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この部屋には

 この部屋には4匹の生物がいます。

 1匹はとても臆病で、4匹の内の1匹に対してすごくビビってます。しかし他の2匹とは仲が良く、毎日のように一緒に寝て、遊んでいます。

 1匹はとても可笑しく、4匹の内の1匹に少し懐いてます。嫌な声を出しながら甘えた行動をする。そしてその1匹以外とも仲が良く、毎日のように一緒に寝て、遊びます。

 1匹はとてもマイペースで、4匹の内の1匹との関係は普通です。他の2匹との関係は良好ですが、可笑しい子は少し気に食わない様子です。ですが毎日のように一緒に寝て、遊んでいます。

 最後の1匹はとても愚かで、毎日机に突っ伏し、紙に美少女を描き続けます。それに飽きたら薄暗い部屋で機械から青白いライトを摂取し、眠りにつきます。そしてたまにこの部屋からいなくなり、帰ったらいくつかの美少女フィギュアを抱えて机の裏の棚に飾る。他の3匹の事は大好きだが、その愛も歪で空回り。そして毎日機械とにらめっこし、毎日何者かに成りたいと願う。そうゆう生き物。

 最後の1匹はたまにおかしくなる。壁を背に座り、ボーッとしている。全く何をしているのだろうか。何者かに成りたいハズなのに、何もしない。変だね。そして何故か涙を流す。自分の矛盾にでも気づいたのでしょうか。

 この部屋には最後の1匹が15年間で集めたモノが集約された棚があります。美少女フィギュア、漫画、ぬいぐるみ、本、アクリルスタンド、卒業アルバム、卒業証書、スケッチブック、アクリルキーホルダー。これが最後の1匹の15年間。何かに繋がるわけでも、何者かになれるわけでもない。言ってしまえば無駄なモノ。有っても無くても変わらない。でもこの生物からすれば一番大事なモノだそう。

 この4匹、いや最後の1匹と他3匹は、この部屋にいる事、そして寝る事以外は何もかも違う。しいてもう1つ共通点を挙げるなら全員自堕落ということだろう。毎日何かするわけでもなく、ただただ無駄な時間を過ごすだけの生物たち。何かの役に立つことは何も…いや3匹はしているかもしれない。この部屋の外には他に3匹生物が生息している。その生き物たちを楽しませ、癒しを与える。しかし最後の1匹はどうだろう。何の役にも立たず、15年を無駄に生きているだけ。

 機械と睨み合いをして、ベルマークに反応がある時だけ少し目を輝かる。そして日々の醜悪さを呪うように言葉を機械に吐くが、それも言葉にすると十数文字。誰も見ちゃいない。

 この部屋には4匹の生物がいて、1匹は臆病、1匹は可笑しく、1匹はマイペース。でももう1匹はただ愚かなだけ。そうただ愚かなだけ。

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