明治安田生命保険のじぶん積立について考えてみました

  1. 生命保険料控除を利用することができる点について

  2. 保険料の返戻率について

  3. 健康状態にかかわらず申し込みができる点

1.生命保険料控除を利用できる点について

新旧制度の別や新制度における3種類の区別などは別途いろいろネット上で情報を入手できるのでそちらを参照いただくとして、ポイントは、生命保証料控除には、商品通算で各人ごとに上限があり、かつ、「税額」控除ではなく「所得」控除に過ぎないということ。所得控除にすぎないので、当該控除後の所得に対して適用される所得税・住民税の税率によって節税効果は変わってくることに注意する必要があります。

ちなみに、月掛保険料の仕組みしかなく、かつ、月額保険料は1口5千円で4口2万円までとなっているようですので、生命保険料控除(そのうちの生命保険料)の枠を最大限活用しようとすれば、5千円か1万円がよさそうです。

なお、生命保険料控除の概説については、国税庁のホームページを紹介しておきますので、こちらをご参照ください。

2.保険料の返戻率・受取率について:「いつでも100%以上」

(1) 最初の5年間(保険料払込期間)の解約返戻金について

「いつでも100%以上」、これがこの商品の最大のアピール(訴求)ポイントかもしれません。中途解約しても解約控除がなく、払い込んだ保険料の100%をそのまま返金してくれるということです。保険商品としては、間違いなく稀有な特長だと個人的には思います。ただし、保険料の払込期間が満了する最初の5年間は、それ以上の返金はありません。つまりそれまでにいくら払い込んでいても、解約控除がないことが売りで、100%しか戻ってこないということです。もっとも、これは保険商品としてこの期間中も、「災害死亡給付金」(不慮の事故から180日以内に死亡したとき、又は、所定の特定感染症により死亡したとき ※詳細は約款等を確認する必要があります。)については払込保険料の1.1倍(110%)を保障してくれますので、その保障代として払い込んだ保険料の利息相当分が充当されている(その分は契約者が負担している)のだと考えることになるでしょう。

(2) その後の5年間の据置期間中の解約返戻金について

5年かけて毎月保険料を払い込んだ後は、さらに5年間は据置期間となっており、トータルで10年経過してやっと満期を迎え、無事、満期保険金を受け取ることができるようになります。
そして、据置期間中の解約についても、解約控除はなく、払込保険料の「100%以上」を最低保証してくれますし、払込保険料の1.1倍(110%)の災害死亡給付金の保障がついています(この保障に要するコストも何等か保険契約者が負担することになると思います)。
しかも、払込期間中の解約と異なる点は、解約返戻金が払込保険料の100%「以上」とある点です。以上にはイコールという意味が含まれますので、5年経過直後などは100%のままであることもあると思いますが、払込期間経過後は運用益を加味した積立金ベースで「100%以上」の返戻率を保障してくれることになっています。ただし、この返戻率が実際にどのくらいになるのかは、気をつけて確認する必要があると思います。約款によれば、積立金は、「当会社の定める方法によって計算されるこの保険契約に対する責任準備金のこと」をいうと説明されているのですが、それ以上、その計算方法は明らかにされておりませんので、市場の運用状況によって変動する仕組みになっているものと思われます(とはいえ、運用成果を契約者が負担するいわゆる特別勘定が設定されるタイプの商品ではないようですので、契約時にその時点の市況に応じて設定される予定利率が約束されるタイプの商品と思われます。)。この商品を購入するためには、必ず面談を経る必要があるようですので、その際、設計書などの説明資料や募集人の説明を通じて、具体的な数値を確認することができると思います。

(3) 満期の満期保険金について

5年の払込期間+5年の据置期間の計10年の保険期間が満了した後の満期保険金についても、解約返戻金同様、払込保険料の100%以上を保障してくれることになっています。しかし、この満期保険金の払込保険料に対する受取率が実際にどのくらいになるかについては、やはり気を付けて確認する必要のあるポイントだと思われます。約款によれば、「満期保険金額」を支払うとのみあり、その計算方法についてはそれ以上触れるところがありませんので、受取率についても、市場における運用状況に左右される可能性があります(とはいえ、本商品は、特別勘定の設定されるタイプの商品ではないようですので、解約返戻金同様、契約時に設定される受取率が満期時に約束されるタイプの商品と思われます)。特に、満期保険金の受取率に関しては、後でリンク先を掲載しますが、明治安田生命の商品紹介ページにおいて「103%」であることが商品のアピールポイントとして強調・明記され、ネット上もこの点に触れるものが多数あることを思いますと、少なくとも今のタイミングで加入すれば、最低103%は保障してくれるのかもしれません。いずれにせよ、念には念を入れて確認することが望ましく、据置期間中の解約返戻金とともに、面談時の設計書等で確認しつつ、募集人から具体的な説明を聞くのがよいと思います。

(4) 明治安田生命の「かんたんシミュレーション」

明治安田生命の商品紹介ページ(※)では、「かんたんシミュレーション」ができるようになっており、2022年10月1日現在の数値によれば、以下のようになっています。
・5年の払込期間経過時点で、積立金は払込保険料累計に対して100%
・7年の経過時点で、積立金は払込保険料累計に対して101.3%
・10年経過時点(満期)で、積立金は払込保険料累計に対して103%

※ リンク先 ↓


(5)  満期保険金103%についてどう見るか?

仮に10年経過時の満期保険金について、払込保険料に対する受取率103%であるとして、これを年換算しますと、保険料の払込みが完了した後の5年間の据置期間で割っても、「年0.6%の運用利回り」ということになるかと思います。もちろんこの期間中も災害死亡給付金(払込保険料の110%)の保障がついていますので、その分のコストを考慮する必要がありますが、その点考慮しても、運用商品としての側面で言えば、年0.6%の良し悪しは評価の分かれるところと思われます。また、満期保険金を受け取る際の税金についても考慮する必要があるでしょう。なお、明治安田生命ほどの名門企業であれば、満期保険金や解約返戻金について支払ってくれないということはないと思いますので、その点で、信用リスクはほとんどないと思われます。

(後日追記)
年利0.6%という数字。とある本を読んでいて、OECDが2021年に公表した実質GDPの長期予測によれば、日本の実質GDP成長率が2022年から2032年の10年間で6.56%、「1年あたり換算で0.66%」とのことであるが、この数字と整合的あることに気づいたので付記します。46か国中、最低レベルのようです。

3.健康状態にかかわらず申し込みができる点

あくまでも保険商品であり、上記の通り、少なくとも災害死亡付金に関しては保障してくれる部分があるのですが、災害に遭遇する確率については健康状態にさほど関係しないと思われますし、告知などを不要とすることができたのかもしれません。投資性の強い商品であるとすれば、なおさら、運用利回りの部分は気になります。


以上、一個人が投資商品検討にあたってちょっと<明治安田生命のじぶん積立>を覗いてみたところを書いてみました。

以下は、備忘メモ

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