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『再会・6』

 この話は2015年2月にトラベラーズノートのウェブサイト「みんなのストーリー」に掲載された旅のストーリーです。現在も掲載されています。そのままここに掲載いたします。現在も「みんなのストーリー」に毎月一作旅の話を書いています。これは掲載第88作目です。

「兄貴、パスポートまだ大丈夫?」2014年11月の一日、弟の突然のその一言からこの嬉しい再会が実現した。2007年以来ご無沙汰していた台北を、母と弟とともに再訪出来ることになったのだ。往復のフライトの手配は現在も航空業界にいる弟が、宿泊先のホテルは私が手配することになった。弟の手配で、トラベラーの中でここ何年かフライトを選ぶ際の選択肢としてその地位を確立したLCCで台北へ行くことになった。この旅行のための宿泊先の予約は、パソコンで検索すると今日では夥しく出て来るようになったホテル予約のサイトを初めて利用した。空室の状況と価格が日々変わる様子は、まるでオークションのようで、出発3日前まで粘りに粘って、納得がいく料金になるのを待って、希望のホテルに予約を入れた。

 11月末から12月初めにかけて実現したその旅行の期間は3泊4日。帰国便の出発時間の関係で、4日目は早朝に台北を発たなければならない。現地で会いたい方々はたくさんいるし、訪れたいところもたくさんある。食べたいものは数限りないし、前回訪れたときには出来ずに次回に譲ったこともたくさんあった。しかし、限られた時間で全部達成するのは全く無理な話だ。

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前回2007年に訪れて以来、次回の再訪に備えて少しずつ買い、集まった雑誌等。その特集が大好きな旅先ならば女性誌でも構わず買います(笑)。2007年の再訪に関しては「旅先で食べたもの・1」をご笑覧下さい。 また次回の再訪までに同じくらいの量が集まるのでしょうか・・・。   帰国後間もなく出版された台湾特集の雑誌は、女性誌でしたが、早速買いました(笑)。

 母も弟も久し振りの台北なので、それぞれ思い思いの楽しみがあった。美術館や博物館が好きな母は故宮博物院の再訪を楽しみにしていた。弟の場合は仲の良い友人が一人日本からこの旅行に合流したので、その友人とのスケジュールがあったようだ。私は旧友達との再会を第一の目的として観光等のスケジュールを立てた。その再訪を現地の友人達に知らせたのが、台北到着の約3週間前だったとはいえ、現地の友人達にとっては急な知らせだったに違いなかった。それでも一同に会して食事をする機会を得ることが出来たのは嬉しかった。

 現地の友人達と私が出来る限り会えるようにスケジュールを調整してくれたのは、航空会社の頃の先輩で、かれこれ20年以上家族同然に可愛がって貰っているSabrinaで、その会食の席を仕切ってくれたのは、「リラックス・2」に登場している、かつての取引先でこちらを顧客として担当していたVincentだ。Vincentは機内食会社のベテランの営業マンで、客あしらいには長けており、海外からやってくる顧客の扱いに慣れていることが、友人である私が家族とともに、やや急に訪れても、それが見事に発揮されていた。

 会食の場所は我々が今回滞在していたホテル内の上海料理のレストランの個室。出席者は、Sabrinaとその娘で彼女が中学生の頃から私が知っているAnn, Vincentの相棒で、「口約束・2」に登場したJohnny, 懐かしい顔が勢揃いした。Sabrina, Ann, Vincentは前回の再訪以来約7年振りだったが、Johnnyとは前回会えなかったので、約13年振りの再会となった。母はJohnny以外とは私と同じく7年振りの再会、弟は全員とは初対面であった。

 前日まで中国本土に出張していたというVincentとJohnnyは現在も機内食の会社に勤めているので、同じ業界で働いている弟は、挨拶の後でビジネスマンよろしく名刺交換をしていた。目の前のその光景が何とも微笑ましく映った。

 各自が席に着いて乾杯をした後で、日本から持参したささやかなお土産(今回はトラベラーズファクトリー製のスクエア形のコースターと抹茶フレーバーのキットカット)を各自に渡した。キットカットは男女関係なくみんな大好きなようで、渡したときに少々場が沸いた。さらに抹茶フレーバーは日本限定のものなので大喜びだった。コースターは3色(ブラウン、ブラック、キャメル)あるので、最大限の現地の友人の参加人数を考慮して、一色を2つずつ用意して好きな色を選んで貰った。好きな色を選ぶときも微笑ましく賑やかになった。コースターには是非経年変化を楽しみながら、我々の縁のように長く愛用して欲しいという思いを込めた。

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Vincentが仕切ってくれた会食で楽しんだメニューのほんの一部です。   どれも本当に美味しかったです。話に夢中で食べられなかったものもありました(苦笑)。この中に思い出の一品があり、食べものでも思わぬ再会をしました。それはまた改めて書きます。

 Vincentの仕切りは圧巻で、食事に合うワインを持ち込んでくれた上に、印刷されたメニューまで用意してくれたのには本当に恐れ入った。

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これがその会食のために用意してくれた印刷された立派なメニューです。 本当にいい思い出になりました。

 次々と出て来る料理を楽しみつつも、各位の顔をなるべく記憶に焼き付けるようにし、全員と満遍無く話すことを心掛けた。しかし、事前に話そうと思ったことは、その場で思い出せなかったり、時間に限りがあったので、やはり全部話せなかった。

 会食が終わった後で、彼らからそれぞれ、間違いなく美味しそうな食べものと分かるお土産をどっさりといただいた。

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いただいたお土産の数々です。帰国後家族、親戚、友人達と分けました。どんなものだったかは追々書きたいと思います。全て美味しくいただき、また食べたくなりました(笑)。

 私にとっては懐かしくて、嬉しくて、大変ありがたい再会となった。  会食の席でそれぞれがスマートフォンで撮った写真が後に私のスマートフォンに送られて来た。帰国してからそれらを母と弟と分けた。写真は全てこの再会の訪れた証であり宝物となった。良かったなあ、台北。

 この話が掲載されたとして、掲載されてからしばらくすると、台湾でも旧正月の休日が始まる。遠方の親戚や友人達と集っての楽しい再会が各地で繰り広げられることだろう。

 健康に留意して、この懐かしくて、嬉しくて、大変ありがたい気持ちで一杯になる再会を、今後一回でも多くしたいと心から思った。


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