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映画『コンタクト・キラー』(1990年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:コンタクト・キラー
原題:I Hired a Contract Killer
製作年:1990年 フィンランド・スウェーデン
監督:アキ・カウリスマキ

映画『コンタクト・キラー』は、

人生に絶望し自殺を試みるが失敗してしまった男が、プロの殺し屋”コンタクト・キラー”に自分の殺害を依頼するというサスペンスコメディです。殺し屋と契約したあとで運命の女性と知り合ってしまいー。

カウリスマキ監督の”間”にジャン=ピエール・レオの存在感が冴える1本です。

キャスト

・ジャン=ピエール・レオ(アンリ・ブーランジェ)
生きることに絶望し自殺を考える男

・マージ・クラーク(マーガレット)
花売りの女性 アンリと恋に落ちる

・ケネス・コリー
殺し屋

映画『コンタクト・キラー』の見どころと感想

ロンドンで暮らすフランス人、アンリ。長年務めた水道局をクビになり絶望して自殺を図ります。

が、首を吊ろうとしてもフックが外れてしまう、ガス自殺をしようとしてもガス会社がストライキ中、といずれの方法もうまくいかない。自分では死にきれないと思ったアンリは、新聞広告を頼りにプロの殺し屋コンタクト・キラーを訪ねます。

無事に契約を済ませパブに立ち寄ったアンリ。そこに花売りの女性マーガレットが現れます。たちまち恋に落ちてしまったアンリは死にたくないと思うようになります。

契約をキャンセルしようと殺し屋のアジトに向かいますが、すでに廃墟となっており連絡がつかない。

そして殺し屋は契約どおりアンリの命を狙いにー。

評)カウリスマキ監督の世界に、端正なジャン=ピエール・レオがハマる奇跡

寡黙な主人公というカウリスマキ監督作品の中ではおなじみのキャラクター。本作のアンリも家族も友人もいない、誰からも関心を持たれない孤独な存在です。

そのアンリを演じるのはヌーヴェルヴァーグのアイコン、ジャン=ピエール・レオ。マッティ・ペロンパーと比べてはなんですが、間違いなくイケメンで笑える要素はない、はずなのにとにかくクスクスと笑えてしまうのです。

ことごとく自殺に失敗する、「新しい仕事探せよ」と殺し屋に励まされる、殺し屋に自分の居所がわかるようにと律儀にメモを残す、マーガレットを口説き始める、宝石強盗に巻き込まれる。

ジャン=ピエール・レオに当て書きしたという本作。丁寧に作られた脚本とカウリスマキ監督独特の”間”に、端正な顔があんなに可笑しくハマるとは。

そしてもう一人の主役、殺し屋の存在にも引き込まれるものがあります。いや、もうこっちのほうが、となる終盤です。(ネタバレしないでおきましょう)

そして、その殺し屋がある人物にかけられる「神を信じなければ地獄は存在しない」という言葉。意味深です。

故郷フィンランドを舞台にしたパラダイスの夕暮れ』(1986年)や『真夜中の虹』(1988年)に比べるとちょっと洗練されてキャストも豪華。でもちゃんと素朴で温かい。

映画『コンタクト・キラー』ぜひ。

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