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他人は変えられないと大嘘こいたやつがいる

「他人は変えられません。変えられるのは自分です」
はるか昔から唯一不変の定石であるかのように、こういったことは常に誰かが言っている。僕はこの言葉が大嫌いだ。他人の可能性を諦めているような気がして腑に落ちない。

発言者に「それはあなたに影響力がないだけじゃないんですか」とでも言いたくなるが、こうしてnoteに書いて留飲を下げることにする。

他人を変えられない説を推す人だって、何かに影響を受けて生きていたりしないだろうか。大好きなアイドルだったり、好きな音楽だったり、誰かの言葉や行動に影響を受けて人生の方向が変わったりしないのだろうか。

冒頭の言葉は影響力以外の文脈で使われることもある。
「他人は自分の思い通りには決してならない」という意味で用いられる。それはそうだろうし、むしろ思い通りに他人を動かそうとする思想は危うい。

相手を変えたいという邪念があるならそれは捨てるべきだ。仕事などで相手の考えや行動を変えるべきシーンだとしても、自分が相手に話を聞いてもらえるだけの実力を先に身につけるべきである。得体のしれない人の話をまともに聞く人はほとんどいないだろう。しかし、確固たる信頼のある人の話なら前のめりで聞いてくれるかもしれない。
その上で相手のことを徹底的に考えて、相手のためになることをアドバイスし、有効的な関係を構築すれば、相手にとって有益な関係ができあがる。
こういうことをやってから相手への影響力が出てくるのだと思う。

僕の仕事も信頼関係がマイナスから始まることは多い。派遣常駐のパートナーは様子を窺ってくる。無茶ぶりをしてこないか、自由に発言しても安全か、おかしな命令をされないか、ミスを人のせいにされないか、とにかく人間不信の状態で入ってくることが少なくない。
彼らは自分たちの安全度を把握するまでは無難な動きしかしない。本当は能力があるのに指示待ちのスタンスで安全確認をする。そうしなければ身を守れない環境もあるからだ。まして技術者は対人関係築くことが不得手な人間も多い。

しかし、多くの場合は最終的に友好関係ができるし、協力的で損得を超えた関係になることもある。チームや案件の垣根を越えてよい連携ができるようになると、職場の快適度は高くなる。
相手の価値観に影響を与え行動が変わるようになれば、僕は「他人を変えられる」と表現していいと思う。

そもそも僕たち人間は他人のことを理解できやしない。
商流の底辺にいた頃は誰にも期待されていないし、オペレータの夜勤なんかは床に段ボールを敷いて仮眠をしていて人間らしく扱われてこなかった。安い給料で理不尽な扱いをされて、クソみたいな人生だった。訪問販売で水を売りに来たやつに運用オペレータのキャリアをバカにされたことなんか一生忘れない。自分をバカにしたやつらのことは全部覚えている。オペを脱してからも下請けの扱いなんてひどいものだ。大手SIの案件入場日にそのプライムSIの営業が待ち合わせをすっぽかしたこともある。どうでもいい存在だと思われている。今でも再会したら殴りたくなるような男が数人いる。

しかし、働く場所が変わり、自分も実力を身に着けて目に見える実績をたくさん出すと他人の目は変わる。僕という人物は変わらないし、漫画の能力者みたいに急に優れた能力が開花したわけでもない。
自分の学力の低さを海外出張の語学力の差などで今でも痛感するし、横浜にあるうちのマンションでは子供の同級生の大半が中学受験をする。が、金銭的にも子供の能力的にもそれは無縁の話だ。こういったことでコンプレックスを感じると昔のまま僕も変わらないと思う。(周りの優秀な人たちが僕を仲間と認めてくれることはすごく嬉しいけど)

人間は誰しも他者への影響力をもっている。
だから、自分の可能性も他者の可能性も軽んじてはいけない。

インフラ勉強会というコミュニティを作ったときに、インフラ技術者が毎日競って勉強した。そこでお互いの人生を大きく変えた。大きくキャリアを変えた人がたくさんいた。大学に行ったり、諦めたはずのキャリアに挑戦したり、キャリアアップしてAWSやMicrosoftなど一つの頂点の企業で活躍するようになった人もたくさんいる。
人生は簡単に変わる。本当に見える景色が変わっていく。

他人は変えられないなんて言ってる場合ではない。すぐに変わって高速で僕を置き去って高みに駆け抜けていくかもしれない。他人は変わる。自分も変わる。

話は変わるが、ついでにこの話題も触れたい。

2000万でパワハラがあっても、300万で平和な会社を選ぶメリットは薄い。新卒ならともかく昇給のない会社というのは地獄である。仮にパワハラがなくても、300万で人生を戦うのはとてつもなくハードだ。私が30歳で辞めた4次請けの会社は夜勤や残業で盛っても300万代だった。二度と戻りたくない地獄の日々だ。

先ほど、僕という人物が変わらないのに周りからの見られ方が変わったという話をした。
僕は今仕事がうまくいってるし毎回最高評価をもらっているから、どんどん売り上げに貢献して経営ロールまで行ける道が見えてきている。社会人の前半での負債がなければ、生活に困るような稼ぎではないと思う。
しかし、300万代の給料の会社のままだったら、どんなに素晴らしい結果を出していても300万代のままだった可能性すらある。(しかも、仕事は300万の仕事の方がずっとハードなのである)

僕はその時から人生が変わるような変化を何度も経験したし、かつての僕と同じような苦しみを抱えている人には前向きな変化ができるように発信を続けていきたい。

僕は関わる人みんなと幸せになりたいし、毎日そう思って他者と接している。だから、他人は変えられないというつまらない思想はくそくらえなのである。

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