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2visさんインタビュー

2visさんの経歴

東京都出身。九州大学理学部数学科に推薦入学するも中退。
いろいろな仕事に手を出すが最終的にIT運用専門の会社に転がり込む。
運用のみのキャリアに疑問を持ち転職、IT派遣でコンサル、プロマネ。
強みは現場への適応能力と打たれ強さ。
自動車、TV、農業、不動産、銀行、電子マネー等さまざまな業界を経験。
現在は非接触電子マネーベンチャーで加盟店との導入における
技術相談、および導入推進を担当。(でも部署はインフラG)
対応件数は3年強で50社程度。お手すきでPMもw
ロジカルライトというブログもやってます。

2visさんインタビュー

――東京出身で九州を選んだのは何か理由があるんですか?

あまり偏差値のよい高校ではなかったので普通に家のそばの日大文理を
受けようとしてたら父が「国立、早慶じゃないと学費出さない!」
とか言い出しました。東京理科大でまけてと譲歩案を引き出そうとするもそれもダメで。

数学は得意だったんですが、後の科目は英語も含め全く勉強してなくて苦手でした。ですが、古文の先生が「数学だけの推薦入試あるわよ」と教えてくれました。何と九州大学の数学科は数学試験で入れることがわかって応募して、九州大学理学部数学科の公募推薦(試験あり)に合格しました。
倍率20倍弱、自分で言うのもなんだが人生で一番難しい競争の試験だったかも。ちなみに応募した時の小論文は「私と迷路」...この後を暗示するようなタイトルでした。
あ、ちなみに高校は都立目黒高校です。(※注釈:調べたら偏差値が低い高校ではありませんでした)
なお、この九大の理学部推薦枠は廃止されちゃいました。

――数学が得意だったからということですね。確かに国立で数学試験だけで行けるのは珍しいですね。

11月に合格しちゃったのでそのあと暇でパチンコ開店に毎日並んで100万位貯めてます。 

――パチンコで勝つのももしかして数学関係あるんですか?w

当時は勝ちやすかっただけで数学は関係ありません。

――大学の数学ってどんなことやったんですか?

教養しかでてなくて、数学の基本授業で挫折してます。
解析、幾何、代数、行列、確率・・・。
なお、まったくITのIにも大学時代は触れてません。
大学は男声合唱団があって、そっちにまぁ逃げてたのかなぁと。

――あ、理系ですがIT系のことはなかったんですね。

まったくやってません。やったのは、マインスイーパーくらいです。

――もしかして、結構不真面目ですか?w

どうなんでしょう。まぁ今の職場でも僕が「真面目」だと思ってる人はいないと思うので、相対的には昔から不真面目、でも別に不良とかではなかったですね。

僕の場合は3年からまったくいかず、バイトばっかしてたら6年で除籍勧告が来ました。除籍はあんまりなので学費支払いして中退処理としました。
で、親に東京に呼び戻されました。

――ハードな話ですね。でも大学の講義に興味が出なくてってのはあるあるですね。

いろいろな職業をやるのですが、どれもなかなかにつらかったです。
特に立ちっぱなしがつらいのでデスクワークの仕事を探しました。
ノンスキルでできる仕事は少なかったです。「ワード、エクセル経験必須」とか言われてもほとんどPC触ったことなく、面接で正直に言ってたらペチペチ落とされました。面接3社目でアシストという運用オペレーション専門の会社からようやく採用通知をもらいました。

ということで、ノンスキルで運用オペレータやり始めたのがIT業界入門です。結果的には向いてたと思います。
ACOS4というNECの汎用機のオペレータで、手順書通りのコマンドを入れて、あとは帳票を印刷するというのがほぼ主な仕事です。

――オペレーターやってるといろんな職歴の人が来るんですよね。スキルがなくても採用してもらえるし、そういう人が集まるんですよね。

で、一応3年で派遣先をまとめるリーダになってちょっと良い気になってたけどそれも長く続きませんでした。
ある部署の管理者になったんですけど、そこが問題の部署で。立て直しで入ったものの、顧客と自社の社長の間に板挟みになりました。
「現場が良くならないのはお前のせいだ」みたいになってしまって管理者を外され、4月より自宅待機&退職勧奨になっちゃいました。

――また、めっちゃ極端すね。毀誉褒貶が激しいというか。

9年働いて、運用オペレーションと、汎用機SE経験、履歴書に書けるスキルなし。30歳ちょいでしたが、自分でもこれはヤバい!とw
退職勧奨は履歴書に書きにくいので外目には「社長と喧嘩して自主退職」したことにしてます。
履歴書が綺麗に整ったところで、せっかくですし6ヶ月はぷらぷらする計画をしました。

――いや外目にも充分なインパクトですよそれ。なんで自分でヤバいとなりながら最終的にポジティブなんですかw

ぷらぷらする計画は父親にブチ切れられて2週間程度で頓挫しました。
「お前がまともな就職ができるはずがない」と言われたのですが、父の旧友の後藤さんの紹介で、未生無システム開発という会社に行くことになりました。最初の転職に成功しました。
後藤さんはもう鬼籍に入られたのですが、麻生太郎のはとこです。
後藤さんと未生無システム開発の社長は知り合いでもなんでもなく、IBMの保養所で酒飲んで意気投合したらしいというくらいの間柄と聞いて会社入っていきなり暗雲w
基本情報とってる人が2人しかいなく、凄いな!と言われる会社。(つーか大丈夫かw)
という、特定派遣バリバリの会社でしたw
で、僕は前述のようにオペレーションと、その管理しかやってきてないんですよね。

――社員何人くらいで、基本情報二人なんですか??w

30人くらい…。そのうち10人くらいは社員というか、個人契約とか多重請けですけど。

――なるほど。零細企業っぽい雰囲気ですね。

アットホームで一応、面倒見はよかったですね。
ただ、私は上述のようにノンスキルで30中盤だったのでなかなか常駐先がみつからなかったのです。

――僕もオペ辞めて転職してってのが30でノンスキルだったので気持ちちょっとわかります。

お、僕の場合は辞めさせられてるので絶望度は上ですw
ちょっと思い出したんですが、ハローワークってちょうど35で行くエリアが変わるんですよね。
34まではこじゃれた綺麗なエリア、35からどす黒い感じのエリアw
ちょうど35だったのでえーっと思いましたw
ハローワークいくなら34までです(無駄知識w)
ちなみに自主退職ではなく退職勧奨だと即日失業手当がでます(無駄知識2)

――失業したときに参考にします。

で、3か月くらいプラプラしてたら営業が、次期RFP作成支援の仕事取ってきちゃったんですよ
基幹システムを入れ替えるのでシステム部と一緒になってRFP(提案依頼書)を作成してほしいという話。
「バンザイ」という自動車車検機器の会社です。

――へえ。そんな仕事あるんですね。普通は自社業務をわかってる自分たちでRFP作るイメージです。他人には要件がわからないので、外注は初耳です。

そうですね、お客様の支援で作る形です。
「とりあえず、おまえやれ!」と社長に言われるわけですよ、なので、その取ってきた営業と、あとは若い子2人つれて現場に常駐です。

――滅多にない経験ですね

正直かなりレアケースですが、まぁ僕のキャリア形成の中では結構大きいイベントでした。
営業がリーダとして現場いたんですが、1,5月目位に白紙状態で、僕がどうなってます?と聞くと「やってる」と答えるのですが画面越しにspiderやってることがわかって 僕的にこりゃだめだと。
なので、そこからネットとか本とか駆使してほぼ僕一人で作りました。

――なんなんすか。その桁外れのバイタリティーは。

一応、NWだけはSEがいたのでそこだけはお願いしました。つたないものですが、個別でヒアリングして作り上げました。実際に顧客に納品してクレームにならなかったので一応できたといえると思います。

――でもそれはすごいですね。すごくいい経験だと思います。

一応、そのあと、ベンダ選定、基本設計とかも支援してという話になったのですが、僕はそこから別の現場に飛ばされました。せっかく仕事が広がるところだったんですが。
もしかするとかなり会社からは煙たい存在だったかもですw

――さっきからなんで会社といつも折り合いが悪いんですかw
ちゃんと活躍してるじゃないですかw

言いたいことを言うからかと思います。

――顧客とうまくやってればいいと思うんですが。

エンドユーザのキーマンの評価は常に押さえてましたね。
逆にそれさえ押さえていれば、自社と折り合い悪くても全然平気です。
特定派遣はそこがポイントです。

――そういうのが大事です。生き残るために。

次は赤い銀行のPMOに放り込まれました。具体的には銀行にディーラーっているんですけどこの人たちの業務PCがWinXPだったので、それをWin7に変えるたいというところでした。で、変えるならせっかくだからシンクライアント端末化すれば、PC台数減らせるでしょうという話をしました。

――また全然違う内容の仕事ですね。

PMO経験0なので最初は苦労しましたw
ただ、なんというか現場適応能力があるっぽいんですよね僕。
半年くらいでかなり役立つ存在になってしまいました。

赤い銀行は強烈にウォーターフォール開発で、ある程度の大きさのPJはフェーズのイグジットにいちいち役員の行程移行会議があるんですよ。
それ、1次請けまでしか出れないんですけど、しれっと出てました。

――なんなんですか忍者ですか。

このPJは要件定義からユーザー受け入れまで幅広く対応したので勉強になりました。
仕事をたくさんやってるので、自社から部下をつけろって要員提案があって実際に2人くらいつきました。
それが自社の売り上げになるので社長は喜んでたんですが、1銭も僕の給料が上がらなかったので「給料上げないと転職するよ!」と社長にいってました。
さらに部下のほうが単金高かったんですよね…。
と、いうわけで在職中に転職しちゃいました。

――ああ、部下の方が高いとかあるあるですね。本当はあっちゃいけないんですが、スキルで給料がつきますから、実力で評価される現場とギャップになるんですよね。

経緯でわかる通り、私は無理くり入れられたので給料安かったんです。
特定派遣はきついな、元請けの仕事がいいなと思って、「シンクライアント」をキーワードでリクナビで探しました。
そしたらシンクライアントで元請けのPMOの仕事が見つかるわけですよ。これが現職の会社なわけですが、トランザクション・メディア・ネットワークス という電子マネー決済ベンチャーです。
ここは「シンクライアント決済」事業を行ってるので引っかかったのですね。
でも、これ、言葉が似てるだけで中身はまっったくの別物(javaとjava scriptどころじゃないw)
そのPMOに入ったわけです。

――決済系の会社は今すごい勢いで伸びてますよね。すごいところに行きましたね。

転職したのですが3か月でPMOクビになってインフラGに配置換えでした。
それまでNW経験0(自宅PCをネットにつなげるくらい)でNWバリバリの仕事に放り込まれて泣きそうになりました。

あまり手を動かすのは得意じゃないのですけど、加盟店と専用のNWを引くのがクリティカルに大事な仕事なんですね。今では結構加盟店導入技術相談を結構引き受けてたりします。
3年で50社くらい対応しましたからハイペースです。いまも数十社の案件抱えてる感じです。
最近はより営業フロント的な立ち位置になってますね。

――元請けの仕事って違いを感じますか?

二つ違いを感じます。
一つ目は下請け派遣は「決め」ることがないんですよ。「決められたことをこなす」というのがメインで、意思決定に加われないんです。

――それは完全同意ですね。下での意思決定って詳細設計とか限られた範囲の決定しかないですからね。

プライムの仕事は「Aの道もBの道もどっちもある」けどAにするという決断を決めなければならないことが結構あります。
例えば、佐々木さんがツイートしてた、「オンプレか、クラウド」みたいな判断もあります。うちはオンプレですけど、費用だけを言ったら多分クラウドより安いです。DCの価格とか異常に安いです。
それでも「この領域はクラウドに、この領域はオンプレに」みたいなのはやるわけです。だけどメリデメをいくらやっても最後は「決め」です。

――クラウドより安いなら、めっちゃ使いたい人いそうです。

先週の障害で、その考えの人が10万くらい増えたと思います。
世の会社の意思決定者はすごく、風評を気にします。例えば311の後にすごくBCPが注目されたように「AWS 止まるんでしょう?」みたいに思ってるユーザ企業の経営者はいっぱいいますよ。

もう一つは下請けにいると「発注する」ということの経験が不足します。
受注してそれをなんとかうまくやるってのは経験詰めますけど、発注するためのプロセス、意思決定に携わることは少ないです。
物事をうまくやるためには 自分で作るだけじゃなくて、外に発注することも必要ですけど、そういった役割になりにくいです。
逆に特定派遣で仕事してる人は「そういった経験が積めるか」というのも一つ仕事を選択する判断基準になるかもしれません。

――最後に、意思決定のコツと、今後目指すことについて聞きたいです。

意思決定は、事前調査、フラット、決断の三つの要素が大切です。
まず事前調査。必ずすべての選択肢について調べます。それからヒアリングですね。ヒアリングのコツは「自分から相手のところに行くフットワークの軽さが必要です」
フラットというのは、自分なりに公平にすべきということです。

偏見かもですが「結論が決まっていて、そこから意見を作る人」が多い気がします。これは「考えることの持久力がたりないから、社長が言ったからとか、なんかエースのひとがいったから」とかをベースにしてる人多いんですよ。だから、結論ありきは良くないです。

で、決断は「自分で決めた」という事を大事にすることですね。たとえその決断が結果としてうまくいかなかったとしても人のせいにしない。
そのためにはやっぱ自分で納得いくとこまで考えておく必要があります
まぁきついんですけどw

今後については今45なんですけど、こっから全然違う事をやるべきか、いまの仕事でそのままいくかってのは決め切れてません。
45でそういうこと考えてる人あんまいないっぽいんですけどね。

――客観的に良さそうな会社にいるように思います。

そーなんですよー。まぁ僕の場合、いまかなり自由に裁量多くやらせてもらえているので、そこは感謝してます。
自分がどういう価値を顧客に提供できるかってのはサービサーとして常に考えてはいますけど、やっぱやり遂げるには結構失敗をしてもめげない打たれ強さは必要です。僕は打たれ強いので今があると思ってます。

なので、あまり答えになってないかもですが、何をやるにしても裁量があって自由に価値を提供できる仕事を見つけてきて勝手にやる感じになると思います。

――わかりました。今日はありがとうございました。波乱が多くてとても面白いお話を聞くことができました。また、技術がなくても前線で活躍しているエンジニアの好例だと思います。


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