キリンさん2

KiRiNさんインタビュー(前編)

キャリア紹介

1社目:
電柱又はマンホールで通信ケーブルの敷設・引込み(主に光ファイバー)

某キャリアの中継回線やユーザー回線の光ファイバー接続・切替・局内対応

オフィス/大学/工場/イベント会場/公共や官公庁案件などで、LAN環境など現場調査/設計/施工管理/ドキュメント作成/ネットワーク構築作業(若干営業を兼務していた時期もあり)

2社目:金融系での拠点間NWの構築対応/ドキュメント作成

現在:フリーランスSE
ネットワーク系案件を主に対応中

〜経験
有線・無線LAN環境の積算・物理設計・論理設計・設定・構築
ネットワークの設計・構築
(Cisco/YAMAHA/アライドテレシス/Apresia Fortigate)
監視カメラ環境の構築・画角調整
ピープルカウンター
無線LANサーベイ
照明工事の施工管理・設計・積算

物理から、頑張ってもレイヤ4まで。
Config書けるけど、コード書けません。ネットワーク機器の設定とマニュアルに沿ってZabbixとメールサーバ一立てたことがあります。
ろくに更新してないHPもあります。
https://kirinorks.net/

初の前後編になった理由

今回は楽しい話が特大ボリュームだったので、前後編にしました!脱線もしてるのですが、削るのが惜しすぎてもったいないおばけが出そうだったからです。

KiRiNさんインタビュー

――通信がずっと好きだったということですが。

そうです。子供の頃から電線眺めるの好きでしたし、実家のネットワークとか色々調べているうちに、通信系の仕事がしたいと思うようになりました。
登下校とかでは上ばかり見てました。電柱と電線は芸術ですし、夕焼け綺麗だと写真映えしますね。
裸の電柱(建てたてのもの)とかもなかなかです。

――わかりみが深いですね。夕焼けとかただでさえ美しいのに、電柱に立体感が出てエモいのがあるんですよね。
私も小学校の頃に電柱と電線の織りなす芸術的な世界観に沈潜しそうになったことがありました。

気付いたら工業高校に願書出してましたね。電気科だったので普通教科も学びながら、専門の電気と通信etcを勉強していました。当時かなりコミュ障だったのですが、工業高校ほぼ男しかいないので気付けば喋れるようになってたのも青春です。
ちなみにコーディングの教育は受けたこともなく、CでHello world出すとかHTMLを個人で少し書いたぐらいで、今もできないです。

――1社目の経歴は通信ケーブルの敷設というのは肉体労働的なものでしょうか。

「電柱又はマンホールでの通信ケーブルの敷設」は肉体労働ですね。
腰道具と命綱つけて、電柱昇って金物を取り付けたりつけた金物にケーブルを固定したりです。
マンホールの作業は蓋が重いですが、そこまで肉体労働ではないです。
マンホールに入って、中を通ってる重要な光ファイバーの接続を切り替えたりクロージャーと呼ばれる接続点の収容ボックスを新しくしたり、経年劣化のメンテナンスをしたり と言った感じです。

――え。マンホールの中にそんなものがあるんですか。めっちゃイメージ通りの肉体労働ですね。ものすごく大変そう。

同業他社ですが、こんなイメージです。
若さでやってましたが、年齢が30〜40の方もいるのは流石に日々鍛えていてもしんどそうです。夏は暑くて過酷ですし。
参考リンク
http://www.exeo.co.jp/sp/jigyou/access/index.html

――そこからどうやってITエンジニア的なキャリアにシフトしたのでしょうか。

部署異動した先が、なんでも屋ぽい新規事業の部署で、ネットワーク/オフィス向けの物理工事などを提案〜契約〜構築〜完成報告書の作成まで一貫してやる部署でした。そこで初めて、「エンタープライズ(企業用)ルータ」という機器を知りIPアドレスをコマンドで固定するということをしました。

――おお。エンジニアとしてのキャリアのスタートですね。

ネットワークエンジニアの始まりの部署と言っても過言ではないです。
異動していろいろ理解してからは、IPアドレス設計などもしてました。End to Endのシステムから、下へ掘り下げていってIT技術(インフラないしネットワーク)という感じですかね。

――私もサーバ系の運用オペレーターからキャリアスタートしたんですが、システムの使われ方をちょっと理解してからIT技術に入ると、遠回りしたようでも繋がりが理解しやすいような感じがあると思うんです。

そうかもしれないですね。当時はレイヤーの高いところ(OSI参照モデル5〜7層)に壁を感じていたので、サーバとかシステムはあまり見てなかったですが。

――私もネットワークは全然見てないし、今もあまりわからない分野です。実はサーバだけやってるとそんなにレイヤを意識しないんですよね。
というのは、サーバ間の役割だけを理解してればなんとかなるので。それも、ネットワークとかは専門チームがやってくれてたおかげかもですし、他の方は違うかもしれないですが。

そのためのOSI参照モデルによる階層分けだと思ってます。抽象的にすることで、考える範囲を予め絞ります。初学者はこの抽象を具体に持っていくまで掘り下げる必要がありますが、糸口と結びつきをまずは知らないといけないと思います。

――ああ、ネットワークのテキストを読んでいるようだ(苦悩)。ていうか、やっぱり実際に作ってみるまでしっくり来なかったです。
自分でプライベートIPアドレスを振ることを考えてみないと、概念だけ知ってても僕の場合は全くわからなかったです。

振るという行為は簡単ですが、それに関連してIPの重複してはいけない とか DHCP(動的にIPを払い出す仕組み) とかルーティングとか、紐づけが最初できないと難しいですね。

――以前社内で勉強中で、Vmwareでの仮想マシンで構築してたんですが、IP重複とかしてないのにどうしても動かないことがあったんですよ。設定に怪しいことがないように見えるんです。仮想マシンの設定からは結局原因がわからなくて。
そしたら、会社のネットワーク自体が固定IPの設定を禁止していて、DHCPじゃないと動作しないようになっていたんです。
そんなこと、テキストで勉強してただけじゃわからないし、ネットワークはそんなこともできるのかと勉強になりました。

そこで初めて気づきますよね。わかります。
実態は名目上禁止しているだけで、DHCPリース範囲をすべて使いきっている可能性もあります。

――いやぁ、固定したらすんなりできました。空いてるっぽいIPアドレスというのはまっさきに確認したんですよ。そこを適当に使っちゃうのを禁止されてたという・・・。
結局、何も勉強もせずにいきなり触りながら覚えようとするからこういうことになってたのかもしれません。

僕の場合は、最初にIPアドレスはなんぞや?DNSとは?という、今ネットワークに絶対必要な、TCP/IPプロトコルスイートを中心に勉強しましたね。もちろんIPアドレスの計算も。それと並行で機器もいじりつつ、標準化された技術を理解できるようになったら設計もしました。
書籍的にはこの辺を読んでいました。
ネットワークはなぜつながるのか 第2版 知っておきたいTCP/IP、LAN、光ファイバの基礎知識
マスタリングTCP/IP 入門編 第5版
インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門

――「IPアドレスはなんぞや?」ってのも結構深いテーマですよね。ルートサーバを中心にネットワークがどんな感じに作られているみたいな壮大な話もわからなくても仕事ができますし。
TCP/IPの本を勉強するってことも、ネットワークやらない限り勉強しない(と思ってる)のでよくわからないんです。
だからたとえばネットワークの受信セキュリティ設定とかも、「http(TCP)許可!」みたいなことはふんわりやってます僕の場合。
なんとなくTCPやろな、根拠ないけど。みたいな。
ふんわりとした理解しかないから、応用情報技術者のネットワークレベルだとわからないです。

佐々木さんはサーバサイドでしたね。触れても、TCP/UDP止まりなんですね!
使うプロトコルは知ってるけど、それがどういうフローで流れるかは意識しない感じですね。

――そうです。ネットワークって全てのエンジニアが触るものだと思うんですが、ネットワークがなぜ繋がるのかを理解するってのは非常に奥深いテーマで、どこまで理解するかって哲学を感じてしまいます。
盛り上がってきましたが、非常に長くなってきたので後編に続きます!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?