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ヒューリック企業分析(8月)
唐突ですが、ヒューリックについて企業分析する。不動産について就活していたわけではないが、いかんせん給与が高いことだけは前から聞いていたので興味があった。個人的にも、転職のことを踏まえて簡単に分析してみる。なので不動産就活に詳しい人向けではなく、初心者向けの内容となっていることに留意して下さい。
注意とお詫び:
業界王手の説明の際に、飯田GHD、レオパレス21、パーク二四、ケイアイスター不動産を抜いて売上ランキングを作成してしまっております。作成後、別の不動産売上ランキングを見ていて気づきました。申し訳ありません。
不動産業界
とは言っても、私はIT企業、とりわけSIerしか詳しくないのでまず不動産業界全体についてざっくりまとめる。
![](https://assets.st-note.com/img/1691210044056-cS1ehuL2Kg.jpg?width=800)
事業内容としては、さまざまな建物や土地を取り扱い、開発、販売、賃貸、仲介、管理といったことを行なっていく。
開発:マンションや商業施設の企画から土地の取得及び資金確保を行う
販売・賃貸・仲介:欲しい人と売りたい人を繋ぐ。つまり営業
管理:建物の設備管理、テナントの誘致、賃料の回収やトラブル対応
以上が不動産業界の業務概要である。勝手なイメージとしては、開発が恐らく人気なのだろうが実際のところは、営業や管理で働く人が殆どであろう。そして商材が大きいこともあって、かなり稼げる営業職である。
業界大手(売上順)
三井不動産
三菱地所
東急不動産HD
オープンハウスG
住友不動産
野村不動産HD
ヒューリック
東京建物
イオンモール
スターツコーポレーション
![](https://assets.st-note.com/img/1691210754152-7jep17lGxn.jpg?width=800)
PER:高いほど投資家から現在成長すると評価されていると言う指標
ROE:限られた純資産をどれだけ効率よく動かしているかと言う指標
![](https://assets.st-note.com/img/1691210781328-i1wJfO7X74.jpg?width=800)
https://qiita.com/h_kobayashi1125/items/02039e57a656abe8c48f
売上大手10社がとりあえず全部上場企業だったのでバフェットコードで比較できた。楽で助かる。どうでも良いけど、データ分析するときはとりあえずpandas-profilingにかけると良いのと同じやね。グラフを見ていてヒューリック周りで特に気づいた点を列挙する。参照したグラフが乗っているバフェットコードのリンクはめっちゃ長いので、ページの下に貼っておきます
従業員1人辺りの売上ランキングはヒューリックが3億8800万円で、2位のオープンハウス2億1200万円を大きく突き放している。
売上と時価総額の順位が若干一致しておらず、時価総額ランキングの方が売上ランキングを超す企業は、ノリに乗っていると仮定すると、住友不動産、ヒューリックは売上以上になんか人気っぽい
営業利益率は、ヒューリックと住友不動産が高い
従業員数が1347名と最下位。1位は東急不動産HDの21614名
イオンモールのPERが高いのは、その配当性向が80%を超えている為であり、それに対してヒューリックは40%ほどで第4位である。イオンモールのこの配当性向の高さは何かカラクリがあるんだろうが今回は調べない
ここまでの調査でわかったヒューリックの印象としては、かなり儲けていて、少数精鋭で、市場からも評価の高い不動産会社という私の従来持っていた印象通りでした。では、次にヒューリックについて企業分析を進める。
ヒューリック
主力事業:不動産賃貸と開発・建替事業
新卒採用人数:10名程度
業務内容:開発プロジェクトのプランニングから建築監理までのデベロッパー業務、不動産売買および不動産賃貸事業に付随する業務、経営管理や人事・広報等の企画管理業務
給与:
大学卒 月給 275,000円
修士了 月給 310,000円平均年収:1904万円
Philosophy:「市場競争力と成長性を備えた企業」長期的に収益効率の高い物件を取得するため、「立地重視」の物件選びを基準とし、都心・駅近の物件に集中投資し建替・開発を行うという戦略を選択することで、市場平均を大きく下回る空室率を維持しており、非常に高い利益率を実現
都心の中でも将来的な収益が見込める、銀座、新宿東口、渋谷・青山、浅草を重点エリアとしており、2029年までにポートフォリオの50%を重点エリアの物件とする予定
事業内容の掘り下げ
HPとか四季報の解説からは、とにかく物量で売るタイプの企業ではなくて、賢く、価値のある物件を取り扱うことで利益を上げてるという超優良そうなイメージを持った。実際、openhouseみたいな社風とは違うのだろうが、不動産会社である以上ある程度熱量で売るという部分もあるんじゃないだろうかと勝手に邪推している。
ということで、事業内容を決算説明資料を参考に掘り下げていく。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3003/ir_material_for_fiscal_ym15/139147/00.pdf
![](https://assets.st-note.com/img/1691219070284-HfCBBOHIJd.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1691219510937-LM7QKB1ZIs.jpg?width=800)
こういう取り扱う物件の価値を高めてます系のページが多くみられる。実際、openhouseグループとかではこういうページがほぼなかったので実際、良い物件が多いんだろう。
※3階建にすることで延床面積を確保して価格を安くする!みたいな説明はopenhouse Gもやってた。
他にも
新規事業
以下の新規事業に 約500億円の成長戦略投資枠(2023-25年)を設けている様子。ヒューリックの2022年の純利益は221億であるから、この投資額は小さくないことが読み取れるだろう。
フレキシブルオフィス事業:レンタルオフィス事業と掛け合わせた、オフィス物件周りのサービス。ITツールを駆使した便利なオフィス物件を提供する。不動産✖️ ITを1社でやろうとしているのは純粋にすごい。
こども教育事業:施設内に託児所、幼児教室、学童、学習塾、運動スクールをはじめとした習い事教室や、親子カフェ、子供クリニック等の子育て・教育機能を集積した複合施設である「こどもでぱーと」事業
レンタルオフィス事業:「起業件数の増加」「ハイブリッド型勤務の普及」により更なる拡大が見込まれる成長分野
アウトドア事業:キャンプ施設の運営等を手がける㈱R.projectと 資本・業務提携 をしたり、 こどもの非認知能力の育成に資するアウトドア領域に参入し、こども教育事業とのシナジー、こども経済圏の需要獲得を狙う。最近早いの、幼児教育とかにも手を出す感じかな?
初心者意見であるが、どれも将来性のある素敵な事業だと思った。何より、将来について経営陣がしっかり考えて投資をしているという感じがスマートでいいですね。仮に事業が上手くいかなかったとしても、その時はその時でしっかり考えて対応してくれそうな印象を受けます。決算資料も、兎に角理詰め理詰めで作られていました。
また、取り扱う物件が都心と好立地であり、それに付け加えて子供教育に手を出すとのことなので、対象が高所得帯の人になってきているのも特徴かなと感じます。
ここまでの調査により、私の「ヒューリックも根本では泥臭く売るみたいな文化があるんじゃないか?」という私の邪推が的外れであったことがわかった。いや勿論そういう側面もあるのだろうが、だいぶマシな方だろう。
openworkの評価から思うこと
車内は銀行、ゼネコンからのセカンドキャリアが多く、企業の硬直化になっているのではないかという指摘があった。実際、HPにも少数精鋭という言葉があったし、かなりエリート意識が高い会社なのだろう。実際、入社難易度も相当高い
退職理由に「優良資産の売却と、不良資産の購入」とあった。ただしヒューリックは、都心の価値が高い資産を多く取り扱うことで効率よく稼ぐことを目標として掲げているため、社員の一部はそうは感じていないのだろう
新卒と不動産会社転職組はフロント(営業とか顧客と話す部署)、外銀やゼネコン出身者が経営という風土があるっぽい。まあ、新卒をあまり取っていないことからも、古い年功序列な日本企業とはかなり違うカルチャーだと思うべきだろう。その分年収も高いし。
外資系、オーナー企業ぽいというレビューが散見されたので、代表取締の役員報酬を調べてみたところ、2億7800万円であった。なるほど、確かに外資っぽい。最近イケイケのオーナー企業のベイカレは3億2700だった。以下のツイートは代表取締役ではなく、取締役の役員報酬ランキングだが参考にしてほしい。
上場SIer取締役 役員報酬ランキング(2022)
— ソロモン(24卒/CS専攻/SIer) (@IskkuuC) June 9, 2023
わかった事
・意外に 「富士通 ≈ NEC > 日立」
・オーナー企業はレベチ
・ISID、NSSOL、日本MSの役員報酬は意外と低い
※IRバンクより pic.twitter.com/tmb8oFrrHj
まとめ
ヒューリックと一言で言うと
「常に将来性を考えて、物件購入、開発を行うスマートな不動産会社」
但し、新卒で入るには難しい割には新卒で入るメリットが小さい会社だとも少し感じたので、中途で入ることも見越して不動産業界に就職してもいいのではないだろうか?あと、懸念点としてはopenworkの星が4.0を切っていることがある。これほど年収の良い企業としては結構珍しいことである。
あ、、、でも不動産会社としてはopenworkの評価が3.75って結構高い方みたいだ 笑 業界内待遇面の満足度ランキングなるものも5位らしいし。まあそうだろうそうだろう。
但し新卒で入社できたとしても、開発とか新規事業とかは割とトップの命令通りに動くことが求められるっぽいので、折角優秀な人が入ってもあんまり裁量のある仕事はすぐには貰えなさそうですね。
以上、ヒューリックの企業分析でした。こども教育事業とか、個人的にすごい面白そうだな、、、
以下バフェットコードのリンクです
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