見出し画像

2021/12/07 サマーゴースト

サマーゴーストを観ました。
40分の映画ということと友人2人の意見などから、「あーこれ自分で確かめなきゃな」ということで観覧。
あと絵が可愛かったので浴びたかった。
あおいちゃんが萌萌すぎて焦ったぜ……。

恒例の如くネタバレ。

あらすじ
死について考える悩める3人の高校生が幽霊と出会って、幽霊の元の体を見つけて成仏するところを描いた物語。
その過程でそれぞれが自分を見つめなおして変わっていくというのが見どころです。

死生観
題からして死に触れるんだろうなという中で、やはり死生観についてのお話でした。
キミスイのような不条理さや、マテリアルゴーストのような「死はプラスでもマイナスでもなく0」と置いているものなど過去に触れた作品を想起しながら観ていました。
この死生観のあり方が自分の中のもの、もしくは目指しているものにかなり寄り添っていたためか、なんだか自分の思いを救われる形となりました。

生死という一見遠いものに親しみを覚えたのは「生きるのが上手い人がいなかった」ことも理由に挙げられると思います。
俺は生きるのが下手なやつなので、そんな自分の考えをあるものとしてくれるのはありがたかった。

緊張
カット割とか演出やシナリオの抑揚など、物語として違和感を感じてたんですけど、映画特有の没入感に反している部分が大きかった。
これ一番最初に思ったのは朗読劇に似てると感じたセリフ回し、テンポだったんですが。
MVを観ているようだった、という友人の感想はその通りだなあとなって、そんな没入感に反した作りに緊張を強いられているように感じました。

弛緩
それらに対して、キャラクターは限りなく弛緩していました。その世界の中でただ生きていました。
田舎のあぜ道、本屋、レストラン…果ては空港など様々な場所を舞台として、物語を進行され、土地同士に全く繋がりがないんですよね。
幅広い背景美術はかなりリアルに寄せていて、登場人物が現代を生きる姿を描いていて、こちらがノスタルジアを感じられる余白が多かった。
ここからは聞き齧った話ですが、声優さんへリラックスした状態で録音してほしいということで座りながら収録するようなディレクションだったらしい。島崎信長さんは立った方がリラックスできると、立って収録をしたそうですが。

「映画の中の登場人物がそのまま生きているように」感じたのは、世界観の提案と演技の仕草がかなり独特だったからなのかと感じました。

相反するものに感じたもの
散文的になってしまったが、要素と要素が噛み合っていないため、方向性がまばらに感じたのは事実です。
短すぎる上映時間、それにしては大きすぎる題材。
写実的な背景美術、点在的すぎるロケ地。
リラックスを促されたディレクション、葛藤や衝突で悩む青年たち。

ではこの「緊張と弛緩」という反対のものが何を指しているのかを考えますと、リアルとフィクションの線引き…僕らと彼らの違いで。
この映画はフィクションであると明らかにしつつ、ここから生死について考えて欲しいというメッセージ性を感じたくなりました。40分という上映時間が顕著に出てるよね。

これが朗読劇を観ているという感覚にもつながっていて、自分は一歩引いたところから見ている立場だったのが、映画じゃないけど独特な試聴体験で楽しかった。

とはいえ、な総評
トモヤとあおいは生きる決断を示して、涼は死を受け入れました。絢音は死後、自分の身体を見つけたことで供養され去って行きます。
本当の意味で生死の是非を問うには「生きること」を美しく描きすぎていたり、絢音のシーンで遺体を写さないのは「死を忌避」していたりと、思うことも多いアニメーションでした。
が、こうして長々と考えさせてくれたので、とても楽しかったですよ。

あおいちゃんがね、萌なんだわ……っ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?