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北海道の字名の特徴
ここでは、私が字名関係の資料を集めていく中で、なんとなく感じた北海道の字名の特徴を書きたいと思います。
北海道の字名の特徴というと、アイヌ語由来や条丁目といったことと思われるかもしれません。
しかしながら、私が北海道の字名の一番の特徴と感じているのは、表記の揺れが激しいということです。
どういうことなのか、以下、実例をあげていきます。
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美唄市の例を取り上げます。
例えば、光珠内に関連する字名には「字光珠内、字カウシュナイ、字カーウシュナイ」の3種類と表記の揺れがあります。また、各字の区域は複雑に入り組んでいます。
また、字光珠内には「字光珠内三号川、字光珠内中の沢」、字カーウシュナイには「字カーウシュナイ三号の沢」という関連の字名があるほか、光珠内が付かない「字中の沢」という字名が隣接する地域にあります。
地名に関心がある人にとっては、この複雑さは興味深いことですが、日常生活では、ややこしいことこの上なく、なにかと不便です。
このようになった理由は、まだ解明できていないのですが、このことは美唄市に限ったものではなく、かつて、北海道内の多くの市町村で見られる現象でした。
この他にも理由はあるのですが、この不便を解消するため、昭和2年から始まった北海道庁の第二次拓殖計画の事業として、字地番の整理が取り上げられ、多くの市町村で字名の改正が行われ、わかりやすい字名に変更されました。
なお、美唄市では字地番整理事業が行われなかったため、上述のとおり、字の区域が入り組んだままとなっています(中心部については、住居表示実施時に整理されています。)。
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新旧字名対照表
こちらは、字地番整理事業による字地番改正を実施した、幕別村(現幕別町)の新旧字名対照表(一部)です。
旧字名のうち「茂発谷」に関係するものには「モアチヤ、モハチヤ、モヤチヤ、茂發谷」の4種類があります。
また「稲士別」については「イナシベツ、イナウシベツ、イナウンベツ、イナシユベツ、エナシベツ」の5種類があります。
こちらもややこしいことになっていて、やはり不便ですね。
このように字名の表記の揺れは、北海道のほとんどの地域で認められます。なんとなく私が主張することが、おわかりいただけたのではないかと思います。
また、印刷の誤植もありますので、各種資料の記載が必ずしも正しいと言い切れない場合もあり、字名の違いを突き詰めていこうとすると、表記の揺れによる別物なのか、単なる誤りなのか、わけがわからなくなってしまいます(そもそも、突き詰めることに、どの程度、意味があるのかということもありますが。)。
この他にも、「エ」と「ヱ」の表記の違い、清音、濁音、半濁音の表記の違い、「原野」「○線」の有無などがあり、本当にややこしいです。
北海道の字名の特徴は、このように表記の揺れの激しさであると、私は思っています。
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