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ねむた医式 眼科専門医試験の必勝法

今すぐ始めましょう.
そして己の実力に絶望しましょう.
それが合格への第一歩です.

はじめまして,眼科医のねむた医と申します.
眼科専門医試験の対策といえば,これまで「眼科学セルフアセスメント」この二本柱だと言い伝えられてきました.
しかし効率を重視した場合,いまやそれは得策ではありません.
このnoteでは,最大効率で合格を勝ち取る ねむた医式 眼科専門医試験の必勝法をお示ししたいと思います.

始まり

2019年10月,それまで一強とされていた過去問集のセルフアセスメントに代わる眼科専門医への最短コースが出版されました.
これはセルフアセスメント第3版以来,実に約8年ぶりの過去問集であり「しばらく新版は出ないな」と思い,受験まで2年以上あるものの購入に至りました.
この判断は,眼科というものをゼロから学ぶきっかけとして正解でした.

絶望

専攻医も3年目に差し掛かって外来や手術を1人で行うようになり,少しずつ眼科医としての自信がついてきた頃.
いざ過去問と対峙するも,見たことも聞いたこともない事の連続で全くペンが進みませんでした.
そしておそらくこの絶望は眼科専門医を目指す者の殆どが経験することでしょう.
なんとか1年分解き終えるも,得点は3~4割程度でした.
もちろん勘で当たったものを含めてです.

眼科専門医試験は一般100問 各1点,臨床50問 各2点および口頭試問もしくはそれに準じた筆記試験(昨今のCOVID-19感染拡大に伴う特別措置)であり,一般および臨床合わせて120点/200点以上が合格のための必要条件とされています.
口頭試問に関してはブラックボックスですが,よっぽどな事がない限りそれを理由に不合格となることはないという噂です.

こうして私は「眼科専門医試験というものは普段の臨床経験だけでは合格には遠く及ばない,全くの別物である」という現実を目の当たりにしました.
これを認識するのが受験の3年前なのか,それとも数ヶ月前なのか,受ける精神的ダメージと準備期間の差は火を見るよりも明らかです.

救世主

地道に過去問を解いて,間違えた箇所や分からない単語を1つずつ調べる作業は途方も無い時間を要します.
そこで救世主として颯爽と現れたのがぐちょぽい先生です.
眼科関係者なら既にご存知の方も多いとは思いますが,試験でよく出題される眼科疾患の解説や,眼科専門医試験,視能訓練士国家試験の解答・解説をホームページにて有志で作成されています.
また,LINEのオープンチャットでは眼科専門医試験勉強会を運営されており,定期的に過去問の解説をしていたり試験直前には最新のトピックスや質問に応じるライブ配信などをされています.
眼科に関する書籍を100冊以上読了されているそうで,知識の幅広さは随一です.
これから眼科専門医試験を受ける方はこれに乗っかるのが間違いなく合格への近道です.

具体的な勉強法

まず初めにすべきことはテキストや問題集の電子化,もしくは電子書籍での購入です.
そしてノートはiPadなどのタブレット端末に全てまとめてしまうことを強く推奨します.
私は試験対策に使う本をすべてキンコーズで断裁,ScanSnapでPDF化し,iPadのブックアプリに取り込み,必要に応じてGood Notesアプリ(有料)にも取り込んでいました.(Androidタブレットには明るくないですが,類似アプリもあるようです)
問題集をPDF化するとノートアプリから書き込んでもPDFをコピーするだけでまっさらな状態から再度演習することも容易ですし,Scan Snapは購入せずともサブスクという手もあります.

「俺は絶対紙だ!そうじゃないと全く頭に入らない!」
「そんなデジタルなこと,難しくて出来ないよ〜」

という方は紙で同様のことをしても良いかもしれませんが,2周以上勉強する際の効率が格段に落ちます.
断裁やPDF化は最初こそ手間はかかりますが,一度やってしまえばその後の時短効果は絶大なので早々にやってしまうことをオススメします.
メルカリやヤフオクに断裁済みの成書が出品されていることも多いのでそちらを探してみるのも一つの手です.
何より全て電子化することで試験当日に クソ重たい枕みたいな本 成書を何冊も持っていく必要がなくなります.

ノートを作る

眼科専門医試験は膨大な数の眼科疾患や発生,疫学などから満遍なく出題されます.
しかしその中にも一定の出題傾向はあります.
出題頻度の比較的高い疾患などをまとめたサイトが先述の眼科医ぐちょぽいのオンライン勉強会です.
まずはこのサイトから各疾患ごとに自分なりのまとめノートを作成します.
Good Notesは手書き文字であってもOCR(文字認識)されるため,過去問を解いていく際に再検索したり追記したりすることが容易になります.
また,PDF化した本の画像や表などをスクショ,トリミングしたり,ネット上から拾ってきた図や画像であってもノートに貼り付けられます.
そうすることで複数の媒体のいいとこ取りをした自分専用の眼科専門医試験対策ノートが完成します.
汚い字で恐縮ですが,参考までに自分のノートをお見せします.

画像は著作物のためモザイク処理
Good Notesなら図形の編集も簡単

まとめノートが一通り出来上がったら,ここでようやく過去問とのリベンジです.
しかしそれでもまだまだ得点率は伸びないでしょう.
そして一般,臨床ともに制限時間2時間であることを知り,再び絶望の淵に立たされます.
みんなそんなもんです.

ねむた医式爆速演習

眼科専門医試験は時間との戦いです.
1問ずつじっくり考えて解いていては間に合いません.
そこで「ねむた医式爆速演習」です.
たった今,勝手に命名しましたが,過去問を爆速で解けるようになるまでぶん回すだけです.
最終目標は一般100問を45分,臨床50問を20分以内です.
爆速演習で大事なのは正解選択肢だけではなく,誤選択肢についても吟味することです.
正確には「爆速(回答を目指す)演習」です.
なぜ誤りなのか,何を狙った選択肢なのか,それも含めて爆速演習することで回答スピードを格段に向上させられます.
「この選択肢はあの病気の所見だから,この選択肢はこの言い回しが引っ掛けだからといった具合です.
最初からスピード重視で演習する必要はなく,誤選択肢を意識しながら解くことで類似問題への対応力を養います.
また誤選択肢には今後の新問題への布石となっているものも多数存在します.
誤選択肢から出題された日には「あっ,これ進研ゼミでやったところだ!」と歓喜の声を上げることでしょう.
私は24〜33回までの10年分を約5周することで過去問正答率75〜80%,誤答問題のみ繰り返し演習し,最終的には正答率95〜97%となりました.
爆速演習の甲斐あって,実際の試験では一般1時間,臨床1時間半を残して解き終えることができました.
それだけ時間の余裕があれば,悩んだ問題にじっくり時間を割くことができます.
ただ当然ながら,単純に見えて実は奥が深いような引っ掛け問題にはまんまとハマりやすくなるので諸刃の剣ではあります.
それでも自己採点では85%程度正答していたので個人的にはおすすめです.

爆速演習の友

爆速演習をするには先述の問題集では解説が見えてしまったり,間違えた問題のリストアップが面倒です.
そこで欠かせないのが「某医局の某サイト」です.
これは眼科専門医試験勉強会オープンチャットのノートにリンクがあるのでそちらから会員登録してください(無料).
「某サイト」では第24回から第32回までの過去問を演習することができます.(2022/06現在)
使い勝手としては医師国家試験などで有名なQB Onlineのような形式です.
年度別,分野別,自分がチェックした問題,間違えた問題のみなどで演習することが可能で,弱点克服や直前の見直しにうってつけです.
また割れ問や疑問点に関しても,各問のコメント欄にて論文や成書をもとに議論がなされているため,サラッと流してしまった問題や問題集で解説されていない問題でも深くまで学ぶことができます.
よってこのサイトのおかげで過去問解説集の購入すら不要となりました.

必勝のための3種の神器

これらを踏まえた「ねむた医的眼科専門医試験の3種の神器」

この3つです.
この3種の神器があれば,眼科専門医試験に合格するという点に関してはセルフアセスメントなどの過去問集や眼科学は不要なのではないかと思います.
(※眼科学は間違いなく良書です.誤解なきよう.)
実際,私は成書をまともに開くことなく受験しました.

最後に

2022年度から眼科専門医試験は日本専門医機構眼科専門医認定試験となり,専門医制度も大幅に刷新されました.
しかし,幸いにも試験の出題傾向は従来通りです.(第34回時点)

専門医試験と戦うためには過去問がもっとも重要です.
私は眼科専攻医としての勉強に専門医試験の過去問を利用するよう後輩にアドバイスしています.
これは普段なかなか遭遇しないような疾患もコモンな疾患も網羅的かつ論理的に学ぶことができるためです.
日常診療の知識だけでは専門医試験相手に太刀打ちできませんが,試験対策を進めることによって臨床能力は飛躍的に向上します.
あらゆる症例を満遍なく経験出来て教育体制が充実している施設はこの限りではありませんが,そこまで恵まれた環境で勤務している眼科医はごく少数でしょう.
そしてORTとの良好な関係を築くことも重要です.
彼らは眼科に関する知識を全般的に学び,その国家試験に合格しています.
我々の医師国家試験での眼科領域の知識量とは比べ物になりません.
また非侵襲的な検査を中心に各種検査も実際に受けてみることをおすすめします.
一度受ければ忘れにくく,患者説明にも説得力が増します.

勉強を始めるのに早すぎるということはありません.
眼科専門医を目指す先生は年次を問わず今すぐ眼科専門医試験対策を始めましょう
今やどんな医局や病院,地域に属していてもネット環境さえあれば十分な情報を得られる時代です.
もちろん論文や成書の方が情報の正確性は担保されていますが,効率を考えると有益なサイトやSNSは存分に利用すべきです.
早々に合格レベルまで仕上げれば試験直前に焦る必要もなくなります.
罪悪感なく週5でジムに行ったり,健康的な時間に就寝することも出来ます.

たとえ低学年でも怠惰な先輩を実力で追い抜いて,職場で一目置かれる存在となれば仕事もしやすくなるはず.

皆さんの健闘を祈ります.
総統閣下も来年こそは合格してほしいですね.

ねむた医

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