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会社設立後、新たに支店を設置したときの登記(管轄外/本支店一括申請)

 例えば業務拡大や販路拡大等により、株式会社が会社を設立した後に、新たに支店を設置したときはその登記を申請する必要がある。


<申請手続き上のポイント>

申請先

 管轄先の法務局について、本店の所在地と新しく設置する支店の所在地が同じ場合は、その法務局に申請する。
一方で、管轄先の法務局が本店と支店とで異なる場合は、原則的には、それぞれの法務局に申請する。ただし、これらをひとまとめにして本店所在地の法務局に申請をすることもできる。(本支店一括申請)
 なお、今後は支店所在地での登記を廃止する方向で法改正が進められている。※(本店での)「支店設置登記」自体は法改正後も引き続き必要。

必要書類

 支店と本店で管轄先の法務局が同じ場合も異なる場合も、下記<本店分>の書類は共通。管轄先が異なる場合は、これに加えて<支店分>の書類が必要。


<本店分>本店所在地を管轄する法務局に出す
 1.委任状(司法書士に依頼するとき)
 2.取締役会議事録又は取締役の決定書
  支店設置の決議機関・決議方法としては、取締役会設置会社の場合は取   締役会の決議、非取締役会設置会社の場合は取締役の過半数の一致が必要。(会社法348条3項2号、362条4項4号)
  議事録又は決定書には、支店設置日と支店場所を記載する。

<支店分>支店所在地を管轄する法務局に出す
 1.登記事項証明書(又は会社法人等番号の記載)
本店所在地において、支店設置の登記が完了したことを証明するため。
※本支店一括申請の場合は、本店分・支店分の両方を同時に申請することになるので、結果的に上記<本店分>の書類のみで済む。


登録免許税

 支店と本店の管轄先が同じ場合は<本店分>のみ。
 <本店分> 6万円  (支店1ヵ所につき)
 <支店分> 9,000円 (申請1件につき)
 ※本支店一括申請の場合は、設置先の支店を管轄する法務局1庁につき300円の手数料が必要。


登記事項

 本店申請分については、管轄先が同じ場合も別の場合も共通。

 <本店申請分>
 支店設置年月日と支店設置場所

 <支店申請分>
 申請先の法務局と同じ管轄内に、既に別の支店が登記されているか否かで以下のように内容が変わってくる。


1. 初めて支店を設置するとき(別支店の登記がないとき)
 商号、本店所在場所、会社成立年月日、支店設置場所、登記記録に関する事項


2. 既存の支店があるとき
  支店設置年月日と支店所在場所


申請例(本支店一括申請の場合)

 本店 名古屋市昭和区〇〇一丁目1番地の1
 支店 東京都港区△△二丁目2番2号
  ※同管轄区域内に支店なし
 非取締役会設置会社

 

  株式会社支店設置登記申請書(支店一括申請用)

本店 株式会社ハム
支店 別紙1のとおり
登記の事由  支店設置
登記すべき事項 別紙2のとおり
登録免許税額  金69,000円
    内訳  本店所在地分 60,000円
        支店所在地分 計 9,000円
登記手数料 金300円
支店所在地登記所数 1庁 ※ 本店所在地の登記所は除く。
納付額合計 金69,300円
添付書類   取締役の決定書 1通
       委任状 1通
上記のとおり登記を申請する。

令和3年8月13日


申請人   名古屋市昭和区□□一丁目1番地の1
      株式会社ハム
      名古屋市中区三丁目3番地の3
      代表取締役 戸床公太郎

上記代理人  名古屋市北区●●四丁目4番地の4
       司法書士 公司 勲

宛先登記所  名古屋法務局


別紙1(支店)
管轄登記所 東京法務局 港出張所
支店・従たる事務所の所在地 東京都港区△△二丁目2番2号

別紙2(登記すべき事項)
(本店所在地の登記所における登記すべき事項)
「支店の所在地」東京都港区△△二丁目2番2号
「原因年月日」 令和3年8月13日設置


(支店在地の登記所における登記すべき事項)
「商号」株式会社ハム
「本店」名古屋市昭和区□□一丁目1番地の1
「会社成立年月日」平成30年5月5日
「支店所在地」東京都港区△△二丁目2番2号
「登記記録に関する事項」令和3年8月13日支店設置

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