外来語の表記、あれこれ

 テレビのスポーツニュースを見ていて気になりました。サッカーの久保建英選手の所属しているチーム名の表記がカタカナでレアルソシエダ−ドとなっていたことです。
スペイン語では単語の末尾がdの場合、普通は発音しません。例えば、大学 universidadは ” ウニベルシダ ” 。 日本人(私の耳)には ” ウニベルシダ(ッ)” と聞こえているような感じです。
多分、”ウニべェルシダード”と発音する人はまずいないのではと思います。

 sociedad は ソシエダ(ッ)。語尾が促音(詰まる音、小さなッ:無音で一拍)のような感じです。
” ソシエダード ” と書かれたり発音されたりすると何かギクシャクしたような気がして落ち着きません。
 

 1991年国語審議会の「外来語の表記」の告示があります。外来語のカタカナ表記についての決まりなのですが、ゆるやかなきまりなので混乱します。「慣用が定まっているものはそれによる」とあります。ゆえに、「Madrid」 は 「マドリード」です。 (発音は「マドリッ」)
 これに倣って[ sociedad ] が 「ソシエダード」 と表記されているのかと思います。
 原音や原語に近い表記とは言いながら慣用も認められていますので、「ソシエダード」とするのが誤りであるとは言えないように思います。

 楽器の「バイオリン」ですが、「ヴァイオリン」と表記することのほうが原語に近いと思います(「 b 」 と「 v  」を区別して発音できるかどうかは別問題として)が、両方とも使われていくでしょう。そのことに問題はない思います。

 また、「ビバルディ」や「ゲーテ」、「キェルケゴール」など定着している人名も従来通り使われていくことでしょう。

 しかし、これからも、人名なども含めて外来語は増え続けます。その時表記はどうすればよいのか、いま少し、なんらかの取り決めがあったほうがいいのではと思うのです。

人工知能は原語からカタカナでは長くなるからでしょうか「 AI」とローマ字表記。

感染爆発は「パンデミック」とカタカナ表記。

 わかっているようで、よくわかっていない(私だけか)
カタカナ・ローマ字表記の「チャットGTP」

 新たな概念や技術などをすぐに適切な日本語(漢語を含みます)に創り出すのは当然のことながら困難なことですが、チャットGTP等となると、この言葉を使う人も、聞く人もどの程度理解しているのか、ちょっと気になります。言葉の意味を漠然としたまま、わかっているつもりで話が進められることにかすかな不安を感じます。


 フランスでは、料理人の間で日本語の「うまみ」が「 umami (発音は うまみ)」で使われているようです。

何処も同じ、(秋の夕暮れ)、でしょうか。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?