『急に僕を振った君は唐突にまたやって来てただいまと言ってくる』
まだ蒸し暑い夏の日…
美:もう、別れよ?
○:いや、なんでだよ…
美:なんでって言われるとそんなに深い理由はないんだけどね
○:なんだよそれ…
美:ごめん、意味わかんないよね…笑
彼女はそう言いながらいたずらに笑う
美:じゃあね
○:お、おい…!待ってくれよ美月、美月…!
○:今日も大学めんどくさいなぁ…
俺は○○。普通の大学生だ
今は歩いて大学に向かうところだ
○:にしてもホント急に寒くなったよなぁ…
最近までの異常な暑さから想像もできなかったような冷たさを感じながら呟く
仲のいいカップル(男):いやそれでそいつが倒れたんだよ~!笑
仲のいいカップル(女):なにそれ~!やば~!笑
○:あのカップル仲いいなぁ…ムカつく…
仲睦まじく話すカップルの姿を見てそう呟く
○:俺もこの前までああだったんだけどなぁ…
そう、俺は最近彼女に振られた
それも急に
○:結局なんでだったんだろうな~…
しかも特に理由が語られることもなく、そんなに深い理由はないというものだった
○:ホントあいつ自分勝手だったよなぁ…
普段から振り回されぱなしだった日々を思い出しながら言う
○:まあいいや。もう気にしない
そうして大学に向かう足を早めた
○:ホントこの授業全然人来ないよなぁ
人数の少ない教室内を見渡しながら言う
○:まあ適当にスマホ触りながら過ごすか~…
そんなことをいいながらスマホのロックを解除する
??:よっ!
その声とともに急に肩を叩かれる
○:ん?あ、み、美月…
そこには最近振られた彼女いや、元彼女の美月がいた
美:そっか~○○この授業取ってたもんね~笑
○:ま、まあな
元々この授業は美月といっしょに取ろうと話して取ったものだった
美:隣座っていい?ま、ダメって言われても座るけど笑
美月はこちらの返答を待たずに○○の隣に座る
○:お前どういうつもりだよ…そっちから振っといて…
純粋な疑問を美月にぶつける
美:え、別に分かれたからって言って友達じゃなくなるわけじゃないでしょ?
○:ま、まあそれはそうだけど、気まずいだろ…
美:え、○○気まずがってんの?かわいいとこあるじゃん笑
美月はそういいながら○○をつついてくる
○:や、やめろって…
美:ごめんって笑
○:美月今普通にしてるけど俺結構落ち込んだんだからな?
美:え?そうなの?
○:いや、理由もなく振られたんだから当たり前だろ…
美:じゃあなんで引き留めてくれなかったのよ~!
○:いや、それは美月がじゃあねって言ってすぐにどっか行ったからだろ?
美:男なら多少強引にでも止めてほしかったな
その一瞬だけ美月の顔が変わった気がした
○: …。
そして○○はこれ以上言い返すことをやめた
そして、そこからしばらく二人の間に会話はなかった
美:ね、今日さ飲み行こうよ
静寂を切り裂いて美月は言う
○:え、まあ別にいいけど…
○○は多少躊躇しながら美月の誘いを了承した
美:え、断らないんだ
○:別に飲みなんて断らないだろ
美:さっきまで気まずそうにしてたのに~?笑
○:う、うるせぇよ…自分から誘ってきておいてなんだよ…
美:ごめんごめん笑
美月はそう言って笑う
美:じゃあいつものあそこ行こうよ
○:わかったよ
あそことは○○と美月がカップルになる前カップルになってからもよく行っていた居酒屋だった
教授:はい、じゃあ今日の授業はこれで終わります
気がつけば授業が終わる頃だった
美:それじゃまたあとでね~
○:お、おう
そう言って二人は教室をあとにした
○:はぁ~久しぶりに来るなこの店
今日の分の授業を全てこなして美月と会う居酒屋にやってきた○○
○:あいつもう来てんのかな
そんなことを言いながら店のドアを開ける
○:こんばんは~…
美月はまだ来ていないようだった
大将:いらっしゃ~い…お、○○久しぶりだな~!
○:あ、大将お久しぶりです
通いすぎて店の人とも顔見知りになっていた
大将:お、今日一人?
○:あ、あとから一人来ます
大将:わかった、じゃあ奥の席で待ってていいよ
○:あ、ありがとうございます
事あるごとにこうやって大将は融通をきかせてくれる
○:今日どんな風に話せばいいんだろうな~…
振られた彼女とどんな風に飲めばいいのか考える○○
○:むっずいよな…
そう言って○○はぼーっと店内を見渡す
美:こんばんは~!
大将:いらっしゃ~い、美月ちゃ~ん!
美:大将~!
そんなことをしていると美月がやってきた
大将:○○のとこでいい?
美:は~い!
そう言って美月がこちらへやって来る
美:○○早かったね~
○:まあ結構早く終わってくれたからな
美:実は楽しみにしてたんじゃないの~?笑
○:やめろよ…
美:ふふ、私ビールにするけど○○は?
○:俺もビールでいいかな
美:大将~!ビール2つと適当におつまみくださ~い!
大将:はいよ~!
そう言ってビールと適当なおつまみを頼んだ
○:分かれてからここ来てた?
美:一人で結構きてるよ~!
○:そっか
美:○○は?
○:俺は今日別れてから初めて来た
美:そうなんだ~
○:店長からなんか言われなかった?
美:え、なにを~?
○:いや、だからその別れたのかとか…
美:まあ特にないかな~…なに気にしてんの?笑
○:そ、そりゃ気にするだろ
美:で、最近どうなの?
○:どうってなにが?
美:いい感じの子とかいるの?
○:そんなのいねぇよ
事実○○は美月と別れてから恋愛から遠ざかっていた
美:え~意外
○:そういう美月はどうなんだよ
美:私はい~っぱいいるよ?
○:え?マジ?
美:噓だよ笑嫉妬しちゃった?
○:し、してねぇよ…
しかし、心の中では安心している自分がいた
美:え~寂しいな~
そう言いながら美月はビールを口に運んだ
美:ちょっとトイレ行ってくるね~
○:お、おう
そう言って美月はトイレに行った
○:は~話せば話すほどなんで振られたのかわかんねぇ…
わかりやすく頭を抱える○○
大将:どうした~○○、そんな頭抱えて~
そうしていると大将が話しかけてきた
○:あ、大将…まあいろいろあったんですよ…
大将:まあなにがあったかはわからんけど美月ちゃんに気持ちをちゃんと伝えないとダメだぞ?
○:ま、まあ、はい
別れたことを知らない大将のアドバイスを少し気まずそうに聞く
大将:美月ちゃん一人で来てる時もずっと○○の話してるぞ
○:え、そ、それ本当ですか…?
大将:本当だぞ~毎回毎回楽しそうに話してるよ笑
知らなかった事実を知り驚いた表情を見せる○○
大将:だから気持ちはちゃんと伝えないとダメだぞ?
○:大将ありがとうございます
そう言うと大将は微笑みながら元の位置に戻っていく
美:お待たせ~じゃあそろそろ出る?
○:あ、うん、行くか
そうして二人は会計を済ませた
美:じゃあ大将また来ま~す!
大将:おう!
そう言って店を出ようとする
大将:○○
大将に呼ばれ後ろを振り向くと笑顔で親指を立てていた
○○は軽く頭を下げ店を出た
美:ふぅ~久しぶりに楽しかったな~
○:なぁ美月…
美:ん?どしたの?
○:俺、やっぱり美月のこと好きだ
美: …。
○:今日一日過ごして美月への気持ちがまだまだ切れてないってきずいた。だから、もう一回やり直したい…
美月は少し俯きながら黙っている
○:ダメかな…?
ギュッ
○:おぉ…
そうすると美月が急に抱き着いてきた
美:嬉しい…やっと気持ち言ってくれた
美月は涙を流しながら言った
○:美月…
そうして○○は美月を抱きしめる力を少し強くする
美:○○…
○:美月愛してる…
美:私もだよ、愛してる…
そうして二人は久しぶりの口付けをした
美:○○
○:ん?
美:ただいま
こうして一度別々になった二人の道は再び一本道となったのであった
end
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