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12月5日(2009年)最悪のホーム最終節の向こう

 この頃はメイン南側SBが自分の応援席でした。アウェー自由席が近く、指定席の方にもアウェーサポーターが紛れ込む余地があるのです。レッズが優勢の時は余裕でいられても、劣勢の時は不愉快だし、失点したら耳を塞ぎたくなるし、負けようものなら、とっとと帰ってくれ!
 それ以上の最悪をこうむってしまった日です。
隣の席に二人、ピンヒールのブーツを履いた鹿島ファンが座り、アウェーゴール裏のサポーターに同調してキーキー弾けているのです。
 試合が始まって、アントラーズ最初のゴールがオフサイドの場面。お隣が舞い上がって騒ぐので「騒ぐなよ、オフサイドだろ」って一括。直ぐに大人気無かったな後悔すると、相方が「はしゃがないで。騒ぎたいならあっちの方(ゴール裏)へ行ったらどうかしら」とやんわり。口角上げて笑っていない視線。
 それからは気の毒なくらい静かになってしまいました。彼女たち、「うらわ」っておっかない、と思ったことでしょう。あの後ゲームを楽しめたのかな。

 
 優勝セレモニーは、センターからずーっと南に寄ってアウェーゴール付近でやることになり、それが我々のシートの真ん前で、最悪。情熱家のオリベイラ監督が一番はしゃいでいて、V3を示す3本指を何度も突き出すのを見せられます。同じブロックのあちこちから鹿島のファンがゾロゾロと沸き出してきて、何だ実はこんなにいたのかよ。浦和のホームなのでマナーを守ってなりを潜めていたのね。
 何度も優勝シャーレを掲げて歓喜するアントラーズ選手とサポーター、こちらは腕組みしてじっと我慢。雨の中、ホーム最終節のセレモニーが始まるまで無言で耐え忍ぶのは辛いことでした。
 逆の立場だったら。
相手のホームチームへの優越感に浸り、傍若無人に喜びを爆発させていたと思いますよ。前述の女子たちのように。


 レッズは今季の闘いを通じて、どこまで変わったのだろう。
初戦の鹿島戦は、力の差をマザマザと見せ付けられるような完敗てスタート。そして同じ実力ナンバーワンのチームと最後の試合。
 押されて頭を抱えっぱなしだったリーグ初戦から比べれば、頭を抱えるのは何度も訪れるチャンスを潰した時に変わった。ヤバイから惜しいに変わった。
 根気よく続けてきたパスサッカーは、局面の打開に効果を表し、仕掛け続けるというスタイルが出来上がりつつある。
 強くなったか?
というと、そうではないと答える。でも面白くなっていきそうだ。
 カウンターサッカーからポゼッションサッカーへ、新しいレッズスタイルに脱皮するための最悪の日であってほしい、と考えていました。

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