性が示されたという形になっています。

 普段はエシカルを意識して購入することがあまりない層については、今回のフェアで初めて取り組みを知ったブランドが多いんですけれども、そういったところも好感度、購入意向に繋がっていると。ただ、その人たちはこれがエシカルだから共感したというよりは、普段自分が意識していないエシカルという言葉よりも例えば「フェアトレードだから」とか「オーガニックだから」とかそういった具体的な取り組み内容が購入意向に繋がっていると考えています。

 最後のエシカルを認知していない層の購入意向の理由は、実は「美味しそうだから」「オーガニックだから」「健康に良いから」という理由が上位に来ているので、まずはその人自身にメリットのある価値が重要であると考えております。

 ちょっと長くなってしまったんですけれどもこういったメッセージを発信していくことで、どのエシカル感度の人たちも好感度が上がるということにつながったのかなと、代官山の企画については思っています。 

(芝池)

はい、ありがとうございます。これを踏まえつつその前提になった大手企業版のテスト採点のところで、残り50分くらいですが、うまく時間内に収めていければなと思っております。基本的には表現の見直しが多いので、そんなにディスカッションという感じにはならないかと思いつつ、もし違和感があったら遠慮なくおっしゃっていただければなと思います。

エシカルをきっちり担保したいけれども、とはいえ「しきい値」を満たす企業がいないと消費者に提案できるSKUが増えないという実態が現実にあるということでのもしかすると満たすことを先行して聞こえる部分もあるかもしれないんですが、決してそうしたいわけではないのでそこは遠慮なくご指摘いただければと思います。

 まず前提として、ここに挙げているような企業を対象にしております。特に前半は売上順位を記載しておりますがこういう売上高が高い企業の商品、かつサステナビリティ分野に熱心に取り組んでいる企業をピックアップしております。チェックした方法としては、ホームページなどに公開されているサステナビリティレポート、取り組み状況、そういった公開情報をもとにし、チェックが付けられる、記載があるというところを判断にしています。

 まず「企業評価」の環境の大気汚染、水質汚染、土壌汚染防止に関する部分なんですが、テスト採点したところこちらの三つの項目に関しては法令遵守しているかを「しきい値」として設けていたかなと思います。

 確認してみたところ、法令遵守があまりにも自明なこと過ぎて、目標値を記載している企業がほほぼなく、現状だと「しきい値」を満たせない企業が多いというような状況になっています。法規制値は自明のことであるので、「法規制値を遵守した目標値を設定して」というところをとりまして、「法規制値を遵守しており、そのための取り組み内容を公表している」と表現を修正すればどうだろうかと考えています。

 目標値を特に明記している必要はないけれども、どのように法令を遵守して取り組んでいるかは、エシカルフードラボの考え方として公表、公開は大事にしているのでそこのところは残したらどうだろうかという考えです。

 1個ずつクリアにしていくのがいいかなと思っていて、これでよさそうであれば、次に進ませていただいて。

 (河口)

基本的にこれでいいと思うんですけど、取り組み内容という表記がいろいろなところに出てくるんですが、ここで期待されている取り組み内容はかなり解釈の幅が広がっていて、特にこの大気汚染や水質汚濁だとか規制値があってそれに対してうちの値はこうですというデータを出していたりするんですけど、そのデータを出すことを取り組み内容と言っているのか、それとも具体的に「浄化設備を入れています」ということなのか、答える方も考えてしまうと思うので、具体的に取り組み内容とはどんなことか、何をイメージしているのかを確認したほうがいいと思います。

 (芝池)

ありがとうございます。瀧田さんにも話していただきたいんですが、私の理解では、数値ではなく何をやっているか。「こういう設備を入れました」という内容でいいと思っています。皆さんこの値を守るために、今はこうだということが全然書かれてない。ですので、01の独自で目標値を設定する場合、その数値の根拠だったり、それに対してどうという定量的な結果が求められると思うんですけれども、02は守って当たり前なので定量的でなく、こういう取り組みをやっていますという部分だけでいいと理解しております。

 (瀧田)

その通りです。各社さん、実際そのような公表をされている形になっています。

 (河口)

別に数値がなくてもいいし、逆に数値しかないみたいな会社があった場合はそれで良いけど、だから実績数値および対策の内容、できれば両方、でなければ片方、そういうことですね。それどこかに具体的に、こういうことを期待していますと事例でわかるようにしてあげると、担当者も書きやすい。01は数値とやっていることをセットで公表してほしいし、02は具体的な取り組み、活動とか、施策ということでしょうけど、その言葉は後で考えていただいて。

 (芝池)

ありがとうございます。他の方はいかがでしょうか? ここは大丈夫そうですか。同様の議論で、オゾン層の破壊物質、排出削減に関してもモントリオール議定書に沿って目標値を設定して取り組んでいるかを書いているか調べてみると、目標値を書いてないところが結構多かったです。

 先ほどの項目は法令遵守なので、言うまでもなく数値、基準が明らかになっているよねというところが、我々も判断ついたんですが、このモントリオール議定書に沿った目標値も同じ扱いでいいのか。それともここは企業によって計算して数値が変わることもあるから、目標値を提示して取り組む必要があるかが事務局で判断つかず、そこの実態をご存知の方がいれば、河口さん、お伺いできますか。

 (河口)

食品会社でオゾン層破壊物質とはなんだろうというところがあって、基本的にオゾン層破壊物質は全廃になっている。破壊物質であるフロンを使っているのは、半導体の洗浄剤に使われていたので、それを全部置き換えろという話と、あとは冷媒として使われているので食品会社だったら冷蔵、冷凍庫の中に使われているはずですが、使っている段階ではそれが出てくることはなく、冷蔵冷凍庫を処理するときに適正に処理をしているか。自分ではきないのだったら、適正に処理をしている業者に出しているのかが当たるんじゃないかと。

 食品を洗うときにオゾン層破壊物質を使っているのかとか、どの局面でこれを利用しているか想像がつかないので、逆に企業の方としても関係しているのか?みたいな。冷媒以外に何があるのか、自動販売機も冷媒ですよね。だから冷蔵庫冷凍庫の主冷媒として使っているものに対しての対応だと思うんですよ。彼らができることとしては、オゾン、フロンもきちっと破壊してくれるリサイクル業者を選んで出していて、ちゃんと破壊しているということがわかっているかみたいところ。

 フロンを回収したけどそのまま出していた、というひどい会社もあったので、ちゃんと破壊されているかが食品会社に求められるポイントではないかと思っています。

 (芝池)

つまりは基本的にフロンは全廃ってことは全廃しないといけないものを書く必要はないということですかね。洗浄剤みたいにどんどん使うものであれば、どこかで使ってしまっていることがあると思うけれど、最近の冷蔵冷凍庫はノンフロンになっているはずなので、昔のやつにそれが入っていたときにそれを捨てるときに、適正処理をしろということ。

 (瀧田)

基本的に各社さん、確かにフロンのことしか書いていませんが、例えばモントリオール議定書で対象になっているそのオゾン層破壊物質はフロン以外にも私達もわからない記号のようなものがありますが、そういうものたちについては何も書いてなかったり、取り組みをしていなかったりして。

 (河口)

モントリオール議定書はずいぶん前だし、オゾン層破壊のものを開発する人はいないと思うので、一番インパクトが大きいというか影響力が大きいのは、古い冷蔵庫冷凍庫かなと。そこさえクリアしてればいいんじゃないかとは思います。

 (芝池)

もしかすると01は全廃のための取り組みをちゃんと継続しているし全廃に至っている。02はまだ全廃には至らないけれども、全廃に向けて取り組んでいて、両者ともその取り組みを公開している。目標値も何もとにかく全廃しているかどうかということなんですよね。

 (河口)

そうですね、古い冷蔵庫が残っていたらしょうがないというのでそれを処理するときにちゃんとしたのが02。01はもう古い冷蔵庫がない、新しくしちゃっているからないよという。それが自販機に至るまで。

 (芝池)

瀧田さん、これで何か修正できそうですかね。

 (瀧田)

取り組み結果を公表しているということでいいんですよね。法令遵守に近い扱い。

 (芝池)

国際協定の議定書に取り組んでいて、その取り組みの結果を公表している。01はそれがもう全廃までいっているという感じですかね。

 先に議論がシンプルなものからいくと、「フード評価」の調達の中に「原材料調達において温室効果ガス排出量の少ない原材料に転換している」という項目がありますが、シンプルに転換、元々排出しているものを変えたという表現になっているけど、開発する最初の段階から少ないものを選んで使っているたりするようなケースもあるよねということで、転換じゃなく使用でいいのではないかという話になり、ここの表現を変えるとどうだろうかというのを1点。

 あと農水省と面談していた中に「温室効果ガス削減見える化実証事業対象農産物」があって、こういうものを取り組み例として書くと国内のいろいろな基準と連携していてわかりやすいということでこれを記載するのはどうだろうかという、ご相談なんですが。

 (山本)

対象農産物は非常に少ないけど全然OKだと思います。

 (瀧田)

これは認証ではないですが、対象の認証がアイシールに記載のものだったじゃないですか。ご意見があったら認証をひとつひとつ議論して追加する、もしくは追加しないを決めていこうという話だったと思います。何かそれに近しい具体的な対象として、当てはまるのではないかと。今は、きゅうりとトマトなど少数だけですが、1年かけて対象産品を広げていくという話もありますし、ワンノブゼムの一例として入れたらどうかなって思っています。

 (芝池)

はい、ありがとうございます。本丸に入っていければなと思います。一つが「企業評価」にある議論のある科学技術の利用に関してですが、テスト採点してみたところ、そもそも遺伝子組み換えだったり、ゲノム編集技術に対してこういう考え方で使っていますというのを公表してない企業が多いというのが実情でした。

 もちろん一部公表する企業はあるので、今の基準が全く成立しないというわけではないですが、どうしても現状の「しきい値」だと満たせる企業が限られるというのが実情でした。そもそも議論のある技術を利用することに対して、例えばリスクをこう評価して、こういう考えで使う、使わないという考え方があるのかどうか、それに加えて公表しているのかどうか。あとは公表したものに対して消費者から何らかの問い合わせがあったときに、そこに答えて真摯にコミュニケーションを取っているかという3段階になっています。元々の基準としては「公表のみ」と「消費者の問い合わせ対応の有無」しか聞いてなかったんですけど、これだとなかなか◯がつかないところで、考え方はあるけど公表していない、を追加し、ここに「しきい値」を移動するのはいかがでしょうかというのが、ご相談の1点目です。

 消費者の問い合わせ対応は企業だったらしてしかるべきだよねという意味であれば、この表現を取るという話も。

こちらについて皆さん項目を1個追加し、まずそこに「しきい値」を動かすっていうことに対して、いかがでしょうか?

 (河口)

開発をしていたりする人たちは絶対にこの問題に直面しています。この間も倫理コードを作りたいという話になって、業界団体でこういう倫理コードを作る動きがあるのでそれにのっとって作りますみたいなことを言っていました。業界団体としてはやはり遺伝子組み換えやゲノム編集に関してそれなりの新しい技術を開発するときの倫理委員会を作るとか、倫理方針を作ってその中で開発していいかどうかを議論しなさいと。それはどこの役所になるんですかね、農水省になるのかな。

 作るか作らないかは、各社の自由みたいな感じになっています。なので、こういった問題を最初のファーストステップとしては社内で客観的に評価をする、考える仕組みがあるか、担当者ベースで勝手に突っ走っている会社もあると思うんです。そこに関しては社内の倫理委員会みたいなところにかける仕組みがあって、そこでかけた上で開発しているか、そういうのが一つの段階としてある。

 そのためにはちゃんとした倫理委員会があることと、倫理基準がなければできないので、倫理的にこれに対処するような仕掛けと仕組みがあるか。それにのっとってやっているかというのが一つの段階で、何にも考えていませんというのが04だと思う。それを開示しているか。そういうところですね。01だったら、本当にうちはこういうのは使えませんという言い方なんでしょうけど。

 (芝池)

考え方があるだと表現が曖昧なので倫理委員会などの仕組みがあるということを表現する必要があるということですかね。

 (河口)

倫理方針および倫理委員会などを通じて決定する仕組みがあるか、公開してなくても、そういうことをやっているかどうか。

 (芝池)

だとすると「しきい値」は高いままになります。

 (瀧田)

高いままですよね。今のお話でいうと、まだどこかの省庁からそういう要請が来て各社が検討し始めるっていうのが日本の実情ということですか。

 (河口)

多分原材料の開発メーカーは、まさにそういうところに則って開発をしているわけですけど、食品メーカーさんとかは開発したものを買うことがあります。

自分で開発しにいく立場と、開発されたものを使うかどうか。BtoCの会社になると、そういうものが開発されて提案されたら使うかというところだから、もう少しのんびりしています。だけど開発メーカーは今から開発して5年後に流通していく話だから、今からちゃんと方針を持って開発していかないと駄目だよねとなります。だから開発メーカーだったりすると、そこはきちっとしておかないといけないし、それを採用する食品メーカーは選択肢もあるわけだからだから、採用するかしないかという基準がきちんとなくてはという議論もありますが、感度は結構違うかもしれないですね。

 (瀧田)

それを踏まえると一般的な食品メーカーさん対を象にした場合は、どこが「しきい値」だといいでしょうか。

 (芝池)

すごく大事な観点だけれども、日本企業がそこまで追いついてない。原材料メーカーでさえ、まだやっている途中みたいなのが実態だとすると、すごく大事な観点だし元々は2022年時点で必須に設定していたけど、必須から外すというのも1個。

 (河口)

倫理委員会ぐらいは設けていたりするのではと思いますけどね。

 (瀧田)

それは原材料メーカーじゃなくても?

 (河口)

それがいいかどうかは決めなきゃいけないので。それから遺伝子組み換え技術とゲノム編集は全然次元が違う。一緒にすると遺伝子組み換えするのは駄目だけど、ゲノムのほうはいいみたいなことも結構言われるんですね。そこを分けて答えられるようにしておかないと、ゲノムがいいって言ったらだめなのか、みたいな。

 (芝池)

もう一つの問題点としては、そもそも議論になる技術ということで大きくくくったけど、その技術の内容によって違う。

 

(瀧田)

でもそこは技術の内容によってレベル差はあるけど、それを使っているか使っていないか、使おうとしているか使おうとしていないかを問うのではなく、そういう議論がある科学技術に関してのスタンスをちゃんと検討しているかという項目だから、このままでいいんじゃないかなって思います。

 (河口)

読み手が「両方ちゃんとやってなきゃ駄目」と思うのか、遺伝子組換え原材料に関しては開示していて、ゲノム編集に関しては特に何も書いていませんとなった場合に担当者としてはゲノム編集について書いてないからこれは×なのかしらと思ってしまう可能性もある。そこをどうするかですね。

 (芝池)

個別技術でやっているかという話もそうだけど、新しい技術が出てきたときに「うちはこれどういうスタンスで取り組むんだっけ」というのを都度考えて、必要に応じて倫理委員会みたいなものを設けて検討する、そういうプロセスが適用されるそもそもの考え方があるかというところですよね。

 (瀧田)

それを「しきい値」にするかどうかというところですね。

 (芝池)

皆さんいかがですか。「しきい値」に関する議論なので、ご意見をお伺いしておきたいと思っています。公表していないけど、その実態を伴う考え方があるのかを追加して、ここに「しきい値」を移動させることに対して違和感のある方いらっしゃいますかね。

 (山本)

考え方があるっていうのの解釈が、本当に誰かの頭の中にあるみたいな話じゃない、そこがきちんとわかるように、倫理委員会がある、文書が存在するであるとか、そういうところが伝わればいいと思います。大企業ですからね。河口さんがおっしゃったように検討はしているはずと思いたいところですけれども、ちゃんと実態があるということが判別できる表現方法であればいいと思います。

 (佐々木)

これも将来的には階段登るんだよというメッセージがあると良いですね。

 (河口)

最初のページとかそういうところに、現状に合わせて「しきい値」は設けられているけど、どんどん階段を上がっていっていただきたいという思いも込めてこういうクライテリアにしていますみたいなことを書いていただく。

 (瀧田)

そうですね、公表している『エシカルフード基準』にはそれが明記されています。

 (河口)

ここに何か書くときに例えばこういう項目は、日本で今遅れているけれどもグローバル見たらもうちょっと増えるのでそこは頑張って上に行こうと特出ししてコメントしておいてもいいかもしれないですね。

 (中西)

基本的には賛成だと思っています。この部分は多分今以上にこれから先すごく重要になる案件だと思っているので、河口さんおっしゃったように補足して表に出す表現も必要ですし、ある程度先ほど言ったような同等のところを作っていく動きになる方向性が望ましいなと思うので、公表を請求するというよりは、そもそもそれを考える組織なり、同等の仕組みが各企業お持ちなるっていうのが、いいなと思っています。

 (芝池)

後々気づいたことがあれば遠慮なく言ってください。実はもう1個項目がありまして、動物実験に関するところなんですけれども、特にサプリメントや医薬品に関しては法律で求められているものだけではなく、安全性と効果の観点から動物実験が必要でやっているケースがあって、現状では◯がつかない企業があります。ここに関して元々法的に求められている場合は除くと書いてあるんですが、食品分野においてと、対象の範囲をより明確にすることによって、◯がつけやすい状態にするのはどうだろうかという修正案が上がったんですけれども、ここについて皆さんいかがでしょうか?

 (河口)

今も大手製菓のホームページ見ていたら医薬品やっているので、医薬品は動物実験やらざるを得ないから、食品に特化しないと会社としてはどうしても難しい。中国は、動物実験を義務付けているっていう恐ろしいことがあるので、中国で販売するために動物実験がマストで苦労されている企業さんも結構おられたので、動物実験は一律禁止ではなく減らしていくという方向性でいいと思います。

 動物実験代替学会とか実験を代替できるような技術を開発するための学会があるので、そういうところに入ってなるべく禁止するような方向へ頑張って動いています、なども。

 (芝池)

ここに関して何か違和感ある方いらっしゃいますか。医薬品はわかりますが、例えば美容のサプリメントで効能を担保するために動物実験やってたりしたら、サプリだけど口に入れるものという意味で食品とどこまで違うんだろうというモヤモヤはありました。結構言い出すと、なかなか◯がつきにくいところもあると思うので、少なくとも食品は動物実験廃止でいいのかなと思っております。このあたりは、山本さんが特に詳しいところですかね。

 (山本)

いや、これは特に食品分野に限定するということであれば納得感はあるからいいと思いますよ。

 (芝池)

後半かなり駆け足なのですが。「企業評価」と「フード評価」に関して表現の見直しの部分と議論ある科学技術に関しては、「しきい値」の変更という部分で5点確認をさせていただきましたが、言えなかったけど気になることがある方いらっしゃいますでしょうか。

 (河口)

今は動物実験に限ってですが、アニマルウェルフェア全体に関しての項目がありますよね。動物実験っていうところに特出しているということですよね。

 「フード評価」の調達の「温室効果ガス削減見える化実証事業対象農産物」の追加で、今のところトマトときゅうりだけだけど、これから増やしていくというのと、あと生物多様性の保護にも寄与していますという作物(米)も増やそうとしているので、この辺は農水省とタッグを組んだらいいと思います。

 今回まずCO2の表示だけ取り入れて、他にもそういう基準でいろいろと実験的にやるようになったらそちらの側面からも応援して広げられるといいかなと思いましたね。

 (芝池)

ありがとうございますちょっと一旦基準の見直しに関しては今日皆さんにいただいたご意見の方向性で、最終的な文言などをまた調整し、ご報告させていただければなと思っております。

 瀧田さんから最後、今後についてありますか。

 (瀧田)

はい、そうですね。今日は先週の木曜日に、経営方針を聞いて、悶々と悩みながらもできることはまだあるはずだということで、事務局でプランを考えてきたわけなんですけれども。皆さんのいろんなご意見を聞くことができてすごく心強く感じました。やっぱりこのエシカルフードラボが取り組んでいることは社会的にすごく意義があるし、本来だったらうちみたいな生活者基盤やデータを預かる会社がもう少し力を入れてやるべき領域だなと改めて感じました。

 持続可能性というのを考えていく中では、いつかは出会う課題だったのかなと思っていますので、今日皆さんにいろいろと教えていただいたことをもとに、また事務局でも本当に知恵を絞りながら一旦は来週中ぐらいに方向性をまとめ、6月末まで猶予を与えられていますけど、プランだけは早めにまとめて経営に提案していきたいと思っています。実際に動いていって、確度を高めてエシカルフードラボを存続させたいと思っていますので、その意味でも今日は改めて心強い時間となっていました。ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。ありがとうございます。

 (芝池)

もしよければ最後に皆さんから一言ずついただいて、終われればと思います。

 (井出)

ありがとうございました、また会いましょう。

 (ペオ)

2016年からですね、私達は日本で初めてのフェアトレード認証の会社の一つになりました。いろいろ苦労がありました。多分5冊ぐらいの本を出版することできるほどの苦労があったんですよ。だけどやっぱり一番わかったのは、もう途中途中でいろんな会社、いろんな団体が諦めているんですね。でもやっぱりフェアトレードやSDGsでもそうですけど、最終的には諦めないように、いつも何か他の方法を見つける、別の方法を見つける。それが一番大事ですね。なんかポジティブサステナビリティがすごい大事です。それを忘れないでください。

 (山本)

僕は今50代の後半は教える、アカデミアの仕事を充実させるっていう人生目標を設計して動いています。今、新渡戸文化短期大学というところでやっていますが、今回どういうふうなところに、この『エシカルフード基準』が転がっていくかわかりませんけども最悪僕は研究室を自分で持つことができたら、そこで基本的なこの『エシカルフード基準』を維持して回していくところをバックアップさせてもらってもいいと思っているんで、本当にみんなでこの『エシカルフード基準』をサステナブルに動かせるように頑張っていきましょう。

 (芝池)

大学と何かコラボするっていうのは、公平性の担保の観点でオプションとして挙がっていたので話は早いですよね。ありがとうございます。

 (佐々木)

皆さんと同じで、全然諦める気はないし、場が移ったとしても何らか続ける方法がないのかなっていうのはずっと思っていました。一つだけ、『スマイルフードプロジェクト』のときに寄付を募ってやらせていただいて、あれだけものすごいメディアが来て、全部のキー局が来て、一日中どこかの局でうちのプロジェクトのことが流れているような状況になっても、寄付金額はトータルで3000万円台だったんですよね。

 なので、そこを頼りにしていくのはすごく難しいかなというのが直感的な思いでした。ですので、もう少し確実な何かを続けて見つけた上で、補完的な要素としつつ作るのはいわゆる周知の面でも、メリットがあるのでやるのはいいかなというふうには思っています。でもぜひ続けていきたいなと思っています。以上です。

 (平井)

今日ありがとうございました。続けたいですね。そのために実はまだ面と向かってお会いしたことがない方もいらっしゃるので、同じ釜の飯は食いたいなと思いました。

 (瀧田)

本当ですよね、ちょっとコロナも若干インフルエンザになってきているので、うちが主催して皆さんに何かがあってはいけないので、今まで食事会ができなかったですけど、もういいんじゃないかな。

 (平井)

なかなかこのメンバーで幹事をするのは大変そうですけど。

 (瀧田)

お店は佐々木さんに持続可能なお店を選んでいただいて。1回でも本当にどこかのタイミングでお食事会ができたらなというのは事務局でも話していました。コロナでタイミングがなかなか難しかったんですけど、もういいでしょうというフェーズだと思うので。やりましょう、

 (平井)

ありがとうございました。

 (河口)

大変な状況にありながらもぶれずにきちっと活動を進めておられて、素晴らしいなと思いました。会社なんでね、いろいろなことありますよね。ここまで組み上げてきたものはペンディング状態になったとしても、絶対にクラッシュダウンというかもうなくなることはないので、どうやっていい形で次に繋げていけるかは少し時間をかけても。

 『エシカルフード基準』はとても良いコンテンツではあるから有効活用して、マネタイズできるところを一生懸命見つけていきましょうということと、皆さんサポートしているので、こんなサポートメンバーがついている組織を今から作ろうというのはなかなかないので、自信を持って頑張っていただきたいと思います。応援しています。

 (森枝)

僕もいろいろ、興味がありそうなところとか、お声がけしていけたらいいなと思うんで、何か協力できるように頑張ろうと思います。

 (芝池)

皆さん、また4時間ありがとうございました。リアルに釜の飯を食べましょう。ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。

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