24/8/18 渡辺努先生のインタビュー記事~7月31日の日銀の政策金利0.25%引き上げについて

説得力がある。一貫性があるから読みやすいし、わかりやすい。

特に、物価に対する金融政策の限界、政府の役割、連合に求める取組みに関する記述に注目。賃金向上は極めて公益にかなった政策課題なのだ。

かいつまんでポイントを列挙すると:

▶現在の日銀の金融政策の枠組みは、インフレ・ターゲティングである。物価上昇率の足元の数字または見通しが物価目標を上回っているかどうかが利上げすべきか否かの判断基準である。実質金利水準(名目金利ー物価上昇率)に対して、その正常化のために利上げを行うものではない(金利をターゲットとするものではない)。

日本でインフレ目標政策(インフレ・ターゲティング)が採用されたのは政府(財務省・内閣府)と日本銀行が「共同声明」を公表した2013年1月22日である。

インフレ目標政策の10年 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
伊藤 隆敏Contributor

▶また、金融政策は、原則として為替に反応してはいけないとのこと。もっとも、過度な円安を警戒して利上げを行うというのは理解できるところ、今回の利上げは時機を逸しているとのこと。

▶よって、優先すべきは、賃金と物価の正常化であり(物価に対して購買力を均衡させるということか?)、金利の正常化は、後からゆっくりついてくるもの、とのことだ。

▶利上げ後に、株価の乱高下があったことは、消費者のマインドに影響し、日経平均株価が4万円近辺に戻らないと消費の低迷、中小企業の価格転嫁が進まないかもしれない、とのこと。・・・賃金と物価の好循環の実現は少し遠のいた・・・


つまり、足元の物価上昇率の鈍化にもかかわらず、日銀の本来の理屈と時機を外した利上げにより、こうした景気後退感を生み出した負の影響は、より安定した株高によって埋め合わせられないと、ますます金利の正常化からは遠ざかるということなのだろう。

ではどうやって株価を安定的に維持し、消費者マインドを浮揚させ、中小企業の価格転嫁を進めるのか。これについては金融政策でできることはもともと限界があるという。

▶物価に対してできることは政府の役割のほうが圧倒的に大きいと。一つは最低金銀の引き上げ。

▶下請法の改正、エンフォースメント

▶減税!! 給付金

▶連合の取り組み。過去の消費者物価指数をベンチマークにするだけではなく、今後の物価上昇率をベンチマークにした賃上げ交渉。


賃上げ、減税は、賃金・物価の好循環、金利の正常化にとって、極めて公益にかなった論点なのだ。

そうおもった。

岸田首相の新しい資本主義、成長と分配の好循環。どこに行ってしまうのだろうか。



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